バックナンバー 2016年 早春号
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1.手話言語条例制定へ

 聴覚障害者の団体である、公益社団法人・大阪聴力障害者協会(大竹浩司・代表)の3人の役員が2月9日、府庁を訪問され、民主党・中村議員に大阪府議会でぜひ「手話言語条例」の制定に向けた取組みを進めてほしいと要請されました。

中村議員に要望する大竹会長ら

 この条例は全国的に見ると、ほとんど制定されているところはありませんが、鳥取県などの一部の県ですでに制定され、聴覚障害者の皆さんへの力強い制度になり始めています。
 中村議員は昨年秋から、この手話言語条例を大阪でも実現したいと、できるだけ早く鳥取県を訪問して、制定に至るまでの取組み、当事者の関わり、制定後の効果などがどうなったかなどを学びたいと計画していました。それだけに、この日の要望を受けた際、「既に制定されている鳥取県へ出かけたいと思っていた矢先のことで、大変嬉しい。条例制定に向けて、どんな課題があるのか、いろいろと教えてほしい」と団体に要請しました。
 また、特別支援学校の状況などについても調査し、充実させなければと語りました。

2.府政報告会を開く

 中村議員は2月5日、枚方市民会館で府政報告・懇談会を開催しました。2月1日〜2日にかけて府議会の政務調査会が開かれ、各部局から個別に新年度予算のあらまし、主要事業に関する説明が行われましたので、このあらましを市民の皆さんに説明し、意見交換をしたものです。


 当日は、参加された方の中から、今の枚方市の教育行政の問題点、さらに大阪府が進めようとしているチャレンジテストなどについて熱心な意見が出されました。
 中村議員が説明した主なものは次のとおりです。

別紙の主要案件はこちらからご覧下さい。
 中村議員は、「3月下旬まで府議会が開かれるが、終了したらできるだけ早く結果などをご報告できるように、府政報告会を開く」と語りました。

3.政務調査会で予算案などを説明

 大阪府議会は2月1〜2日、知事が2月定例府議会に提出予定の新年度予算案の骨格や主要事業の説明を各部局ごとに行い、各議員からの質問などが行われました。

担当部長が挨拶し、その後、次長が内容を説明

中村議員が質問

 2月定例府議会は、副首都推進本部の設置問題や、教育庁への対応、森林環境税のこと、法人への超過課税継続問題など、多くの課題があります。(主要案件は前項の府政報告会の資料に「主要案件」としてお示ししています。)
 また、定例議会は2月25日に本会議が開かれ、ここで松井知事から所信表明が行われ、各会派の代表質問が3日間続きます。ただ、民主党は中村議員ただ一人になってしまいましたので、残念ながら代表質問はできません。一般質問を行う予定ですので、項目が決まりましたらお知らせします。

2月定例議会に提案される議案・予算などの主なもの

4.新年度予算編成と府政運営方針で知事に提言・要望

 中村議員は12月15日、松井知事に対しての提言と要望をまとめて提出しました。この日は知事の日程調整がかなわず、政策企画部の井上次長に要請しました。今回の提言は、8つの分野・57項目に上ります。

提言書を井上政策企画部次長に手渡す

提言の内容を説明

多くの報道関係者が取材に
 中村議員は、「@今日、世界各地で大規模な自然災害や感染症などが発生し、多くの被害を出していること、A宗教・文化・資源などを巡っての紛争やテロが多発し、我が国も決してこれまでのように安全ではない」と、改めて危機管理対策の重要性とその強化を訴えました。

◇競争だけでは×
 続いて、橋下知事誕生以来、大阪では「改革」、「競争」をキーワードに様々な取り組みがなされ、一定の成果を上げたものがある半面、課題を残したものも数多くあると指摘しました。
 とりわけ、先の選挙中、橋下市長が応援演説で、「僕は大阪で改革やろうと思いミサイル男になった。役所の中でバッカン・バッカン爆発してケンカした。でもミサイルは威力あるけど、壊しちゃいけないところも壊してしまう。そこを手直ししていくのが……」と自ら反省を込めて語ったように、この間の破壊と混乱に終止符を打ち、具体的に対処していくのが松井知事に課せられた責務です。
 中村議員は、府民の暮らしの安定と大阪経済の進展に向け、「知事は熟議と協調の府政を積極的に推進されるよう切に望む」と、申入れました。8分野の主なものは以下のとおりです。

◆安全なまち
 前回の8月に提言した際の「安全なまちを」の分野に関しては、東日本豪雨によって鬼怒川の堤防が200mにわたって決壊した直後でもあり、治水目標の達成時期やハード・ソフト両面からの取組みを急ぐよう要請しました。
 今回の提言では、朝日新聞が全国版の1面トップ記事で掲載したように、信号制御器の老朽化が激しく、事故防止の観点から速やかに調査に入り、改善を急ぐことを求めました。



 信号機は全国に約20万基あり、その内の20%にあたる4万基が老朽化していると考えられています。大阪には制御機が約1万2千機あり、既に更新時期を過ぎたものが2千500を超えています。信号機については各地から新設要望が出され、増設に努めていますが、万が一、信号機が故障すれば大事故を招くため、徹底した調査を進めなければなりません。 この他、@公共交通、A空き家対策、B異常気象と環境対策、C都市インフラ(橋、下水道管など)の老朽化対策、D警察力の充実などを取上げています。

◇信頼の府政
@将来世代に負担を押付けることのないよう、財政規律を徹底すること。
A市町村との連携はこの数年、大阪市のことばかりが強調されてきた。府は広域自治体として、財政基盤の弱い市町村への積極的な支援を行うことが重要。  など

◇平和・人権・自治
@ヘイトスピーチやネット上の悪質なものへの対策。
A障害者差別条例の制定に向け、関係者が十分議論に参加できる体制づくり。  など

◇子ども・女性
@子育て支援と乳幼児医療費の充実。
A子どもの貧困と虐待対策。
B就職困難層への支援。   など

◇育てる教育
@通学安全対策の充実。
A長期的な観点から高校再編を進めること。
B私学助成の復元とキャップ制の見直しを行うこと。
C給付型奨学金制度を検討していくこと。
D小6年・中3年という義務教育制度が転換する。府は各市町村の独自の取組みを支援すること。  など

◇暮らしを支える
@消費者被害対策の推進。
A生活困窮者対策として、生活再建に繋がる有効な手立てを講じること。  など

◇勤労者・中小企業
@下請け2法やガイドラインを周知徹底し、適切な行政指導を行う。
Aメンタルヘルス対策を強化する。
Bブラック企業の排除。
C自殺防止、ニート・ひきこもりへの対策をより効果的に。   など


知事への提言はこちらへ

5.知事が議会で所信表明

 松井知事は12月14日、府議会本会議の席で発言を求め、今後4年間の取り組み姿勢などについて思いを述べました。
【発言の要旨】
 日本は今、東京への極端な一極集中が進み、災害等の危機に対する脆弱(ぜいじゃく)性が重大な課題。首都圏で大規模な災害が発生したとき、国家としての機能が完全に停止してしまう恐れがある。いかなるときも、政治、行政、経済を中断させないための万全の備えを整えることが必要だ。東日本大震災を契機に、首都機能バックアップの必要性が高まっているが、未だ十分な対応がなされていない。そのため、副首都にふさわしい統治機構のあり方についての議論を進める。
さらに、新たな大都市制度の設計図の再検討に向け、住民の意見を十分に伺っていく。並行して、二重行政の解消に向けて、今からできることは速やかに実現させていく。
 以上の取組みを進めるため、大阪市と連携し、年内に「副首都推進本部」を設置して、"副首都・大阪"の確立に向けた検討や議論に着手する。"首都・東京"とともに日本の成長を力強く牽引するツインエンジンとなる"副首都・大阪"をめざし、中長期的なビジョンを策定する。

 府政運営は、直面する府政の課題に対して、引き続き、「変革と挑戦」を基本姿勢として取り組む。課題に正面から向き合い、府内市町村とも連携し、「成長と安全・安心のよき循環」による 豊かな大阪の実現を確たるものとする。そのため、これまでの成果を礎に、スピード感と、府民や民間の目線での施策立案、の2つの視点を徹底したいと考えている。
 また、鉄道の延伸や高速道路のミッシングリンク解消などの交通・物流機能を強化する交通インフラの整備、うめきた二期など、まちづくり・都市基盤整備を進めていく。 あわせて、発展の起爆剤となり得る、突き抜けた都市魅力の仕掛けづくりにも取り組む。IRは法案動向を見据えながら、大阪での立地実現に向けてしっかりと取り組んでいく。

 今任期を通じて、こうした施策をさらにスピード感を持って進めることで、活気が活気を生み出すスパイラルを定着させ、成長の加速を促していく。

 大阪府は既に人口減少、超高齢社会に突入しており、2040年には人口のおよそ4割が65歳以上になると推計される。人口減少傾向を抑制し、誰もが活躍できる社会の実現をめざし、「大阪府まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、真に必要とする人に届く施策を展開していく。
 人口減少、超高齢社会を迎える中で、府民や民間の目線も加え、府民福祉向上のための最適な手法を見出し、府民に豊かな大阪の実感を届ける。
 財政運営基本条例に基づき、財政規律を堅持しながら、選択と集中の観点で検討を行い、組み立てていく。規制の緩和、公民の連携、そしてストックの組み替えなどによる新たな財源の創出など、創意工夫を凝らして、さまざまな手法を活用しながら、施策の充実を図り、柔軟な発想で、戦略的に施策を展開する。

【おわりに】
 今、大阪の冬のまちは、「光の饗宴」で賑わいを見せている。橋下前知事の時代に「とにかくやってみよう」と始めた御堂筋のイルミネーションが、遂に梅田から、なんばまでつながり、府内各地にエリアプログラムも広がり、新たな経済効果を生み出している。
 ここまで盛り上げてくれたのは、府民の熱意、一歩目を踏み出すチャレンジ精神のおかげであったと感謝している。
 同時に、この事業を支えているのは、民間にもしっかり商売をしてもらう、だからこそ投資をしてもらえるという「公民連携の姿」だ。そのために、行政は、御堂筋というストックが持つポテンシャルを掘り起こし、民間の力を借りて道路を新たな魅力発信の舞台として組み替える。大阪がめざす姿がここにあると感じた。
 今までできなかったことも、本気で考え、大阪全体が力を合わせれば実現できる。目の前にある課題は、次の時代に先送りせず、今、解決の道筋を作ることが、私の使命であると考えている。これからも、困難な壁があっても、くじけず、前向きに、未来に向かって前進していく。
 府議会とは、今後とも丁寧な議論を真摯に重ね、様々な意見を伺い、決めるべきときにはしっかりと決断したいと考えている。私は、その役割から逃げずに、ぶれずに、しっかりと責任を果たしていく。議員並びに府民におかれては、私の意のあるところをお汲み取りいただき、ご支援、ご協力を賜りたい。

 以上のとおりですが、都構想という言葉を使わず、副首都構想と呼び、維新政治も第2ステージへ移った感じがします。今後、本当に議会との議論が十分に行われていくのか、丁寧な運営をしていくのかを見極めていきたいと思います。


6.教育・福祉の先進都市を視察

 中村議員は12月7〜8日にかけて、神奈川県川崎市立はるひ野小中学校、海老名市立中央図書館、富山県庁と富山市のディケアハウス「にぎやか」を訪問し、先進的な教育・福祉などを学びました。ハードな日程でしたが、今後の府政にこれらの先進事例を活かしたいと思っていますので、その一部をご紹介します。 

◇はるひ野小中学校
 現在の義務教育は小学校6年、中学校3年と決められていますが、来年4月からはこの9年間をそれぞれの地域の独自性を出して運用することができるようになりました。これまでから小中一貫教育が進められている地域もありますが、中村議員が視察したのは川崎市立「はるひ野小中学校」で、小学校と中学校が同一場所にあり、校長・教頭もそれぞれ一人ずつ配置されています。

小学校と中学校が同一場所で地域の交流センターも一緒と表示

 この日は佐藤・小学校長と大串・中学校長が出迎えられ、設立の経過と施設概要、現在の教育内容を、とりわけ小中学校の校舎合築をいかした連携教育について説明されました。質問や意見交換の後、校内の案内を受けましたが、ただただ驚くばかりです。

◇廊下?が広い
 まず、職員室は小中学校の強い連携や児童生徒の発達段階に合わせた教育が展開できるようにと、区切りのない公務センター(職員室)となっています。さらに、9年間を4‐3‐2の節に分けた教室配置を、設計段階から工夫したとのこと。前期の小学1〜2年生の教室は一般的な閉鎖教室ですが、それ以後の児童生徒の教室は開放型で、ドア・壁がなく、そして教室前の一般的には廊下に当たる所が「クラスター」と呼ばれるオープンスペースで教室よりも広くなっています。ここで写真のように授業や交流が行われます。見学している際、丁度クラスターで子ども達が社会科の勉強をしていました。校内の至る所でこのスペースを活用しているのがよく分かります。さらに、中学部の授業は教員が教室へ来るのではなく、大学と同様に教科教室型で、生徒が定められた教室へ移動するため、教員の準備などが非常に良くなったと話されました。


こんなに広く取られているオープンスペース

子どもたちの作品展示も

先生のエリアもきっちりと確保されている
(丸い窓がとられているところが専用スペース)

子どもたちが移動する教室(社会科と表示されている)

小学1・2年生の教室

◇チャイム無し
 一番驚くのは、授業の開始などを知らせるチャイムが開校当時から一度も鳴らされていないことです。前期4年は45分、中期3年と後期2年は50分授業のため、物理的にチャイムは混乱するため無理とのことですが、子ども達は自主的に行動し、全くトラブルはないようです。

◇PFIで運営
 この学校は建設から受付、清掃、学校警備、給食などすべてを15年間のPFI事業としています。そのため、訪問した際は民間業者から派遣されている女性が対応され、警備なども年末年始を除いて24時間常駐しています。
 さらに校舎の1階に写真のような地域の交流センターが設置され、月曜日だけがお休みで、地域の方が交代で休みなく詰められ、多くの利用者があるとのことです。


交流センター

◇中一ギャップなし
 はるひ野小中学校の説明を聞き、また運営を見学して感じたことは、
@管理職以外の全教職員に兼務が発令されており、9年間を通じての子どもの成長を見守れること。
A中期3年の内、5年・6年生は学級担任の授業と教科担任の授業を合わせて受けることや、常に交流があり、一般的に言われる中一ギャップはまず生じない。
B常に小中学生がともに生活するため、前期の児童は後期の生徒達を頼もしく思い、中学生は逆にこれまでの自分の姿を児童に映し、思いやりが芽生えた。
Cクラスターと呼ばれるオープンスペースの活用が素晴らしく、広々とした空間はゆとりを感じさせ、展示・交流学習・学年集会などにも度々使用されているとのこと。
 中村議員は大串校長先生に、「こんな素晴らしい学校を訪問したのは初めてだ。川崎市には多くの学校があるが、他校からは私の地域にもこんな学校をつくれという要望と、逆に不満も出ているのではないか」と感想を述べると、「確かにそうだ。昨年もう1校同じ制度の学校が誕生した。私たち教員は日々の教育活動の中で、この恵まれた環境を最大限、子ども達の力に変えていく努力を続けることが期待に応え、責任を果たすことだ」と、力強く語られました。
 中村議員は、「こんなに子ども達が自主的に動き、地域の方々が数多く来られる学校は正に地域の拠点だ。大阪でも子ども達の瞳が輝く教育環境をつくらなければ」と語りました。


クラスターでは前期低学年が中学生と一緒に学んでいた

◇富山型福祉施設
 中村議員は12月7日、朝早く出発し、京都駅から金沢までをサンダーバードで、さらにこのほど開通した北陸新幹線を使い、富山県庁を訪問しました。
県庁では午前中に富山県の厚生部の職員が中村議員に、「年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが身近な所でケアを受けられる場所、それが富山型デイサービスです」と、具体的な上をパワーポイントの資料で説明しました。


クラスターでは前期低学年が中学生と一緒に学んでいた

富山型のこのサービスは、20年以上も前に、民家を使い、家庭的な雰囲気のもと、対象者を限定せずに始めたもので、柔軟なサービスの提供だと全国から注目され、約15年前に中村議員も同僚議員とともに訪問しました。
これが今では何と115ヶ所まで増えていることから、最近はどうなっているのかを調査するために、午後は、視察現場として富山市綾田にある施設「にぎやか」を訪問しました。

現地まで案内していただいた山上県会議員(右)と

外からはまったくの民家のように見える(建坪500坪)
ここでは 高齢者・乳幼児・障害者が仲良く、さらに利用者自身が食事や片付けの手伝いなど、この事業の創設者で「ナイチンゲール記章」を受章された惣万佳代子さんの思いがそっくりの状況に感動しました。

障害を持つ利用者が床の拭き掃除を

食事を終えて職員と利用者が団欒
 この日の説明は2階で約40分程度、東京から来られた人たち(同様のサービスにかかわっている人たち)と一緒に説明を聞きました。その後、その場で意見交換があり、利用形態・費用・国や県からの助成・地域と摩擦はないか・病院などとの連携・常勤者と非常勤者の態様などが出されました。
施設のリーダーが、「グループの人とは違って、今日は大阪から議員も見えている」と紹介され、中村議員は最近の国や府の福祉行政の動きと大阪での予算配分がどう変わってきたか、さらにあるがままで、高齢者と乳幼児、小学生や障害のある人がともに何気なく過ごせるこの施設の感想を話しました。


◇海老名市立中央図書館
 企業が、指定管理者制度によって公立図書館を運営しているのが全国で400を超え、運営方法がよく新聞で取上げられます。
 とりわけ海老名市立中央図書館は、TSUTAYAが指定管理者となって運営にあたっていますが、その施設・設備・運営方法などが新聞などで話題になっているため12月8日、ここを訪問しました。建物の外観は少しこった建物だなというくらいですが、一歩中へ入った途端、これが市の中央図書館か?と感じてしまいます。勝手に中をうろうろするわけにもいかず、「海老名市に打診したところ、議会日程などの関係で職員が案内できないが、図書館の訪問はご自由にしていただきたいということであった」と伝えると、連絡が入っていたのか、早速、「写真を撮られるのであれば、これをつけていただきたい」と、海老名市の名前の入った腕章を提示され、4階、3階、2階,地階、1階の順に見学しました。


図書館の正面

4階は子どもたちのフロア

4階は子どもたちのフロア

各フロアでは本を熱心に読む人がいる




もともとは倉庫だったという地階は天井までぎっしりと本が並ぶ。
また、ここは小説などが置かれているため、多くの人が広い読書スペースを利用している




1階はTSUTAYAの書籍・文具などの売店ら読書できるスペースが確保されている。
 1時間以上にわたって見学しましたが、感想としては、「確かに図書館であることに違いはありませんが、文具・書店に図書館が間借りしている」という感じです。やはり、1階の売店とスターバックスが凄く印象に残る配置となっているためでしょうか。それと、中央図書館の割には、小説などの書物がそんなにありません。私の好きな数人の作家を特定してその作家の書物がどの程度あるのかを調べてみましたが、枚方市の方が多くある感じです。ただ、貸し出されているためにないのか、もともとないのかの調査まではできませんでしたが…。
 特に気になるのは、年中、お休みもなく、どうして書籍の整理や補修をしているのか、不思議です。あと、1~2ヶ所、同じような運営形態の図書館を見なければ判断がつきかねます。

7.支援学校が学習発表会

 枚方市内に府立の支援学校が設置されて初めての学習発表会が11月14日、村野にある府立枚方支援学校で行われました。
 荒木校長は「発表会は子ども達一人ひとりが日頃の学習の成果を自分らしく披露するものだ。舞台発表や喫茶など、ぜひご覧いただきたい」と挨拶するとともに、地域の方々や保護者に学校への支援のお礼を述べられました。
 中村議員は、「枚方に支援学校をぜひ設置したいという強い思いで各党の議員とともに取組んできた。子ども達の姿をみたいと思ってやってきたが、小学部の1年生、2年生でこれだけ発表できるのは素晴らしいことだ」と感心するとともに、高等部の2年生が担当する「ひらかたCAFE」へ足を運び、ホットコーヒーを頂きました。


 喫茶室は家庭科料理室を使い、2年生がエプロン掛けで、コーヒーやジュースなどを提供していました。料金の100円を受取る仕事、飲み物を作り運ぶ仕事、後片付けなど、教員の指導の中、元気にそしてテキパキと対応していました。(写真は教頭先生と一緒に100円のコーヒーをいただいている中村議員)教頭先生は、「このように生徒と教師の関係だけではなく、見知らぬ人への対応をしながら、社会のいろいろな事に接し、力を付けていけるようにと考えて、このような発表会を行っている。こんな素晴らしい学校を設置していただいて感謝に堪えない」とお礼を述べられました。
 また、中村議員は少し早めに到着し、学校の施設を視察しました。特に学校でよく問題になる「トイレ」は写真のように、何と様式でウォシュレットです。そして、驚くのはトイレに汚れ一つないということです。このことを教頭先生に尋ねると、「子ども達がこんな素晴らしい施設の中で生活できることはありがたいことですが、これをいかに清潔に・大切に・美しく・長く使っていけるかを子ども達自らの実践の中で、学習としてやっています」と話されました。

 中村議員は、「そのようにしていただいて嬉しいですね。『私は障害を持つ人もみんな納税者になれる』という政策提起をしている。これからも大阪の共生の教育のために頑張ってほしい」とお礼を述べました。

8.北陸新幹線問題で研修会・意見交換会

 中村議員ら民主系の府県会議員は11月12日、京都府庁で北陸新幹線をめぐる最近の動きと今後の課題などについて研修と意見交換を行いました。この会議は長野〜新潟〜石川〜福井〜京都〜大阪のルートの民主系会派が政策提言と調査活動を行っているもので、幹事長と政調会長などの役職にある議員らが中心になって対応してきました。従って、中村議員は前期からこの会の副会長として活動を展開しています。さらに、研修や協議の会場は各県持ち回りで、最近は石川・福井・京都の順で来春の会議は大阪府内で開催予定となっています。

新幹線会議の全景
正面3人が説明者、中村議員は奥のテーブル、左から2人目

 もともと北陸新幹線は、東海道新幹線の不測の事態にもに対応できる「北回り新幹線」として、地域経済・防災対策として極めて重要な路線として位置づけられてきました。金沢・敦賀までの計画は定められていますが、そこから大阪までのルートが決められないままになっています。
 関西広域連合では、経費の面から米原ルートが良いとしていますが、最近になって自民党などが新たなルートについても言及するようになってきました。そのような中、この会議では、改めて各府県の状況を報告するとともに、それぞれのルートのメリット・デメリットを検証するとともに、並行在来線のあり方などを国にも強く働き掛けていくこととしました。

京都府庁

黄色く染まった銀杏
 開場となった京都府庁は写真のように、本当に落ち着いた佇まいです。私はこの日、少し時間に余裕があったため、京阪の三条から地下鉄で丸太町まで行き、そこから京都御苑へ向かい、紅葉に染まっている美しい木々などを眺めて散策しました。わずか30分程度ですが、「本当にいいなぁ」と感じます。大阪の庁舎問題でガチャガチャやっているのがウソのような静けさです。この近所に京都府庁がありますから、快適な気分になってから定刻の15分ほど前に会場へ入りました。
 また、研修会等が終了した後、それぞれが実費で久しぶりの懇親会を行いました。会場は「がんこ」の高瀬川・二条苑でした。(写真)豪商の角倉了以の別邸であったところで、その後、明治の元勲と言われる山縣有朋の別邸・第二無鄰菴となり、別人の所有となった後、いまのがんこ店になったとのこと。高瀬川の渓流は実に美しく、こんなところが近くにあるのかと感心です。この会では、大阪のW選挙、ミャンマーの総選挙の行方、マイナンバーへの対応など、多くの課題が話題に上がりました。

がんこ

9.補正予算案をみる

 今議会に提出された予算案の主なものは、
@医療戦略推進事業                        1億2,000万円
 → スマートエイジングシティの実現に向けた取組みを促進するための新たな仕組みづくりやICカードに記録した医療・健康情報を他機関で共有できるシステム開発など

A次世代ガン治療法BNCT推進事業費                   800万円
 → ホウ素中性子補足療法(BNCT)の実用化へ専門人材の育成・確保を図るなど。

B再生可能エネルギー設備導入            3,500万円
 → 災害等の非常時に地域の防災拠点になる市町村の公園で街路灯などの導入を促進する。

C自殺対策の強化                  3,700万円
 → 大学生や妊産婦を対象とした 自殺対策事業を実施するとともに、 民間団体や市町村と連携した人材育成・相談事業など、地域の対策を強化する。

DUIJターンの促進                          2,000万円
 → 新たにプロフェッショナル人材育成拠点を設置し、企業経営、販路開拓、事業再生や専門技術を有する経験豊富な人材の中小企業でのニーズの明確化、採用サポートを実施。地域全体の人材コーディネーター役として大阪産業の成長に結びつける。

E新労務単価の運用にかかる特例措置の実施
 (平成31年度までの債務負担行為の限度額を補正、総額で114億5,700万円)
  → 国からの要請を受けて今年2月からの適用。

Fラグビーワールドカップ2019招致事業                  5,000万円
 → 花園ラグビー場をはじめ、全国12会場で開催するラグビーワールドカップ2019の開催費用として負担する開催都市分担金。
  (債務負担行為として平成29年度まで1億円)

G森林環境税導入のための準備費                     600万円
 → 森林環境税を来年4月から導入するため、府民に対して制度概要などについて広く周知するとともに、市町村で必要となる徴税システム改修等の準備経費。
H政令市との連携推進費                         800万円
 → 政令市である大阪市と堺市との連携を推進するための、大阪戦略調整会議や政令市連携室の運営に要する経費。

I新たな大都市制度関係費                    ▲3億7,300万円
 → 府と大阪市で設置した大阪府市大都市局が廃止されることになったため、計上していた予算額を削除。

J大和川線整備事業における工法の変更=                増額50億円
 → 大和川線常盤東開削トンネル工事の地下水対策を凍結工法とするために必要となる増額分。(債務負担行為で平成31年度までの総額は155億円)

10.注目の新たなテーマ = 森林環境税

 今議会に提案されている議案の中で、森林環境税については大きな課題です。中村議員はこれまでから、「今のままでは大阪の森林がダメになってしまう。森林だけではなく、少し強い雨が降れば、近い将来、土砂災害などを引き起こし、大惨事をもたらす恐れがあり、森林環境の保全のために、新たな税も含めた検討を初めよ」と知事に申入れてきました。また、8月初めに行った知事に対する提言でも、これを改めて指摘しました。
 これらを受け、松井知事にとって任期中最後の議会となる9月定例府議会に、森林環境税の導入と、これに伴う新たな事業の計画が示されました。
★府民の理解へ
これについて9月初めの政調会で、環境農林水産部次長は次のような説明を行いました。 来年度から導入をお願いしたいとしている「森林環境税」は、府民にまだ理解されていないため、まず制度の概要等をご理解いただくことが必要で、そのための広報事業費とともに、市町村において必要となる徴税システム改修等の準備経費を予算としてお願いした。
 森林環境税という新たな税をお願いする背景は、
@近年の集中豪雨等の多発により、府域でも災害発生の危険性が増大している、
A間伐をはじめとする森林管理作業が停滞し、これまで森林が果たしてきた災害防止機能などの多面的機能をいかに維持・増進していくかが重要な課題となっている。
こうした中、自然災害から府民の暮らしを守り、健全な森林を次世代へ繋ぐため、新たな森林保全対策を緊急・集中的に実施することが必要だが、厳しい財政状況のため、府民に新たな税のご負担をお願いしたいと考えている。そのため、今議会に、「関連の条例案」をお願いした。森林環境税を導入し、安定的に財源を確保したいと考えている。実施期間については、平成28年度から31年度までの4年間で、税額については300円とした。

このご負担により実施する事業は、
@「自然災害から府民の暮らしを守る」ための取組みとして、約30億円を予定。危険渓流の流木対策として、危険性が高く、保全対象が多い地区30箇所を対象に、災害の予防的対策を20億円かけて実施する。また、主要道路沿いの倒木対策として、ナラ枯れ被害の拡大防止や放置竹林対策を10億円かけて実施する。
A「健全な森林を次世代へつなぐ」ための取組みとして、事業規模約15億円を予定している。集約化により一体的な森林経営が見込める地区として、100ha規模の人工林34地区、約4,800haを対象に、持続的な森林経営が可能となるよう、基盤整備等を実施する。
 これらの取組みによる効果としては、
府民の生命・財産への災害被害の未然防止、災害発生による経済損失の回避、また森林の持つ災害防止等の公益的機能を発揮させるとともに、府内産材8千?を新たに供給することによる府内の経済波及効果が期待される。

 中村議員は、「府の厳しい財政状況と頻繁に発生する土砂災害や倒木などのことを考えると理解はできる。しかし、税の範囲内だけの事業しか実施しないとすれば、事業の一部を府民に肩代わりをしてもらったとしかならない。まずは府民に十分理解をしてもらえるように、そして税収以上の事業を大胆に予算化し、事業の実施が府民に見えるようにしてほしい」と要請しました。

11.大阪会議の行方はどうなるのか?

 いま、大阪会議(大阪戦略調整会議)が機能停止に陥っています。第3回会議では、知事と大阪・堺両市長、各議会の議員が出席しましたが、またまた議案の提案すらされないまま、終了しました。
 特に問題なのは、会議終了後の記者会見で橋下市長が「議案の提案をされたら不利になる」という発言が飛び出し、このことが府議会の代表質問でも取上げられました。大阪市を廃止分割するか否かを問う住民投票は、「分割しない」という結論が出され、大阪市を存続させたうえで、どうすれば大阪が良くなるのかという議論を進めていかなければならないのに、こんな運営では残念でなりません。
 この大阪会議には、府議会からは維新・自民・公明の会派から委員が選出されていますが、残念ながら民主党は中村議員一人になってしまったため、代表を送り出すことができなくなってしまっています。マジメに、大阪のため、真摯な議論が行われるよう、関係会派に働きかけていきたいと思います。

12.大和川線トンネル工事の異様な負担増はなぜか

 今議会に大和川線トンネル工事のための追加予算として50億円が必要だという提案がされています。
 今回の追加は50億円という巨額になっていますが、この問題は、工法に大きな問題があり、平成25年に一度議会に工法変更を提案しています。これによって必要となる費用を誰が負担するのかということは大きな問題です。いま当時のコンサルタント会社に対して、大阪府が実際に要した費用と当初にきっちりとした設計がされていた場合の費用との差額(被った被害額)を支払うように大阪地裁に訴えていますが、こんな大金を支払う能力があるのかなど、大きな問題を抱えています。
 このことについては、都市住宅常任委員会で議論されることになっていますが、阪神高速への委託の件、金額の件など委員会で疑問点が解決されるか全く予断を許しません。

13.災害に強いまちへ

 茨城県常総市の鬼怒川の堤防が200mにわたって決壊し、大変な被害が発生したことは、全国に深刻な課題を投げかけました。氾濫による浸水面積も40?にも及び、枚方市全体の約60%が浸水したことになります。(下は被害を伝える日刊各紙) 国土交通省も鬼怒川の堤防が弱く、整備が必要であることを認めています。100年に一度の雨量に耐えられるような整備計画が立てられ、全国の河川の整備が行われていますが、整備予算は年々削られ、ほとんどの地域が未整備となっています。

整備9割未満に
一方、大阪府の治水対策は、府域の大部分が市街地であり、低地の面積・人口が大きく、水害による影響が甚大なため、府域の全ての河川で治水目標を100年に一度程度の確率で発生する大雨(時間雨量80_)への対応として、河川改修などを実施してきました。
しかし、この治水目標をすべての河川(管理総延長=777q)で達成するためには膨大な費用と時間を要するため、実際に進める際には、過去の被害実績や流域の人口・資産の集積状況などの影響が大きい河川では80_対応とし、それ以外の河川では時間雨量50_対策を当面の目標として段階的に整備を進めています。しかし、府の財政状況も厳しく、その対策費は年々減少し、グラフのように平成20年にはピーク時の1/3にまで減少しています。そのため、府は「今後の治水対策の進め方」を学識経験者等で構成する府河川整備委員会に検討を依頼し、平成22年にこれを取りまとめて発表しました。
 報告書によると、長期計画の目標を達成するためには1兆円を超える事業費が必要で、年間200.億円の予算配分を行っても50年以上の時間がかかってしまい、府民は対策の効果を実感できません。

ますます頻繁に

さらに、@近年は50年に一度、100年に一度の確立と言われながら、豪雨が頻繁に発生(左上グラフ)していること、A今後、気候変動によってこの傾向は益々頻繁・大規模になる恐れがあること、B整備途上では計画規模の降雨でも被害を受けること、C昭和40年頃までに整備した施設が老朽化していることなどの問題があります。
 このため、府は@府民が効果を実感できるスケール、A今後20年程度でこのような安全対策を講じるという目標とその地域の危険度を公表する、B想定外の降雨を見据えて避難訓練や減災対策などのソフト面も組合わせて対応することが必要であるとしています。

予算の増額を

中村議員は、「年々減額されている予算を一度に2倍、3倍に増額するのは困難だろうが、今年のあの惨状を防ぐためには、ソフト対策も大事だが、事業費を大胆に組んでいくしかない。最も重要なことは、府民の生命と財産を可能な限り守り抜くことだ。新年度予算からこの思いが反映されるように努力してほしい」と要請しました。

 大阪府議会議員 中村哲之助ホームページ