中村議員ら大阪府議会の日越友好親善議員連盟の議員団は8月2日〜6日にかけ、ベトナムのハノイ・ダナン・ホイアンを訪問しました。今回の訪問目的は、ハノイ市・ダナン市などの人民評議会、人民委員会を訪問した際、団長の中村議員が挨拶した中で触れています。中村議員がハノイ市で挨拶した要旨は次のとおりです。

○挨拶

○ 大阪府議会日越親善議員連盟 会長の中村でございます。
〜通訳〜

○ 本日は、大変お忙しいなか、私ども代表団のために、お時間をとっていただき感謝申し上げます。  ハノイ市人民委員会 グエン・ドウク・チュン(Nguyen Duc Chun)委員長をはじめ、ハノイ人民委員会の皆様にお目にかかることができ、大変嬉しく思います。
〜通訳〜

○ 私ども大阪府議会日越親善議員連盟は、2007年に発足して以来、日本とベトナムのより一層の友好関係の発展、また経済はじめ幅広い分野に関する調査研究を行い、大阪とベトナムの関係強化を図ることを目的に、活動を行っております。
〜通訳〜

○ 議員連盟としては、4年ぶりのベトナム訪問となりますが、4年前の訪問の際にも、ハノイ市人民委員会を訪問させていただきました。当時のレイバン・ワット副委員長様にお会いし、ハノイのインフラや環境、人材育成など様々な政策についてお聞かせいただき、意見交換をさせていただきましたのを今でも記憶しております。
〜通訳〜

○ 今回の私どもの訪問目的としては、大きく3つあります。1つ目は、発展を続けるアジアの中でも、特に世界の多くの企業から注目を集め、目覚ましい発展を遂げておられるベトナムの海外投資促進のための政策について学ぶことです。 
〜通訳〜

○ 2つ目は、大阪は、過去に経済発展に伴う深刻な公害が社会問題となりましたが、それを乗り越えてきた経験があり、そのため、大阪には、環境改善や水処理など優れた技術を持つ企業が多数集積しております。そうした企業とベトナムとの交流拡大に向けて、ベトナムの状況やベトナムに進出している企業の状況を調査することです。
〜通訳〜

○ 3つ目は、大阪とベトナムとの関係強化のため、ハノイ市人民委員会をはじめ、地方議会や地方政府の皆様と交流を深めることでございます。
〜通訳〜

○ 今年の4月には、ハノイ国会議員団のファム・クアン・ギー(Mr. Pham Quang Nghi)団長をはじめとする訪問団の皆様が日本に来られた際に、大阪府議会も訪問され、意見交換させていただきました。その中で、今回の訪問についてもアドバイスをいただきました。また、ぜひハノイへというお話もいただき、今回の訪問が実現できましたことを心より嬉しく思います。
〜通訳〜

○ 今回の訪問の成果を活かして、今後、ハノイ市と大阪が経済、環境、人的交流など様々な分野で更に関係を強化し、ともに発展していけるよう、当議員連盟としても活動してまいりたいと思っております。
〜通訳〜

○ 皆様方のご厚意に対しまして、重ねてお礼を申し上げまして、私のお礼の挨拶といたします。
〜通訳〜

 このように、ハノイ市を初め各訪問地で人民委員会(委員長は日本の市長にあたる)や、評議員会(日本でいう議会)の幹部とお会いし、様々な意見交換ができました。また、その意見交換で出された主要な課題としては、

  1. 日本からの進出企業への税制をはじめとする優遇策
  2. 土地の確保をはじめとする進出に際してのサポート体制
  3. 手続き・法令の問題はどうなっているのか
  4. 現地勤労者の確保と通勤体制
  5. 現地勤労者の確保と通勤体制
  6. 工場団地内の排水処理は今後どうしていくのか
  7. 韓国・中国をはじめとするアジア諸国からの投資はどうか
  8. ODAなどについての考え方
  9. 物流体制の充実に欠かせない東西交通のあり方

などが取り上げられ、単なる表敬訪問とは考えられないような熱心な意見交換でした。
 また、個々の訪問地のご紹介は余りにも膨大ですので、9月に発表予定の訪問団の「記録」に譲ることにし、訪問地の写真をご覧いただいてご理解をと思います。

★8月2日

政治家の航空機利用での豪華さが問題になっていますが、私たちは全員が『エコノミー』で。関西国際空港からの「VN331便」はほぼ満席でした。機内で、日本とベトナムの時差が2時間あるため、午後3時を午後1時にしました。

飲料水などの購入のため、ハノイ・ノイバイ空港に着いた途端、ガイドにお願いして1万円の両替。ベトナムのお金は、500,000×4+50,000=2,050,000ドン。500,000ベトナム・ドンは日本の2,500円くらい。計算しやすいのは、お札の0を2つ取って、その半分くらいが日本円。500,000→5,000→2,500円という感じ。

在ベトナム大使館へ向かう道中で、車窓からの風景。地代が高額で、このように間口が狭い住宅が相当にある。

交差点で止まると、周囲はバイクだらけ。また、街路樹の下部に消石灰で白く塗り、夜間の照明の暗さをカバーするとともに、害虫除けにもなっている。

大半がバイクだが、バス通勤の人も。ただ、日本のような標識のある定まったバス停ではない。

日本大使館関係者に挨拶する中村議員。この後、ベトナムの様々な事情を永井公使から聴取する。ベトナム共産党の動向、南沙問題などの最近の近隣諸国とのかかわり、海外投資の変化などで意見交換。

日本大使館の永井公使らと 記念撮影。

★8月3日

早朝、ホテル12階の部屋からの通勤風景。朝が早いのでまだ混雑していないが、少し雨が降っている。

バイクで職場へ向かう人たちが信号待ち。

ハノイ市人民評議会を訪問し、グエン・ティ・ゴック議長らと会談。団長の中村議員の後方は通訳のゴーさん。ハノイと大阪の交流や投資について様々な課題で意見交換を行った。     (この際の挨拶は人民委員会とよく似ていますので、省略します)

ハノイ市の訪問にはマスコミ関係者が多く取材に来た。この模様は当日の夕刻6時にテレビで伝えられた。

現地のテレビニュース

JETROハノイ事務所を訪問した中村議員。ここで議員団は川田所長から、日系企業の進出状況と投資環境、とりわけ税制の優遇措置などについての説明を受けた。今後、日系企業の進出にあたって、排水環境、人件費の高騰などの課題が浮き彫りになった。

JETROハノイ事務所の後、ハノイ市人民委員会を訪問し、グエン・ドウク・チュン委員長らと意見交換を行った。チュン委員長は、土地代、法人税の減免など、日本企業の進出に対するインセンティブを語った。これらのことを地元新聞の「ベトナム ニュース」が8月5日付で大きく伝えた。

  <<  現地新聞と日本語訳 >> (PDF形式)

チュン委員長を囲んで全員で記念撮影。

ハノイの次の訪問地・ダナンの空港は大拡張工事中。来年はダナン市でAPECが開かれ、さらに注目を浴びると思われる。

市役所などが集中する合同庁舎。まるでラグビーボールのような庁舎。

ダナンのハイテクパークは高速道路などの工事が行われていたが、ほとんどが手付かずのままの広大な敷地で、1,130haもある。

ハイテクパークを案内していただいたダナン市ハイテクパーク管理委員会のミン・フォンさん、人民委員会のヴォ・グエン・ティン・ユエンさんを囲んで記念撮影。

★8月4日

ダナン市役所へ向かう道中で4人乗りのバイクに出会う。3人乗りは結構多いが、4人乗りはめったにお目にかかれない。

ダナン市人民評議会を訪問し、挨拶と意見交換。中村議員の挨拶の要旨は次のとおりです。

○ 大阪府議会日越親善議員連盟 会長の中村でございます。
〜通訳〜

○ 本日は、大変お忙しいなか、私ども代表団のために、お時間をとっていただき感謝申し上げます。  グエン・ニォー・チュン常務副議長様をはじめ、ダナン人民評議会の皆様にお目にかかることができ、大変嬉しく思います。
〜通訳〜

○  私ども大阪府議会日越親善議員連盟は、2007年に発足して以来、日本とベトナムのより一層の友好関係の発展、また経済はじめ幅広い分野に関する調査研究を行い、大阪とベトナムの関係強化を図ることを目的に、活動を行っております。
〜通訳〜

○ 今回の訪問目的の1つは、発展を続けるアジアの中でも、特に世界の多くの企業から注目を集め、 目覚ましい発展を遂げておられるベトナムの海外投資促進のための政策について学ぶこと、であります。
〜通訳〜

○ ダナンは、リゾート地として世界から注目されているだけでなく、投資・工業団地など経済工業の分野でも、近年目覚ましい成長を遂げておられ、大阪の企業も多く進出しております。また来年のAPECは、ここダナンで開催されるとのことであり、ますます世界から注目が集まることが予想されます。 
〜通訳〜

○ ダナンでは、工業団地やハイテクパークなどで、海外からの投資促進のため、様々な優遇施策を実施され、大きな効果が出ていると伺っております。ぜひ、そうした政策についてお聞かせいただきたいと思っています。
〜通訳〜

○ ダナンでは、大阪から進出している企業も訪問する予定ですが、本日午後からは、トークアン水産加工団地内で実施されている、水産加工工場の排水処理水質改善事業の実証試験プラントを視察します。
〜通訳〜

○ この事業は、大阪及び関西の企業とダナン市(科学技術局DOST等)が共同で取り組んでいるもので、大阪の企業の持つ技術を活用して、排水処理能力の向上、ひいては排出先の海域の水質改善にもつなげようという取り組みであります。
〜通訳〜

○ 大阪は、過去に経済成長に伴い深刻な公害が社会問題となりましたが、それを乗り越えてきた経緯があります。そのため、大阪には、環境改善や水処理など優れた技術を持つ企業が多数集積しております。
〜通訳〜

○ ぜひ、この実証試験のケースのように、大阪の企業の持つ技術が、ダナンの環境改善に活用され、交流が拡大していくことを期待しております。なお、この実証試験は、今年も続けて行われますので、ダナン市の皆様におかれましては引き続き、ご協力くださいますようお願い申し上げます。
〜通訳〜

○ 今回の訪問の成果を活かして、今後とも、ダナン市と大阪が経済、環境、人的交流など様々な分野で更に関係を強化し、ともに発展していけるよう、当議員連盟としても活動してまいりたいと思っております。
〜通訳〜

○ 皆様方のご厚意に対しまして、重ねてお礼を申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
〜通訳〜

グエン・ニォー・チュン副議長(右)と中村議員の間には両国の国旗とその真ん中にホーチミン像。チュン副議長は、空港・港湾・道路の整備などに大規模な投資を行い、海外からの投資を呼び込みたいと説明された。訪問団からは特に、電力の安定供給は間違いないのか、石炭・石油などによる発電以外の太陽光発電などの自然エネルギーへの取組み、港湾整備などによる物流関係の充実策、東西経済回廊の状況などについて質問しました。

大阪城が透かし彫りになった「欄間」を記念品として中村団長からグエン・ニォー・チュン副議長に渡す。

記念品を交換した後に全員で記念撮影。

続いて行われたダナン市人民委員会(ホー・キー・ミン副委員長)と意見交換。     (挨拶は評議会の時と似ているので省きます)

ベトナム・ダナン市トークアンの水産加工団地内のハロン工場を訪れ、排水処理の水質改善事業の実証実験について説明を受ける。滑ツ境総合テクノスの海外事業グループの中家マネージャーがわざわざ大阪から来ていただいた。

水処理の現場で指を指しながら質問する中村議員。

ホイアン市を訪れ、グエン・バン・ソン副市長らに中村議員が訪問団のメンバーを紹介。この後、中村議員は「ホイアンは古い街並みが世界文化遺産として登録され、多くの観光客で賑わっている。旧市街には、『来遠橋(らいおんばし)』(別名:日本橋)という日本とベトナムの交流の歴史を示すシンボルもあり、日本とも大変ゆかりのある街だ。大阪府には、4世紀〜6世紀前半に作られたとされる古墳群があり、現在、その古墳群の世界遺産登録を目指して取り組んでいる」と挨拶。

意見交換を終え、市役所正面で記念撮影。

ランタンが灯るホイアンの世界遺産の街並みを視察する。約2週間後の8月15日より、ホイアン・日本祭りが開催されるが、2年前には日本で初めて、堺市でもホイアン祭りが開催された。その際は、ズン市長も祭りに参加された。中村議員ら訪問団は、世界遺産の町並みを地元市民はどのように管理し、観光に力を入れているのかを調査した。感心するのは非常に衣料品店が多いこと。

古い街並みを、近隣諸国からだけではなく、欧米と思われる人など多くの観光客が訪れていた。

古い町並みと観光客を守るためバイクなどを進入禁止にしている看板。

★8月5日

ダナン市中部の日系企業のカネエムダナンを訪問し、挨拶する中村議員。

カネエムダナン社では多くの従業員が作業している。黒い帽子をかぶっている人がリーダーで、15~20人くらいに1人いる。

直接工場の中に入り、作業の状況を見学する。ミシンをかけているのはスニーカーの一部。

ハノイへ向かう直前にレストランに立ち寄って昼食。ここのスープはココナッツの実をくりぬいてお椀にしている。不思議に燃えてこない。

ダナンの空港に到着。中村議員の後ろに工事中の建物が見える。

ハノイのタンロン工業団地にある「フジキン・ベトナム」を訪れ、金子社長の案内で工場を見学。フジキンは大阪が本社で、宇宙ロケット用バルブ、半導体用バルブなどを手がける日本有数の企業。

精密製品を扱うため、室内はチリなども皆無に近い状態に保たれている。

工場見学後、再び社長に質問する訪問団。進出による効果、進出の際に困難であった課題やその解決策、大阪の企業が海外へ進出する場合、何が問題となるかなどの意見交換を行った。

フジキンの正面入り口前で関係者が記念撮影。

 この後、空港へ向かい、食事の後、搭乗手続きをして帰国の途に。観光客用の大型ショッピングセンターにも立ち寄る時間もなく、ハードな日程でした。訪問団が関空に到着するのは8月6日の早朝のため、中村議員は参加者全員に、搭乗直前、「皆さん、大変お疲れでした。まだ帰国してはいませんが、明日は早朝でもあり、ここで最後のご挨拶をします。まず、随行してくれた長見さんには本当にご苦労様でした。お蔭で無事、日程をこなすことができました。また訪問団の皆さんには、今回の訪問日程は大変ハードでしたが、誰一人怪我や病気もなく、ほぼ予定どおりに日程を消化できたことを嬉しく思っています。ベトナムの今の姿を目の当たりにし、また人民委員会などでの意見交換で貴重なお話もあったと思います。これをこれからの府政の中にしっかりと活かしていけるように頑張ってまいりましょう。」と挨拶しました。
 今回の訪問に当たって、議会事務局の皆さん、ベトナム総領事館の皆さん、現地ベトナムのいろいろな機関の関係者にはお世話になりました。ここで厚くお礼申し上げます。