バックナンバー 2017年 盛夏号
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1.森友問題の真相はなお解明されず

 国有地の格安の売却や小学校開設認可問題の疑惑などを解明するべく7月10日、大阪府議会が森友学園の籠池前理事長を参考人として招致し質疑を行いました。
 この日は空席となっていた副知事の人事案件などのために設定されたものですが、この日に森友問題の真相解明に向けた参考人招致を実施することに各会派が賛同して実現したものです。
 冒頭、籠池前理事長が経過や思いを語り、これに対して維新の会、自民党、公明党の3会派が質問を行いました。共産党・民進党は残念ながら質問の機会を得ることはできませんでした。
 中村議員が午前11時頃に登庁すると、正面玄関の所には報道陣でいっぱいであったため、その中にいる職員に「何をしているのか」と尋ねると、「籠池前理事長がこちらに向かったということで、それを待ち受けている」とのこと。早速、中村議員はカメラを出してそれをパッチリ。


 午後から始まった参考人招致は、写真のように報道関係者とともに、一般の傍聴者も多数詰め掛け、久しぶりに超満員の議場になりました。

議場の様子

質問に答える籠池前理事長

 この日の参考人への質疑は、特に自民党が詳細に時間をかけて、
@ 国有地売却に関しての近畿財務局と大阪府とのやり取り、
A 学校認可に向けた私学審議会の扱い、
B 政治家の関与、
C 安倍総理と同夫人との関係、特に100万円をもらったのかどうか、
D 生徒募集に安倍晋三記念…と冠をつけての問題など、多くが取り上げられましたが、新聞などが報じている以上のものは判明しませんでした。
 籠池前理事長だけではなく、松井知事や私学関係者、近畿財務局職員などを呼んだ100条委員会がやはり必要ではないかと、改めて思います。


2.法定協議会が始まる

 大阪市を廃止し、特別区に分割するという都区制度設置のための手続きを進める法定協議会が始まりました。
 大阪府・大阪市のそれぞれの議会で設置議案が維新の会・公明党の賛成で可決され、6月27日に第1回の協議会が開かれました。松井知事らは来年の秋には住民投票まで進めたいと主張し、法定協議会の議論を加速したい考えですが、前回も十分な議論が行われないままに、住民投票へ無理やり持って行った経過があり、今回はそれ以上に短期間であり、かなりハードなスケジュールを組んで進めていくことが予測されます。
 中村議員は共産党とともに法定協議会には参加できず、これを慎重に見守っていきたいと語っています。


3.中村議員の委員会質問(医療水準を低下させない)

 大阪南部地域の医療水準維持・向上のために大きな役割を果たしてきた大阪市立住吉市民病院の廃止が目前となる中、府議会健康福祉常任委員会が6月23日に開かれ、このテーマの集中審議が行われ、中村議員も質問に立ちました。

質問する中村議員

 この問題はもともと、橋下知事時代に「大阪府立病院と大阪市立病院が近隣にあり、これは二重行政の最たるものだ」として、機能統合を進めてきたものです。

★その経過は、

  • 平成24年から府市統合本部で住吉市民病院のあり方が検討され、府と市の戦略会議で大阪市立住吉市民病院(198床)を廃止し、府立急性期・総合医療センターに機能統合する方向性(97床を移管)を確認。

  • 住吉市民病院の廃止の案に地域住民から強い批判が出され、市民病院跡地に民間病院を誘致することを決定。
  • 民間病院の公募を行うが応募がなし。
  • 市が楠公病院を誘致することに決める。
  • 住吉市民病院廃止の考えを大阪府医療審議会に諮るが、圧倒的に否定的見解が示される。
  • 知事が医療審議会で反対多数の案を、病院再編計画案として厚労省へ承認申請
  • 厚労大臣の同意
  • 住民説明会などで経過説明
  • 南港病院が事業撤退の申し出
  • 再建計画案が破綻
 このような異常な経過をたどってきた再編計画ですが、破綻したからと言ってこのまま済ますことは出来ません。そのことから、自民・共産両党とともに民進党の中村議員も強く集中審議の必要性を主張し、23日の開催となったものです。
 質問は、維新の会、自民党、公明党、共産党、民進党の順であるため、同様な項目で質問する議員があり、中村議員は当初に予定していた問題を相当省略することになりました。
 この23日の質問と答弁の要旨は次のとおりです。

【住吉市民病院廃止に伴う病院再編計画について】

Q1 中村議員

 まず、市立住吉市民病院についてお聞きする。住吉市民病院は大阪府保健医療計画において、どのような立場にあるのか。

A1(保健医療企画課長)

 平成25年4月に策定した大阪府保健医療計画において大阪市立住吉市民病院は、比較的高度な周産期医療を提供する地域周産期母子医療センターとしての機能を担う病院として位置づけられている。

Q2 中村議員

 住吉市民病院の位置づけについては分かった。そういった機能を担っている住吉市民病院は平成30年3月末に廃止が決まっており、大阪市南部地域の医療を確保するために本病院再編計画を策定し、厚生労働大臣の同意を得て、計画を推し進めていたが、この病院再編計画が破綻したのはなぜか。また破綻した責めはどうなるのか。

A2(保健医療企画課長)

 病院再編計画において、住吉市民病院跡地へ誘致する予定であった南港病院の整備については、建築基準法に基づく日影規制により、住吉市民病院北側敷地に新病院を建設できないことが判明し、完成が2年間遅れることとなった。
 このため、この間同病院と市において対応を協議し、新病院完成までの間、南港病院が住吉市民病院跡地において暫定診療を行うため関係予算案を市会に提案したが成立しなかった。その後、市と南港病院で対応を協議してきたが、南港病院の総合的な判断により本年5月17日に事業予定者を辞退されたことから、再編計画の見直しが必要となっている。
 府は、病院再編計画について、大阪市や府市両病院機構とともに実現に向けて取り組む立場にあり、今後は、これまで以上に関係者で情報共有や連絡調整を密にして、計画の見直しに取り組んでいく。

Q3 中村議員

 病院再編計画の見直しに取組むとのことだが、そもそもこの病院再編計画は、橋下元知事が「府立急性期センターと大阪市立病院は二重行政の象徴だ」と主張し、その後、府市の二重行政の解消という目的で進められてきたと理解している。市立住吉市民病院と府の急性期・総合医療センターは、そもそも二重行政の一つだったのか。

A3(保健医療企画課長))

 急性期・総合医療センターは、高度な周産期医療に加えて通常分娩など一般医療も担っている。また、住吉市民病院においても比較的高度な周産期医療を提供しており、ともに地域周産期母子医療センターに位置づけられている。
 これまで、近接した両病院の機能については、医療資源の最大限の有効活用や、府民及び市民サービスの最大化という観点からの検討は行われていなかった。
 府市統合本部会議では、急性期・総合医療センターへの機能統合により、ハイリスク分娩や重症小児患者への対応について、機能強化を図るなど、幅広い観点から議論が行われ、方向性が決定したもの。

Q4 中村議員

 府と市の病院が距離的に近い場所にあって、地域住民のニーズに応じてサービスを充実してきたということであれば、二重行政ではなくむしろ、「充実行政」というべきだと申し上げたい。
 ところで、病院再編計画を厚生労働大臣に協議するときは、都道府県の医療審議会の意見を附することとなっているが、本病院再編計画にかかる医療審議会の意見については賛否がわかれた意見書を附している。もちろん、懸念の声の方が圧倒的だった。
 このようなことは他の都道府県で事例はあるのか。

A4(保健医療企画課長)

 平成28年3月10日の参議院厚生労働委員会において、塩崎大臣は、「再編統合による特例の協議は、平成17年1月から23件存在しているが、本件以前に反対多数の意見が付された例は他にございません。」と答弁されている。

A5(保健医療企画課長)

 住吉市民病院廃止に伴う病院再編計画については、同病院の跡地に誘致する予定であった南港病院の辞退により、計画の見直しが必要となっている。
 再編計画の見直しにあたっては、大阪市とともに府市の病院機構をはじめ、民間病院等への協力依頼を行い、未受診妊産婦の受け入れなど、これまで住吉市民病院が担ってきた機能を継承できるよう早急に検討するとともに、大阪市南部地域における高度な小児・周産期医療の確保に向け、府市共同住吉母子医療センター(仮称)の平成30年4月の供用開始を目指し取り組んでいく。


4.新名神高速道路でNEXCO・府などに要請

 新名神高速道路は八幡JCT〜高槻第一JCTを結ぶ約11qの事業で、枚方市北部を通過します。民進党の中村議員や平野衆議員議員、枚方市議らは6月30日、ネクスコ西日本や大阪府の職員らの案内で、八幡〜枚方の現場を視察し、現状と今後の事業のあらましの説明を聞きました。

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写真説明:

  1. NEXCO大阪東事務所長らが完成予想図を示しながら現地で説明
  2. 地上へ出て高槻へ向かう方向を確認する中村議員
  3. 現地事務所で説明を聞き意見交換
    左側の席に議員団(左から3人目が中村議員)、
    右側の席はNEXCOなど(奥から4人目が説明する諸冨所長)
  4. 説明を聞く中村議員


 新名神の事業は現時点では用地買収が中心となっていますが、これと並行して、新名神へのアクセス道路となる内里高野道線を国道1号まで大阪府が約1q整備し、新名神完成に合わせることにしています。
 また一方、これまで地元自治会などから出されていた要望事項として、
  1. 併設橋を設置する、
  2. スマートICを枚方市内に設置する、
  3. 排ガス・騒音対策、排水対策など
についてはまだ十分に対応できておらず、参加した議員団は「理解が得られるよう可能な限り対応していくこと」と、強く求めました。


5.森友学園問題で籠池氏を参考人招致

 大阪府議会は7月3日、国有地の激安売却や小学校設置申請、補助金不正受給等の疑惑が問われている森友学園問題の籠池前理事長を招いて、臨時府議会で質問することを決めました。
 この日はまず、籠池氏から説明を10分程度聞いた後、維新・自民・公明の順に質問します。共産党と民進党は交渉会派条件の5人に満たないため、質問に参加できません。籠池氏は東京都議選の際にもテレビなどで放映されているだけに、当日は相当な傍聴があるものと思われます。詳細は質問終了後にお伝えします。


6.知事への夏の提言・要望は8月3日に

 中村議員はいま、精力的に松井知事へ提出する「平成29年9月議会と来年度予算編成に向けた提言・要望」を整理しています。
 これまで民主党・民進党議員団として、夏と年末に予算等に対する提言・要望を実施してきました。現在はただ1人の会派になってしまいましたが、「提言・要望をしないわけにはいかない。これまでは議員が府政の課題を手分けして整理してきたが、余りにも範囲が広いため、これまでのような調査・整理は1人では難しい。そのため多くの方々との意見交換やご指導をいただきながら何とか月末までにまとめていく」と語っています。
 また、府内の市町村が府に対して要請している課題の整理も行い、これについてもしっかりと対応していくため、現在、府内の市町村への問合せなどを行っています。


7.府が国に対して要望活動

 府は今年も6月、「国の施策並びに予算に関する提案・要望」を行いました。また、これまで毎年度、各省庁への要望活動と合わせて大阪選出の国会議員にも説明して協力を求めるとともに、府議団にも説明を行ってきました。
 府の政策企画部から事前に「提案・要望」の説明を受けた中村議員は民進党の国会議員団に対し、「大阪府からの提案・要望については、実現のために超党派の取組みを強めてほしいというものが多くある。しかし一部、私達が目指しているものとは相当異なる課題もある。特区を活用して規制緩和という名のもとに展開しようとしている基準変更は、現場の混乱や施策の質低下の恐れが心配だし、国民の賛否が拮抗しているIR・カジノ問題などは党本部でも十分に対応を議論してほしい」と語りました。

◆ 国への要望項目

★主要最重点要望では、

1.大都市圏の成長を通じた日本の再生として
  1. 競争環境の整備を挙げ
    • うめきた2期の推進
    • IRリゾートの立地実現
    • 国際博覧会の大阪誘致
    • ラグビーワールドカップ2019花園開催への支援
    • コングレスの大阪誘致
  2. 都市基盤等の強化では
    • リニア新幹線
    • 北陸新幹線
    • 高速道路ネットワークの充実
    • 国際コンテナ戦略港湾・阪神港の機能強化
    • 関西国際空港対策などを挙げました。
2.成長と安全・安心を支える国の形づくりとして
  1. 防災・減災の推進として
    • 南海トラフ巨大地震などの大規模災害対策
    • 災害に強い都市づくりのため、密集市街地の整備、耐震化の促進
  2. 分権型の国の形への転換として
    • 税財源自主権の確立、国庫補助負担金改革(地方交付税の法定率引き上げ、臨財債依存体質の脱却など)
    • 企業の地方拠点強化税制における支援対象地域の見直しなどを挙げました。

★最重点要望では、

1.セーフティネットの整備として
  1. 国保制度改革
  2. 福祉医療費公費負担制度の創設と国庫負担金減額措置の廃止
  3. 児童虐待対策・障害者対策の充実などを
2.子どもの学びと育みを支える施策の充実として
  1. 子どもの貧困対策
  2. 待機児童の解消
  3. 教職員の定数改善
  4. 私学助成の拡充
  5. 私立幼稚園の認定こども園への移行促進
3.誰もが安心して暮らせる大阪の実現として
  • 建設発生土の適正処理のための法整備
  • 警察基盤の充実
  • 子どもへの性犯罪対策
などとなっています。

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 中村議員が国会議員団に十分な議論を求めた中で、例えば、待機児童の解消という課題での府の提案・要望では、「国が定める保育所の床面積の基準や、保育士等の人員配置基準の緩和など」を求めています。
 中村議員は、「府が要望しているこの案は、保育の質低下につながる恐れがあり、保育現場での死亡事故などが起きている中では慎重でなければならない。他の項目などとともに、知事に改めて提言していく」と語りました。
 また、民進党国会議員団は、府からの説明を受けた際に、平野議員、矢田議員らから、
  1. 外国人専門人材の受入れは犯罪発生率の高い中で問題はないか、現在の就労状況どうなっているか
  2. 密集市街地対策は30年前からの課題であるが遅々として進んでいない
  3. 給食の無償化に向けた取組みの状況
  4. 認定こども園の課題の具体的説明をしてほしい
などの意見がありました。


 大阪府議会議員 中村哲之助ホームページ