2016. 6. 1 
 最近、ある漫画(コミック)に嵌まりました。私は月に数度、枚方市の図書館に行き、小説を中心に何冊かの本を借りています。多い時は1ヶ月で20冊も借りることがありますが、先日、香里ケ丘図書館へ本を返しに行ったとき、ふと目についたのが、「市長 遠山亰香」というものでした。作者は赤石路代(あかいし・みちよ)さんという方で、これまでこの方の書かれた本は知りませんでしたが、題名に興味がわき、手にとってぱらぱらとめくると「うん?」と思い、思わずそこに並んでいる1巻から11巻までを借りました。途中の何冊かは抜けていたのですが、帰宅して読み出して驚きました。
 このコミックは、ある都市のそれも人口290万人という設定ですから、横浜市くらいの感じ(ここでは華浜市という設定)ですが、短編・連載のようになっているので、5分、10分という短い時間で区切りがつきます。それで、府庁と自宅の道中、京阪電車の中で読むことにしていました。テーマが凄いのです。待機児問題、いじめ、不登校、教員のセクハラ、手抜き工事、高齢者相手の詐欺と消費生活センター、たらい回しと医療問題、給食費の不払いとその原因、暴走族、介護疲れと現場の荒廃、ゴミ屋敷、大地震と救援活動、汚職事件など、実にいま毎日のように話題になっている課題が次々に出てきます。
 さらに、このテーマは色々とひねられていて、若い女性市長の人気が凄いことを妬み、恥をかかせてやろうとする助役(今は副市長)があれこれと動いて失敗したり、優柔不断な消防長が住民の安全優先ではなく、自分の立場が不利にならないようにしか行動せず、危機に接しても極めて不適切な行動をし、後で反省するなど、それぞれのストーリーが実に巧みに脚色されているのに感心しています。それが10年以上も前に書かれていることに驚きです。
 いま東京都の舛添知事の政治資金と公私混同の話題で持ちきりですが、この本を読んでほしいものです。作者である赤石さんの設定テーマの凄さ、問題点の指摘としなやかな発想、主人公の人間愛、これを支える夫の素晴らしさ…、政治家は確あるべきと感心しました。途中欠けている何冊かをいつ読めるのか楽しみです。11巻で一旦終わりとなっていますが、続きはどうなるのか、待ち遠しい限りです。本当にいろいろと教えられます。「赤石先生、ありがとう」と感謝です。
  
2016. 6. 1