新刊 10月          「おちばのしたをのぞいてみたら…」

                           
『絵とき・世界の国旗』          板倉聖宣著 仮説社
  とても美しく楽しい本が出た。題名からして「科学読物?」と思われるかも知
れない。しかし、この本は、ただ世界の国旗を羅列しているのではない。問いかけ
ながら世界の国旗を紹介すると同時に、その国の歴史や人々の願い、宗教なども読
みとれるように工夫されている。著者は言う。「〈世界の国旗の見方考え方〉が身に
つくような読み物になっている」と。まさに科学の本である。
 最初に世界の国旗の一覧が出て「あたなは、どの旗、どんな旗が好きですか。」
とある。自分の好みに合わせて楽しくながめられる。所々に余白の国旗がある。新
しくできた国旗を自分で描けるように工夫されている。
 次には〈変わった形の国旗・国旗の色〉がある。国旗の色などには、いろんな色
が使われていると思われるがほぼ5色にしぼられているという。なるほど。
 次は〈北ヨーロッパと十字の旗〉と〈世界中の十字の国旗〉と続く。〈十字〉に
もきちんとした意味があって、世界の歴史の流れも垣間見れる。
 次は〈南アフリカ共和国の国旗〉、〈ヨーロッパの三色旗〉の話。三色旗の三色に
それぞれの国の平和への願いが込められている。この旗もヨーロッパに多い。
 次は〈三日月の国旗〉の話。「世界の国旗には太陽よりも三日月をデザインした
旗のほうが多いのです。なぜだと思いますか。」とある。読んでいて「なるほど、
世界にはいろんな人々がいるのだ」と実感できる。
 これから先も興味がつきない。最後にある〈変わる国旗〉で「国旗も変わるのが
ふつうです。」とある。頭が柔らかくなる。        2000,8刊 2,000円
 
『おちばのしたをのぞいてみたら…』皆越ようせい写真・文 ポプラ社
  雑木林の中の落ち葉の下、ほとんど生き物など見えない(見ていない)世界に
焦点を当てた写真絵本である。この本のように、落ち葉の下を取り上げた類書はな
いではないが、この本ほどシャープに落葉下の微小生物を紹介した本はないのでは
ないか。写真の持つ迫力である。
〈あとがき〉に
「 落ち葉の下は、暗くて、もの静かなところと思われがちですが、実は、小 
  さな生命が息づいているにぎやかな世 界なのです。 … 」
と書かれている。その〈にぎやか〉を演出している主たちが、次々と大画面で出て
くる。
 ワラジムシ、ヤスデ類、オオゲジもほんとに美しい。シーボルトミミズなんてお
目にかかったことがない。こんなに青い艶のあるミミズはどこにもいるのだろうか。
そのほか、トビムシ類に、ダニ類、小さな小さな貝の仲間もいる。一人前に二本の
ハサミを振り上げているミツマタカギカニムシという、サソリのミニチュア虫まで
いる。
 次に、シマミミズの出生中の写真、ミミズが落ち葉を運ぶ写真、ミミズがウンチ
している写真も感動的だ。うんちについては、その他ヒメフナムシのうんち、ヤス
デのうんちが紹介されている。
 以下、写真と共に
「はっぱは やがて おちばに なって」、「むしたちの うえに ふりつもる」
「おちばの したで つづいていく いのち」、「おちばの したを のぞいて ごらん。」
と頁は続いている。最後に、虫たちの実寸法がわかるように一覧表が準備されて
いる。
                            2000,8刊 1,200円

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