新刊 10月 「おちばのしたをのぞいてみたら…」
◆『絵とき・世界の国旗』 板倉聖宣著 仮説社
とても美しく楽しい本が出た。題名からして「科学読物?」と思われるかも知
れない。しかし、この本は、ただ世界の国旗を羅列しているのではない。問いかけ
ながら世界の国旗を紹介すると同時に、その国の歴史や人々の願い、宗教なども読
みとれるように工夫されている。著者は言う。「〈世界の国旗の見方考え方〉が身に
つくような読み物になっている」と。まさに科学の本である。
最初に世界の国旗の一覧が出て「あたなは、どの旗、どんな旗が好きですか。」
とある。自分の好みに合わせて楽しくながめられる。所々に余白の国旗がある。新
しくできた国旗を自分で描けるように工夫されている。
次には〈変わった形の国旗・国旗の色〉がある。国旗の色などには、いろんな色
が使われていると思われるがほぼ5色にしぼられているという。なるほど。
次は〈北ヨーロッパと十字の旗〉と〈世界中の十字の国旗〉と続く。〈十字〉に
もきちんとした意味があって、世界の歴史の流れも垣間見れる。
次は〈南アフリカ共和国の国旗〉、〈ヨーロッパの三色旗〉の話。三色旗の三色に
それぞれの国の平和への願いが込められている。この旗もヨーロッパに多い。
次は〈三日月の国旗〉の話。「世界の国旗には太陽よりも三日月をデザインした
旗のほうが多いのです。なぜだと思いますか。」とある。読んでいて「なるほど、
世界にはいろんな人々がいるのだ」と実感できる。
これから先も興味がつきない。最後にある〈変わる国旗〉で「国旗も変わるのが
ふつうです。」とある。頭が柔らかくなる。 2000,8刊 2,000円
◆『おちばのしたをのぞいてみたら…』皆越ようせい写真・文 ポプラ社
雑木林の中の落ち葉の下、ほとんど生き物など見えない(見ていない)世界に
焦点を当てた写真絵本である。この本のように、落ち葉の下を取り上げた類書はな
いではないが、この本ほどシャープに落葉下の微小生物を紹介した本はないのでは
ないか。写真の持つ迫力である。
〈あとがき〉に
「 落ち葉の下は、暗くて、もの静かなところと思われがちですが、実は、小
さな生命が息づいているにぎやかな世 界なのです。 … 」
と書かれている。その〈にぎやか〉を演出している主たちが、次々と大画面で出て
くる。
ワラジムシ、ヤスデ類、オオゲジもほんとに美しい。シーボルトミミズなんてお
目にかかったことがない。こんなに青い艶のあるミミズはどこにもいるのだろうか。
そのほか、トビムシ類に、ダニ類、小さな小さな貝の仲間もいる。一人前に二本の
ハサミを振り上げているミツマタカギカニムシという、サソリのミニチュア虫まで
いる。
次に、シマミミズの出生中の写真、ミミズが落ち葉を運ぶ写真、ミミズがウンチ
している写真も感動的だ。うんちについては、その他ヒメフナムシのうんち、ヤス
デのうんちが紹介されている。
以下、写真と共に
「はっぱは やがて おちばに なって」、「むしたちの うえに ふりつもる」
「おちばの したで つづいていく いのち」、「おちばの したを のぞいて ごらん。」
と頁は続いている。最後に、虫たちの実寸法がわかるように一覧表が準備されて
いる。