2003年2月 新刊

                         ―わたし好みの新刊―  2月 
『吹く楽器にチャレンジ』(リサイクル楽器を楽しもう) 
                 上畑美佐江作高村忠範絵 汐文社
 「リサイクル楽器を楽しもう」シリーズであるように、あくまで自分で作った音を
楽しむ本である。身近に転がっている廃品を利用して楽器としての音を楽しむこ
とができる。この手の本は多く出版されているが、この本には新しいアイディア
もあるので取り上げた。
 一つは「ストローのチャルメラ」の振動部分の簡易さが良い。今までから、スト
ロー笛を鳴らす方法として、別にリードをつける(A)か、ワニ口のようにストローの
先をとがらせて吹く方法(B)があった。(B)の方法は簡便であるが、ある程度吹く
力が要求される。この場合、幼児の場合や連続して音階などを楽しむのには少
し無理がある。その点、この本の方法はまことに楽にふける。しかも、リードをつ
くるのも簡単である。これなら、連続した音階にも楽々挑戦できる。
 また、従来の〈あきかん笛〉では、空き缶にストローをつけるのに少し不安定な
面があった。その点、この本ではプルトップを利用してくっつけるといううまい方法
を見つけ出している。その他、〈ストローの水笛〉〈牛乳パックのフルート〉等、この
本ならではのアイディアが生かされている。
 著者は「ピアノ教師やリトミック講師をするかたわら、リサイクル楽器を作り始め、
リサイクル楽器の演奏活動を開始、小学校やエコ関係のイベントに出かけている」
という。ものを作る楽しさと、音を楽しむことを心がけている人である。 
 2002,11刊 2000円
 
 
『ことわざの探検』(ことわざの学校) 
                       時田昌瑞著  アリス館
 ことわざに関する手ごろな本が出た。この本は、〈ことわざの学校シリーズ〉全5
巻の一冊で、文章も読みやすい。
 第1部は「身のまわりのことわざをさがす」になっていて、身近な所からことわざ
を探り出している。ことわざは、あんがいわれわれの身近な所でうまく利用されて
いることがわかる。「一石二鳥」「一か八か」「目には目」など、子どもの漫画や雑
誌の中でも積極的に使われているという。その他、街角や道ばた、商品の広告、
子どものおもちゃに至るまであらゆる所でことわざは有効に使われている。
 企業などでの使われ方がおもしろい。「出る杭をのばします」「出る杭、出てこ
い」などという求人広告、「能ある鷹は爪を出せ」、「犬も歩かにゃ棒に当たらん」
などの積極的な生き方を求めた言葉はうまい。予備校の広告にある「いい予備
校は、不幸中の幸いです」などまことに要を得ている。
 第2部は「歴史の旅をたどってみよう」。これもおもしろい。「牛に引かれて善光
寺まいり」「うだつが上がらぬ」の「うだつ」「清水の舞台から飛ぶ」等の意味がさ
ぐられている。その他、いろはかるた、干支でのことわざ等、昔からの人々の生
きる知恵としてことわざが紹介されている。人々にとってことわざは、〈生活のす
べ〉であることがよくわかる。                      
                                 
2002,10刊 1,200円 

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