6月 新刊案内


   
『コロリン』
                      島野公利・小出雅之・宮地祐司共著 仮説社
 〈お茶の間仮説実験〉というちょっと風変わりな本が出た。〈仮説実験〉というのは、本格的
な科学教育をめざして教育改革に取り組んでいる仮説実験授業(板倉聖宣氏提唱)の手法
を真似た呼び名である。普通は学校の授業等で行われる仮説実験授業を、お茶の間や街頭
でも気軽に楽しめるように、著者達はいろいろな実験指南書を工夫している。この「ころりん」
もその中から生まれた。今までに、教師たちの中ではかなり実施されていて各地で好評だっ
たので、今回本として出版された。
 というわけで、科学読み物というよりも、だれでもできるお手軽実験書である。「ころりん」と
いう名称は、その名の示す通り、ジュースの缶やかんづめの缶を転がして、いろいろ実験する
ことから名付けられている。
 【問題1】 中身の入っている〈かんジュース〉と〈シーチキンかん〉があります。
       この2つのかんづめを同時に斜面で転がすと、どちらが先に下まで転
       がるでしょうか。(本文要約)
というような〈問題〉から始まる。
 一連の〈問題〉には、身近な実験道具で次々と〈ころりん〉の謎を解いていく楽しみがある。簡
単そうだがなかなか予想どおりにはいかない。意外な結果になる。
 途中に、ガリレオの斜面実験の話等も挿入されているが、この「ころりん」の原理はなかなか
むつかしい。いずれにしろ、実験を楽しむには役に立つ本である。
                                          2003,1刊 1,800円 
 
『う・ん・ち』            なかのひろみ文 ふくだとよふみ写真 福音館書店
 〈うんち〉総合図鑑のような本が出た。今までにも、『みんなうんち』(五味太郎さく・福音館書
店)や『うんちをしたのはだ〜れ?』(石原誠著・大日本図書)など出ているが、今回のこの本は
哺乳動物から鳥類、は虫類、昆虫、軟体動物にいたるまで、かなり広範囲の生き物の〈うんち〉
を取り上げている。
 特徴的なのは、ただ、糞の写真だけでなく、各動物たちのウンチする姿までこまめに撮影さ
れていることにある。各動物たちの〈その時〉の表情までも楽しめる。
 最初の頁は各動物たちのウンチングスタイル。はずかしそうにしているものもいるし、堂々
としているものもいる。今にも匂いが飛び出しそうなのがライオンのウンチ、さすがうんちも動
物の王様。「うんちはくさい」と思いやすいが、そうとは限らない。「アゲハのうんちはさわやか
なにおい」とある。食べるものによってウンチの色が異なるカタツムリはきれいなうんち。超で
かウンチをするのはやはりゾウ、おしっこも水道のホースなみ。かわいいうんちはネズミたち、
なが〜いウンチはカニのなかま、クラゲやイソギンチャクは口からウンチ、へびのウンチは体
に似て長い?、鳥のうんちはおしっこのおまけつき等々、ウンチの話がまだまだ続く。
 著者達は多くの動物園、水族館の協力を得て撮影した。そのことがリアルな写真を生み出
し効を奏している。最後に「うんちずかん」としてまとめの頁がある。
                                         2003, 4刊 1,700円 

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