2003,
8刊 2,000円
『校庭の1年』 たかはしきよし絵文 岩瀬徹監修 偕成社
この本は、千葉県のある小学校の校庭の片隅を一つの観察ポイントとして、一年間
同じ場面を同じ視角で繰り返し描かれたユニークな絵本である。同じ場所を写真で連
続撮影した本は何度か見たが、ずっと絵で描いた本は初めてである。
この本では、春から次の春まで、ごく身近な〈雑草〉の成長や変化を中心に、同じ場
所を実に20回も連続的に描いている。ふだん子どもたちも訪れない校庭の片隅も、
〈雑草〉や小さな生き物たちの日常生活の場であることがよく伝わってくる。
はじめは、3月中下旬の場面から。セイヨウタンポポ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、
ナズナ、などがちらほら花をつける。それが、4月上旬の絵になると、もうお花畑に変
身、キタテハやモンキチョウなどもやってくる。
「それぞれの草たちはどのように姿を変えていくのでしょうか。」
と問いかながら、次の4月中下旬の場面に移っていく。ほんの数週間の間に、草たち
はどんどん成長し変化していく。
6月上旬が過ぎ、次の6月中旬の絵は急に枯れ果てた草原に変わっている。「あれ
っ?」と思っていると「草刈りがありました。」とある。この著者は、人間が開墾した場
所に生える〈雑草〉と、自然の野山に生える〈野草〉とを区別している。
最後に「この本の見方と解説」の項があり、26種の〈雑草〉をカレンダー風にまとめ
ている。身近な〈定点観察〉のおもしろさが伝わってくる本である。
2003,
7刊 2,000円
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