2005年4月    新刊

  『いろいろたまご図鑑』      伊沢みよこ編    ポプラ社
 いろんな生き物の卵や幼体を集大成した美しい図鑑が出た。「それぞれ,
なんとカラフルなのだろう」と思わず見入ってしまう。「虫とクモ」「鳥」「淡水
の生き物と両生類,は虫類」「海の生き物」「土の中の生き物」と分野が分け
られている。それぞれ,専門の写真家の写真と解説で構成されている。
 まず初めは「虫とクモ」。こちらは,いくらか見慣れている卵もあるが,ヤマ
トシジミ,アカタテハ,カメムシなどこうして見せられるとまるで宝石である。
 もっともカラフルで目を楽しませてくれるのが「鳥」の卵。赤あり,青あり,ピ
ンクあり,霜降ありで,よくもこれだけ他多様な〈卵〉を産むものだと感心させ
られる。写真の解説もおもしろい。その鳥がどんな生き方をしているか,簡
略に知ることが出来る。
バンは同じ巣に2羽のメスが卵を産むという。両つがいがせっせと仲良く子
育てをする。街中でギャーギャーさわぐあの椋鳥は透き通るようなブルーの
卵,同じく都会派のヒヨドリは赤い斑紋の卵,ウグイスは藪の中で赤色の卵,
青い羽根が美しいオオルリは真っ白の卵等々,それぞれ個性的だ。
 次に出てくる〈淡水の生き物〉の卵や幼体もまた美しい。サンショウウオ,
シマヘビ,ヤモリなどは孵化した時から凛々しい顔つき。〈海の生き物〉には
またカラフルな卵が多い。ヤリイカの幼生はこの世の生き物とは思えないほ
どカラフルな姿。〈土の中の生き物〉も美しい卵を産んでいる。ヒルの卵は特
別造形品だ。
 それぞれの生き物がこんなにも多様な卵を産み,命をつないでいるという
ことに驚かされる。                 2005年2月刊  1,650円 

                         
『太陽系の惑星』     フランクリン・M・ブランリー著 神鳥統夫訳  小峰書店
 太陽系の仕組みがさっとイメージできる楽しい絵本が登場した。原著者は,
アメリカで長年天文関係の博物館に勤めていた天文学博士で,150冊にも及
ぶ子ども向けの科学読み物を書いてきた人という。さすが,それだけのキャリ
アが感じれる絵本である。
しかも,神鳥統夫さんの訳,赤木かん子さんの企画と言うから〈役者〉がそろっ
ている。
 まず,この地球を眺める場面から始まる。9つの惑星の一つであることを確
認し,9つの惑星のラインナップを特徴のある絵を並べられる。
   地球のほかにも,知っている惑星があるかもしれない。
    9つの惑星の名前を, 全部知ってるかな?
    水星, 金星, 地球, … … 
   これが, 太陽の近い方からならべた 9つの惑星の名前。
    「スイ, キン, チ, カ  … … 」
とおぼえている人も いるだろう。
という具合に語りも簡潔で呼びかけ風である。
 後半には,「にんげんのすめるのは地球だけ。地球は〈生命の惑星〉なんだ
ね」,「人類にとって, 生きものすべてにとって地球はほど大事な星はない」と
続く。
 さし絵が大胆で子どもたちに語りかけている雰囲気が良く出ている。
 幼児から楽しめる宇宙入門絵本である。  
                              2005年2月 刊 1,800円

                       「4月新刊」へ