―わたし好みの新刊― 

    200904

『ヘビのひみつ』    内山りゅう 写真・文   ポプラ社

 ヘビにとことん密着した写真本である。ヘビにはよくでくわすが
近づいてまじまじと見ることがまずないので,大人でも興味がわく
本である。この本のページをくるごとに子どもたちの歓声が聞こえ
そう。

 まずは,表紙のクローズアップ写真に引きつけられる。静かなま
なざしのヘビの顔,美しい眼と不気味に光り輝くウロコ,冷静な生
きもの象徴である。ゆっくりとページをくりながら〈ヘビのひみつ〉
にせまってみよう。

 まずは脱皮の写真。目が白くなり,やがて口の先からするすると
皮をぬいでいく。ヘビは水中を泳ぐのも,木登りも得意。その秘密は
…。ヘビのお腹のウロコは,特別仕立てだ。一つ一つが横長に角張っ
ていて,うまくひっかかる仕組みだという。なるほど,このしくみと
長い体のバランスでスルスルと登るのか。ヘビのからだの模様は単な
る模様ではない。一つ一つが見事に敷きつめられたウロコになってい
る。ぺろぺろ舌を出してようすをうかがうヘビ。この細い舌で何を感
じているのだろうか。次は表紙に使われているあの鋭い目が登場する。
この目でカエルなど一のみするのか。「ぱくっ!」,あっ,ネズミを
まるのみだ。水中の魚まで捕らえている。そして,あの大きな鶏の卵
をまるのみ。口からこぼれ落ちそうな卵でもなんなく「ごっくん!」。
伸縮自在な皮膚が功をそうしている。卵からかえるアオダイショウの
写真も珍しい。最後にヘビのひみつ(しくみ)がまとめられているの
で参考になる。                
                    
20092月 1,200

『ペンギンの体に飛ぶしくみをみつけた!』
           
山本省三文 遠藤秀紀監修 くもん出版

『パンダの手にはかくされたひみつがあった!』など,今まであまり
調べられていなかった動物の骨の構造を明らかにして,その動物特有
の〈知られざる秘密〉にせまるシリーズである。なかなかおもしろい
シリーズである。

 今回は,ペンギンの体の仕組みにせまっている。最初に,人間やね
こなどの背骨が大きく曲げられる絵を書いて,「ねこ,ペンギン,ア
ザラシの中で,せぼねを曲げることができない動物は,どれだろう」
と聞く。体をくねらせる動物は背骨をまげることができるはず,とす
るとペンギンしかない。背骨というのはある程度自由に曲がるのがあ
たりまえという常識が「そうではない動物もいるのか」と気づかせて
くれる。ペンギンの種類や子育ての話が続いた後に鳥類の骨の話に進
む。そうなのか,鳥の手(つばさ)の先は…指である必要がないので
一つに合わさっている。羽毛の話に入る。「この羽毛,ほねのような
しんがありますが,ほねではありません」とある。空を飛ぶために大
きな力を受けるので,てっきり丈夫な骨になっていると思っていたが
「うろこがすがたをかえたもの」だそうだ。羽毛はしなやかなウエー
ブをつくるだけなのである。次に,骨の軽量化にもふれ,鳥の背骨は
骨の数が少ないという。なるほど,下半身の骨が一つにくっついてい
る。これで筋肉の数も減らして体重の減量につなげているのだそうだ。
そういえば,首だけ動かして歩いている鶏の姿も納得できる。鳥の体
型や胃袋の話もある。いずれも興味深い話である。
        
                 2009,01  1,400  ( 西村寿雄)

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