―わたし好みの新刊― 
  
                                200906

『でんきとあそぼう』 電気新聞編 吉光司指導・監修 日本電気協会新聞部   

 〈はじめに〉で,「電気は目で見ることはできません。でも実験を通して,わか
りやすく電気を目でとらえられるように工夫しました。この本を手に,先生といっ
しょに,電気のふしぎな世界へと旅立ちましょう!」とある。楽しい実験と工作が
めじろおしだ。

 第1章は「電気はじめてものがたり−誰が電気を見つけたか」である。電気はど
のようにして発見され,どのように知られるようになっていったのかを実験を通し
てわかるように仕組まれている。初めに静電気の実験を楽しみ,ターレスの静電気
発見の話へ,くだもの電池の実験で遊んで,ボルタの電池の話へとつなぐ。

 第2章は「フレミングの法則−電気・磁石・力の三角関係」。電気がここまで生
活に役立っているのは,電気と磁気の働きよっている。ここでは,その電磁気の働
きを工作と実験を通して学んでいく。「磁力の力を立体観察」「電気ブランコをつ
くろう!」など動きのある実験工作を通して,フレミングの法則や渦電流の話とつ
なげられている。同じように第
3章「電気をつくる」,第4章「電気が生み出す力」
5章「環境と電気と未来」と興味深い実験工作と話が続く。
 この本は,なんといっても全国の子どもたちや大人にむけて,電気実験や工作を
披露されてきた成果がまとめられているのがよい。作って遊んで歴史と原理がわか
る本である。
                    20092月 945

『うみのダンゴムシ・やまのダンゴムシ』皆越ようせい 写真・文 岩崎書店

ダンゴムシといえば子どもたちが手にとって遊ぶ人気の甲殻類。なのに,海のダ
ンゴムシ?
山のダンゴムシ?という題名に興味がそそられる。ダンゴムシは,海に
山に違った種が生息しているという。それぞれどのような生き方をしているのだろ
うか。

 まず,登場するのは〈海のダンゴムシ〉。海岸の石をのけたり,砂を掘り返して
ダンゴムシを探す著者。するといましたいました。黒い砂浜の中に,小さく丸まっ
たダンゴムシが…。やはり砂浜の砂にもぐりこんでいたのだ。ハマダンゴムシとい
う。ページをめくるとハマダンゴムシのクローズアップ写真がずらり。陸のダンゴ
ムシに比べると顔つきがやさしそうで足には毛が生えている。次に,なんと北海道
から沖縄県までのハマダンゴムシたちが登場してくる。とてもカラフルだ。砂浜の
色に合わせているのだという。甲殻類にもそんなうまい術が備わっているとは…。
ハマダンゴムシは,夜,浜辺に打ち上げられた海藻や魚や昆虫の死がいなどを食べ
ている。

 さて,次は〈山のダンゴムシ〉。町のダンゴムシとはまた種が違う。コナラの森
にいるというコシビロダンゴムシ。最後は,おなじみの〈町のダンゴムシ〉。こち
らはオカダンゴムシという種だそうだ。落ち葉だけでなしに,地面に落ちているお
菓子や鳥の糞まで食べる町のそうじ屋さんだ。町のダンゴムシにも色違いが棲んで
いるとのこと。ハナダカダンゴムシという新種もいるとか,この夏は,ダンゴムシ
探しもおもしろそう。 
                  2009,05   1,400                                

           新刊案内 6月へ