―わたし好みの新刊― 

  200909

黒い太陽のおはなし』 寮美千子文 佐竹美保絵 小学館

 2009722日は久々の皆既日食でわいた。しかし,あいにく,各地とも

天候が悪く,食の姿を垣間見た程度であった。

 しかし,日食現象は年に二度は,世界のどこかで起きている。地球上のど

こかで,皆既日食と金環日食がほぼ交代で見られる。それは,どうしてだろ

うか。この本は,そうした日食の起きる原因をやさしいお話でまとめている。

合間には,日食にまつわる世界の民話も紹介している。

まず,太陽が欠けていく場面から始まる。半分くらい欠けた場面で

   日食グラスで見ると、/太陽が/ぐんぐん欠けていくのがわかる。/

太陽が空を通る道と/月が空を通る道が重なっているからだ。

と,お話がすすむ。やがて,皆既日食になる手前で,太陽と月と地球の図が出

てくる。

けれど、新月のたびに、日食が起こるわけじゃない。/

    太陽と月と地球は、なかなか一直線にならない。/

    どうしてだろう?

と,次のページにすすんでいる。

 そこまでのお話の後,日本や世界の日食にまつわる民話が登場する。日食は,

悪魔や魔物,鬼神を人間は連想していた。何の前触れもなく闇につつまれたと

したら,そのように連想してしまう心境もわかる気がする。民話のあと,コロ

ナや金環日食の話と続いている。

 まだまだ,日食の余韻が続いている時に,再度,日食の話はどうだろうか。

                         20097月 1,600

 

チリメン モンスターをさがせ!』  きしわだ自然資料館監修 偕成社

  ちょっと風変わりな本が出版された。「チリメン モンスター」とは何だろ

うと首をかしげられるかも知れない。「チリメンジャコの中にまじって見つか

る小さな生きものたち,チリメン モンスター」とカバーにある。ようは,チ

リメンジャコにまじってくる小さな生き物のことである。

一昔前は,チリメンジャコの中にタコや小魚がまじっていて,それを見つけ

るのが楽しかったものだ。著者たちは,その楽しい思い出が忘れられず,今の

子どもたちにも楽しんでもらいたいという思いでこの本を出した。とはいえ,

今の市販のチリメンジャコは選別が行き届いていて,まずは〈チリメンモンス

ター〉にはお目にかかれない。そこで,ある業者が〈教材用〉として,特別に

配合した〈モンスター入りのチリメンジャコ〉を販売している。それを使って

楽しもうという本である。たくさんのチリメンジャコの中から〈モンスター〉

たちを探しながら海の小さな生き物に親しんでもらおうという企画である。

はじめに書かれている「海にくらす生き物たち」で,小さな生き物たちの種

類が書かれている。それらをまず頭に入れて,いよいよモンスター探しだ。見

つけやすさがランク付けされていて,密集したチリメンジャコの中からお目当

ての魚(モンスター)をさがすようになっている。何人か集まって小さなモン

スター探しするのも楽しい夏の一コマかもしれない。最後に,チリメンカード

も用意されている。ゲームも終わる頃には,海の小さな生き物博士になれるか

もしれない。                  20097月刊 偕成社 

              
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