わたし好みの新刊― 

 200911

『空気と水のじっけん』   板倉聖宣著 仮説社

 この本は1970年に国土社から出た同名本の復刻版である。

さし絵などは差し替えられているが,文章はほぼそのまま使

用されている。

空気と水を扱った小学生向きの本はいくつも出版されてい

る。しかし多くは,空気の存在に気づかせたり,空気と水の

性質を使った遊びの紹介が中心になっている。しかし,板倉

聖宣著『空気と水のじっけん』は,科学的な思考の楽しさを

体験できるように構成された,科学入門書である。

最初は,他の本と同様,空気の存在に気づく話がいくつか

続くが,本題では,「問題」,「予想」,「討論」(参考意見)

「実験」という構成で出てくる。それぞれの問題について,登

場してくる友だちの意見も参考にしながら「予想」をたてて,

「実験」結果を見ることができる。この本は読み物ではあるが

同時に実験書でもある。じっさいには家族や友人と予想をたて

ながら「空気と水」のなぞ解きを楽しむことが出来る。

この本の後書きでは「この本は,子どもたちが,自然につい

ていろいろななぞをもって,しらべていく−いわば〈探求の精

神〉を養うことをねらっているのです」と書かれている。

最後にある「なぜこういう教えかたをするのか」は,お母さ

んたちや科学教育に関心のある人には特に参考になる。私

は,教員養成大学で科学教育の基礎としてこの記事を紹介して

いた。 

                           20098月 2,200

 

『チャレンジ!太陽系』 デラノ・ロペス著 県秀彦監修 

少年写真新聞社

 副題に「実験と工作で探る宇宙の秘密」とある。本の中味

そのものは,類書も多い宇宙の本であるが,所々に挿入され

ている工作が楽しめそうだ。記載されている工作も,ほとん

どが簡単にできるものである。

 構成は,第1部「太陽系ってどんなもの?」,第2部「天

文学と宇宙探査」,第3部「太陽系をこえて」となっている。

 第1部の最初から,少し硬い文が続く。

 「では,太陽系って何だろう? 太陽系と、それ以外の

宇宙って何がちがうの?いくつもの天体をむすびつけて

ひとつのまとまりにしているのは何だろう?すごく簡単

にいうと、太陽系は太陽とその引力によってなりたって

いる。… 太陽系には太陽以外にも、惑星や小惑星、彗

星、流星などといった、太陽の引力によって太陽のまわ

りを回っているものもふくまれるし、惑星のまわりを回

っている衛星や環も全部ふくまれる。太陽の引力によっ

て太陽のまわりにとどまっているものは、どれも太陽系

の一部なのだ」

と解説がある。星空についてあまり知識のない人には読みづ

らいかもしれない。

 チャレンジ1 「太陽系の大きさはどれくらい?」

 チャレンジ2 「温室効果を実験」

 チャレンジ3 「土星の環をつくろう」

などと,26ほどの実験,工作が紹介されている。

 ちょっとやってみるとおもしろそうだ。

                20097月 2,300

                      
         「新刊案内11月」