―わたし好みの新刊― 

 201002

『天文学』  きらめく世界! (科学キャラクター図鑑)

サイモン・バシャー絵 ダン・グリーン文 原田佐和子訳

 玉川大学出版部       

なかなかユニークな本である。パラパラとページを繰ると,宇宙に存在するあら

ゆる天体が,色あざやかなキャラクターで描かれている。見ているだけでも楽し

い。数多い天体を,身近な存在として意識づけようという企画ととれる。多彩な

キャラクターには,一つ一つ解説がつけられている。こちらは,専門用語も飛び

出し高度な内容もまじる。親しみやすい誘い文で,難しい概念をカバーできるか,

子どもたちに聞いてみたい。

表題の『天文学』というより,宇宙のキャラクター図鑑として見ていくといい。

ちょっと,ページをのぞいてみよう。「ハレー彗星」の項

「カイパー・ベルトの寒い荒れ地から楕円軌道に乗ってつっこんできたわたしは、

彗星の中ではいちばん有名なんだ。いちばん明るいわけでも、はなやかなわけ

でもないけど、周期的に現れることが初めてわかったので、有名になった。つ

まり、わたしは太陽の周りを回り続けているのだ。地球の近くをよく通るので、

わたしは短周期の彗星といわれる。…」

これで,子どもたちの星好きが増えるといいのだが。

著者が素粒子の専門家であるからか,後半には耳慣れない言葉が続く。いきな

り「四次元の世界」と言われても,ちょっと足踏みしてしまう。

                                                     200912月 1,600

 

『地球が回っているって、ほんとう?』  布施哲治著   くもん出版

 地球が〈球〉であることや,地球の自転,公転をていねいに解きほぐした本

である。

 まず,はじめは地球が〈球〉である証拠をとらえていく。現在はもう,宇宙

ステーションからの地球の写真を見れば一目瞭然である。

 太陽自転の話の後に地球自転の話がくる。「日の入り」「日の出」の話から

入る。ふつうは,真横からの図でなんとか説明しようとするが,本書では,地

球の真上,北極側から見た絵で説明している。日本の位置さえ確認できればわ

かりよい。

「夜空で点のように見える星はみな、太陽と同じく、水素ガスがたまって

〈おしくらまんじゅう〉をして、自分でかがやいているものなのです」

とある。

この比喩表現は本当の理解につながるのかどうか。

 月の形の変化(満ち欠け)についても順を追って説明されている。〈夕方

に見える月〉をベースに解説がなされていく。ひとつひとつ確かめながら読

み進めると,初めて読む子どもにも太陽,地球,月の位置関係がわかるかも

しれない。

地球の公転については,星占いの12星座が順々に変化していくことから,

地球の公転を位置づけている。地球の公転と季節の変化は,地軸の傾いたこ

の図だけではわかりにくいのではないか。最後に,日食や月食の説明もある。

 いずれにしても,ボールや懐中電灯などを用意して,親子で確かめながら

読み進めていくと分かりやすいのではないか。読者にわかるように工夫され

た意欲的な本ではある。
                     200912  1,200
                
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