―わたし好みの新刊―
2010年04月
『じゅうりょくってなぞだ!』(みつけよう かがく)
フランクリン・M・ブランリーさく 山本圭香訳 福音館書店
子どもたちに,重力について考えるきっかけを与える楽しそうな絵本である。
最初に
「ぼくが ちきゅうのちゅうしんに むかって あなを ほったら どうなる
だろう。」
「できた あなに とびこむと したへ したへと おちていく。」
そのあと,ぼくはどうなるだろうかと問いかける。仮想の世界の空想である。
結果として,ぼくは地球の反対側に飛び出すのではなくて,何度も行ったり来た
りしながら,ついには地球の中心にとどまることになる。
つまり,重力は地球の中心に向かって働いているというわけである。ボールを
投げると落ちてくるのも,椅子に座っておれるのも,体重があるのも重力の仕業
だと説明する。
他の惑星など
「たいじゅうは ばしょによって こんなに かわる」
と説きながら,
「なぜ じゅうりょくが あるのか だれも はっきり わからない」
としめくくっている。
子どもたちに,重力に気づかせるのには,いい切り口だ。
ただ,ここまで展開すると質量,引力とのちがいにもふれないと,混乱する可
能性もあるのではないか。解説では丁寧に,そのあたりの関係が書かれている。
2010年01月 1,300円
『集めて調べる川原の石ころ』(サイエンス・ブックス)
渡辺一夫著 誠文堂新光社
著者が,長年全国の川原や海岸を踏破してきた実績を生かして「川原の石ころ」
に目を向けようという企画の本である。確かに川原や海岸の石は,水にもまれて,
見た目に美しい石が多い。
第1章「石ころの川原にでかけよう」では,地形図を見ながら,石ころのある場
所の選び方や注意点などを書いている。そして,第2章「自分流!石ころ標本をつ
くろう」では,川原で拾った石を,自分好みの名前をつけて標本にする事例を紹介
している。このあたりは,だれでも楽しく真似ができそうである。
第3章「石ころの正体はなに?」では,石を作っている鉱物に目を向けさせたあ
と,火成岩とか堆積岩,変成岩など,石の種類が書かれている。ただ,これだけた
くさんの石の名前が一度に並ぶと,初心者はちょっととまどいそうであ。
第4章は天竜川に焦点を当て,支流の流域によって石の種類が違ってくることを
とりあげている。よく似た石がつぎつぎと出てきて,その区別がちょっとむつか
しそう。
第5章は「この川この石ころに会いに行こう」というタイトルで,全国80河川の
主な石ころを紹介している。
あまり既成の石の名前にこだわらずに,この本を参考に,近くの川原で自分好み
の石ころ拾いを楽めれば,それでいいのではないか。
2010年02月 2,200円