―新刊 5月― 

                         20105

『楽しいストロー工作』

(キッズハンドクラフト)立花愛子・佐々木伸著 いかだ社

 ストローを使った簡単なクラフト工作は,いろいろ工夫されて多様に発表されている。この本

に書かれているように,「軽い! 曲がる! 水に強い! 安い!」がストローの良さであるが,

さらに加えて「いつどこででも手に入る」「強い」も良さの一つである。

 この本では,先に書かれた特長を生かして,曲げて編む工作や風を利用する遊び,水に浮かべ

て遊ぶ工作などの紹介がある。

 いくつか紹介してみよう。まず一つは「ダーツ吹き矢」。これに似た遊びとしてストロー吹き

矢が知られているが,幼児などには危ないことも心配される。その点,この「ダーツ吹き矢」は,

吹き矢そのものもストローだし,的も作るところに安心感がある。次は「ゴム風船自動車もおも

しろそう。自動車の本体はストローを編み上げて作っているので,軽くて動きやすくなる。「マ

ジックハンド」,「バタバタバード」,「チアガール」などはなかなか機能的だ。「浮沈子」は

科学遊びの定番だが,浮沈子そのものまでストローで作っているところがアイディアだ。ストロ

ーとスチレンの板,あるいはポリ袋を使った「グライダー」もある。軽さと強さを生かした工作

である。微妙な調節で安定した飛行が楽しめる。カラーのストローを使うと,また別の楽しみ方

もある。「ランタン」や「コースター」などは実用的で見て楽しめる。

ストローも,太さや色などいくつかの種類がある。それらを組み合わせるとまだまだアイディア

が生まれそうだ。                    20103月   1,400

 

137億年のなぞにせまる 宇宙のしくみ』

 監修 高柳雄一   主婦の友社

 宇宙に関する70あまりのテーマを取り上げ,それぞれの解説と関連する図版を見開きにセット

して,コンパクトにまとめた本である。難しい内容も含むが,一つ一つの文章は読みやすい。中学

生なら十分に読める。

 内容は,第1章「現在の宇宙の姿」,第2章「宇宙の広がりと進化」,第3章「構成と銀河のし

くみ」,第4章「宇宙生命を考える」,第5章「宇宙の謎に挑む」となっている。

項目から見てとれるように,この本は単に天体の話だけでなしに,宇宙の成り立ちや未来の姿にま

で,現在の研究成果を取り入れて解説されている。

 第5章をのぞいてみると,「宇宙を観測する科学衛星」や「宇宙旅行を手軽なものに」など,近

年の宇宙開発にもふれている。そのあと「時空のゆがみをとらえる」,「時間旅行は可能か?」な

ど相対性理論の内容に入っている。難解な話もなくはないが

「水蒸気になった水をさらに加熱していくと2700゜Cあたりで水分子は分解し,水素と酸素の原

子に分かれます。さらに1万゜Cほどになると,原子の周囲にある電子が原子からちぎられてバ

ラバラになるという現象が起こります。分かれた粒子は電荷をもっており、このような状態をプ

ラズマと呼んでいます。」

など,分かりやすい解説もある。

 宇宙の理論的な話は,日常的な感覚では理解しにくい内容が多い。しかし「意味不明のことを考

えている学者もいる」ということが,宇宙研究のはるか先を垣間見るきっかけになるようにも思う。

こういう話も,若い人たちに刺激を与えるのではないか。

20103月 1,480

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