わたし好みの新刊―   

    20109

 

『むしのかお』(ふしぎいっぱい写真絵本17) 

      新開 孝写真・文 ポプラ社

今までにも『どこにいるの?シャクトリムシ』,『いのちのカプセル まゆ』(同シリーズ)
など,
大胆でシャープな写真絵本を刊行されていた新開孝さんが,虫の顔をクローズ
アップした写真集を
刊行された。クローズアップされた一つ一つの虫の顔つきは,なか
なかの迫力である。ここまで大
きく見えてくると,虫たちが読者に何かを語りかけている
ように思えるから不思議だ。

「あとがき」にこのように記されている。

「みなさんは、むしのかおをじっと見つめたことがありますか。……

むしのかおをみていると、いろいろなことが想像できます。むしにはわたしたちのこ
とがどう見え
ているのだろう?おなかがすいているのかな?つかれているのかな?
ねむいのかな?でも、むし
に気持ちというものがあるのかどうかは、よくわかりません。…」

虫たちがどんな気持でこちらを見ているのか,いろいろ(勝手に)想像して、迫力ある
虫の顔を見
るのもおもしろい。各写真に一言添えられている言葉も「なるほど」とうなずけ
る。

クサカゲロウが「やあ!」,クサキリ・クワガタは「ハーイ!」,ミヤマカマキリは「かっこい
いでし
ょ」,アシナガバチは「こわい?」,とぼけた顔のイナゴやショウリョウバッタは「なにか
ようです
か?」と。

後半になると,虫の顔についての解説もある。虫たちの表情豊かな?顔のオンパレード
である。

秋の夜長,虫の声を聞きながら,ページを繰るのも楽しいかもしれない。

 20107月 1,200

『ホネホネすいぞくかん』   
          西澤真樹子監修/解説 大西成明写真 松田素子文 アリス館

この著者たちも,ここ数年,ユニークな本作りをしている。『ホネホネたんけんたい』,
『ホネホネ
どうぶつえん』に続いての三作目である。まず,大きく写された魚の背骨の写真
とともに

「むかし むかし…、ホネをもつ さいしょの いきものは いったい どこで うまれたん
だろう―?」

と問いかけている。ホネをもつ生きもの…というと当然海の中が想像できる。はたして,次ペ
ージから
はぞくぞくと海の生きもののホネが登場する。まずは,アカエイ,シマオコゼ,シイラ,
ヒラメ,ハリセ
ンボン,シマガツオ,それぞれ特徴のある骨格を持つ生きものが並ぶ。オコゼ
にはさすが上に大きな目
玉の穴が二つあいている。フグの仲間(ハリセンボン)には肋骨が
ない。なのに,生きた体はどうして
あんなにふくれたかっこうをしているのだろうか。

 次はマグロとサンマの骨格図である。似ているところもあるが似ていないところももある。頭
の骨は
さすが立派である。次は,いろいろな魚の頭骨の比較である。なるほど,魚の種類に
よってこんなにも
頭や口の形は異なるのかと感心する。なんといっても恐ろしいのはサメとピ
ラニアの歯である。歯の一
つ一つにあるギザギザも見える。まるでノコギリの歯だ。次はトビウオ。
トビウオの〈羽根〉(胸びれと
背びれ)のホネはさすが頭から尾びれ近くまで伸びている。

 さて,ナマコにも骨があるのだろうか。細かい骨が網の目のようになったナメコの骨の写真も
掲載され
ている。次に,海の生きもの哺乳類が登場する。こちらは,さすが陸上の哺乳類とそ
っくりである。最後
はクジラの骨でしめくくっている。

             20107月刊  1,500円 (西村寿雄) 

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