わたし好みの新刊   20164


『ねじ』
  角 慎作/さく 「かがくのとも」201512号 福音館書店

 丸い頭にギザギザの“ねじ”。腕時計や携帯電話、冷蔵庫など身近なものには、
ほぼ必ず、ねじが使われています。外に出ても、ガードレールや標識、自動販売機や
橋にも、ねじが使われています。私たちの身のまわりは、ねじが無かったら作れない
ものばかり。さあ、私たちの生活を支えてくれている
“ねじ”を探しましょう! 」と,
解説には書かれている。ねじは,
あまり子どもには意識されない部品であるが,ねじ
があるからこそ,大小さまざまのモノが作られていることに,この本は目を向けさせ
ている。今はプラスチックや接着剤の出現で,ネジはあまり目立たなくなっているが,
一昔前の生活は,ドライバーと補充のネジは必需品だった。しかし,今でも多くの製
品や建造物などは,ねじで組み立てられている。

この本は,大胆なイラストでページを追っている。「ぎざぎざ これは なに?」
「しましま これは なに?」「うえからみると…,したからみると…」と,アップ
のイラストが続く。その後に一本のねじが登場する。「ねじは ものと ものとを 
くっつける どうぐ」として,木工机のねじが登場する。「ねじを みぎまわりに 
まわすと…,ねじを ぎゃくに まわすと…」と,ねじのやくめが語られていく。身
近な身の回りのものも,自動車や飛行機も多くはねじで組み立てられていることを描く。
ねじの効われた部品がかんたんにつけたりはずしたりできることにある。ここで,大
小さまざまなねじが並べられる。各様のたくさんのねじが,わたしたちのくらしを支
えていることを知らせている。機械工学のねじ専門家が監修している。

                                     2015,12刊 389

ギョギョギョ!おしえて!さかなクン』さかなクン/著・絵  朝日学生新聞社

 ちょっと気軽に,寝っ転がって読める魚の読み物である。著者は,テレビなどでおな
じみのさかなクン。軽快な口調で,多彩な魚の話題をふりまいている“魚博士”である。
小学生新聞に連載された話が本になっているので,子どもにも読みやすい。各話
4,5ペー
ジの短編集になっていてどこからでも読める。多彩な魚の話が盛り込まれている。
「さかなクンが出合った!すてきなお魚たち」の
35話から始まる。

例えばはじめに「マダイ」の話がある。マダイは高級魚の王様とされているが,その
マダイの鮮やかな赤い色はどこから出ているのか。「エビでタイを釣る」の例えの通り,
えさとして食べているエビから紅い色が生まれているとか。エビをゆでると赤くなる成
分が鯛の色にも出ているらしい。シビレエイの話もある。電気を出すこの魚をさかなク
ンが触った経験では,肩までどーんと衝撃があったとか。大型では
300ボルトは出すと
いうから恐ろしい魚だ。「目には青葉、山ほととぎす、初がつお」と俳句にあるカツオ
の話もある。最近は冷凍技術のおかげで,カツオは一年中おいしくいだけ、たんぱく質
などの健康成分も多いらしい。鰹節は最高の味と書く。次に「魚」ではないが,海の幸
としておいしいアワビが登場する。アワビは岩場などを移動するが「足はどこにあると
思いますか」と問いかけてくる。じつは,おなか一面が筋肉質の「足」となっている。
その他,カエルアンコウや歩いて移動する魚などユニークな話が続く。

後半には「さかなクンが飼ってみた!かわいいお魚たち」の話がある。海の魚を飼う
楽しさも伝わってくる。最後は,東日本大震災後の水族館復興への人々の思いと,たく
さんの人との絆が綴られている。最近各地にできている水族館見学も,この本があれば
より楽しめそう。

                   2015,8  950  (西村寿雄)

「新刊案内4月」