私好みの新刊 20192

『ストローとモールでつくる幾何学オブジェ』日本数学検定協会 丸善出版

 ぱらぱらと本を繰ると色とりどりのモールで出来た様々な多面体が出てくる。

この本は、ストローとモールを使って多面体を作る案内書である。これなら、

100円ショップのモールとストローで簡単にできそうで、思わず作りたい衝動

にかられる。さあ、みなさんもこの本を手に、いくつもの多面体を作ってみませ

んか。とはいえ、この本は目次からいうとまるで数学の本と間違いそう。

目次では「正三角柱」「正四面体」「立法八面体」など幾何学用語が次々と並ぶ。

しかし、そんな言葉は気にしないで出てくる多面体を作ってみると楽しそうだ。

作り方などの説明は小学生から読めるようにルビもつけられている。カバー内

表紙に「はこの形や、さいころの形のように、いくつかの面でかこまれた立体を

〈多面体〉といいます」と説明している。要は「面」のある立体図形だ。読者

には小学生だけでなしに、昔「数学なんて―」という大人にも呼び掛けている。

「まずは、つくってみませんか」「配色を考えたり、複雑な模様を想像しながら

指先を動かしたりすることは脳の運動にもなるので、大人でも楽しめるものに

なっています」と誘っている。

 なにはともあれまず作ってみよう。モールとストローと定規とハサミがあれ

ばできるが、ニッパーがある方がいい。モールを切るのにハサミを使うとハサ

ミをいためる。この本には書かれていないが、ストローは直径5mmぐらいが

モールをしっかり固定できる。小学生なら、まずは、「正三角柱」「正五角柱」

あたりが簡単そう。大人であれば「正六面体」「正八面体」から始めて「正二十

面体」ぐらいに挑戦すると楽しい。それぞれにストローの数やモールの数は書

かれているが、長さは好みに合わせて決めるようになっている。なれてくると

サッカーボールのような多面体もできそう。頂点にビーズを入れる方式もある。

幾何学とオブジェが楽しめる本である。          2018,07  1,200

 

『川原や海辺のきれいな石の図鑑』 柴山元彦・井上ミノル/著 創元社

 子どもに向けての石や鉱物探しの本が出た。今までにも、こうした本はいく

つか出ているがやはりマニアックで、石を鉱物を簡単に採集に出かけるにはハ

ードルが高かった。この本にはタイトルに「子どもが探せる川原や海辺の…」

とあるように川原や海辺が採集場所になっている。初めのページで「川原や海

辺に出かけてみましょう。そこにはいろいろなかたちや色の石がころがってい

ると思います。でも、その石ころや砂利の中に、じつはガーネットやサファイヤ

などの、とてもきれいな鉱物がかくれているのを知っていますか ? 」と誘いか

けている。この本は身近な採集地まで書いてくれているので、大人と一緒なら

子どもも石や鉱物拾いに出かけることができる。近年は石や鉱物を採集する場

所はほとんどなくなり、こうした宝石探しはマニアの世界だった。しかし、こ

の本は、身近な川原や海辺で見つかる石や鉱物の図鑑になっている。著者の柴

山さんは川原や海辺といういいところに目をつけて、すでに数年前から『きれ

いな石の図鑑』など何冊も石探しの本を出しておられる。川原や海辺であれば

気兼ねなく石を見つけてハンマーでたたくこともできる。

 この本では最初に「鉱物図鑑 どんな石が見つかるの?」というタイトルで、

ガーネットや水晶など鉱物の紹介や花崗岩など石の紹介をしている。いずれも

シンプルな解説で子どもも読める。続いて「石のことをもっと知ろう!」と題し

て、マグマや鉱物について漫画風に描いている。そのあと、「石探しに出かけよ

!」と題して石探しのコツをイラストで語った後、実際の川原や海岸を紹介し

ている。採集ポイントも書いてくれているので紹介された川や海岸が近くであ

ればすぐにでも行ける。もしそうでなければ家の近くで似た場所を探すのもいい。

「こどもというのは本当に石が大好きじゃないですか?」とイラストレイターの

井上さん。石好きの子どもに向けてこの本は作られている。 

 2018,08    1,500

新刊紹介2019,2