私好みの新刊 2024年5月
『恐竜の復元 』「たくさんのふしぎ」12月 犬塚則久/文 廣野研一/絵 福音館書店
文を書いた犬塚さんは古くからの脊椎動物の骨のつながりを研究してきた人、
『恐竜の骨をよむ』などの著書もある『恐竜復元』を出したのは1997年。その後
も各地で恐竜化石は発見されている。恐竜化石は出た時はほとんどの骨はバラバラ、
その骨をもとにいかにして生きた姿に復元していくか、どんな生活をしていたのか
を明らかにするのかが復元作業である。最後の解説に、骨格や皮膚の姿、何を食べ
ていたかの生活まで復元していく手法が細かく書かれている。現生の脊椎動物の骨
のつながりをくわしく調べて復元していくという。まずは、その解説を読んで本文
を見るとわかりよい。
大昔、サメの歯を見て「天狗の爪」と見られた。ツノのある大きな骨の化石を
見て「竜の骨」とか想像された。巨大な骨の歯の化石を見て「恐ろしく大きなトカ
ゲ」として「恐竜」と名付けられた話がある。4ページからいよいよ恐竜化石復元の
話に入る。まずは現行の哺乳動物を手掛かりに調べていくと書かれている。「ハチュ
ウ類」と「ホニュウ類」の違いを述べて恐竜化石復元の話に入る。肉食動物と草食
動物とは頭の骨が違うという。足の形から歩く時の姿など書かれている。恐竜は今
はだたい四つ足を地に着けて歩いている姿が想像されている。大型の恐竜は長い首
をどのようにして歩いていたかなど書かれている。同じ草食動物で地面の草を食べ
ていたか、木の葉を食べていたかで口の形も違うとか。大きな恐竜は足の骨も太い。
足跡化石からも足の骨の形を想像するとか、ツノ竜の頭が前向きか下向きかを三半
規管の骨の形から類推するという。恐竜の卵の発見現場から卵を温めていた恐竜の
姿が想像されている。過去の復元骨格と比べて今の復元骨格が各所に示されている。
変化がよくわかる。最後に「暮らしの復元にチャレンジする人はいませんか」と呼
びかけて終わっている。
だいたんなイラストで子どもにもわかりよい構成になっている。
2023年12 月 700円
『リスのエビフライ探検帳』 飯田猛/著 技術出版社
「エビフライ」というと哺乳動物調査には欠かせられない情報である。よく、里
山を歩くと必ずといっていいほど見つかる。リスの〈食痕〉である。この本は小学
生中学年頃から読める構成になっている。写真や絵が大きく「科学絵本」になって
いる。
まず、「森の小道で不思議なものを見つけました。」から絵本は始まる。草原に
落ちている細長いかじり後の付いたマツボックリの写真が出る。そして「みまさん
はいったい何だと思いますか?」と問いかけられる。知る人にはよく見る動物の落と
し物であるが初めて見る人には不思議なものに違いない。ページをくると食べる
「エビフライ」そっくり。
次ページに、リスが手にして大きなマツボックリをかじっている写真がある。そう
、これはリスのしわざだったようです。次写真で、リスがマツボックリの「中にあ
る種を食べていたのです」とある。これで「不思議なもの」の正体はリスの食痕と
わかる。次に少し松の実の話や種の話が入る。実は「りんぺん」といって反り返る
こと、りんぺんには種が2こずつ入っているなどの説明がある。次ページには見開
きでずらりと並んだ「森のエビフライ」。よくもこれだけ集めたものだ。次にシマ
リスの写真が出る。寒い北海道ではハイマツやカラマツなどのタネももリスは食べ
るらしい。ドイツトウヒの実をいっぱいかじっているアメリカリスの写真もある。
シマリス、エゾリスの写真も出る。次はエビフライのオンパレード、松の種類によ
ってエビフライの形は違ってくる。細長いものや太いものもさまざまある。エビフ
ライを作っているのはリスだけでなく、モモンガやムササビもいるという。最後に
もう一度いろんなマツボックリが出て終わっている。
森を見渡せる楽しい絵本である。 2023年11月 1,400円
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