私好みの新刊 2024年11月
『シロツメクサはともだち』 鈴木純/著 ブロンズ新社
シロツメクサはクローバーとも呼ばれ、四葉をさがしたりして親しまれ
ている草だ。もっともありふれた野草で子どもたちにも親しまれている。
江戸時代から日本には伝来していたらしい。ヨーロッパ原産で輸入商品の
〈詰草〉としてまぎれこんだらしい。
著者はこのシロツメクサに焦点を当て花やタネまでクローズアップ写真
でくわしく紹介してくれている。まず初めに、シロツメクサの集合花の写
真がアップで出る。意外と美しい。こんなに奇麗だったかと改めて見直す。
そして「つぼみのほうにちかづいてみると・・」。次ページには集合花の
アップ写真。少しまだ青いのもあれば赤茶けた花もある。さらにアップし
た写真。なるほど、集合花の一つ一つが花だ。集合化をばらしてみる。な
んと! 一つの集合花に89個もの花がある。アップして写される一つ一つ
の花にはちゃんとおしべもめしべもある。レンゲソウそっくりである。
次ページは、花にミツバチが来ている写真。ミツバチはこの時期シロツメ
クサの蜜を吸ってくれるので花粉が交配される。次は、少し垂れ下がった
花の写真。花は茶色くなって中に種があるはずだ。一つ一つの花がばらば
らにして並べられている写真が出る。一つの花をクローズアップしてみる
と・・「わぁ、中からたねが出てきた!」。まるで豆である。この種をまい
てみると・・次ぺージ。・・芽が出てきた。双葉だ。そして・・三つ葉も
出てきた。写真がみずみずしい。次のページはシロツメクサの葉っぱのい
ろいろが出る。葉っぱも模様や形が微妙に違っている。四ツ葉もある。
次は案外知られていない茎の話。シロツメクサは横にたくさん広がるのは
この茎のせいだ。茎が横に広がっている写真が出る。さらにこんどは根の
写真、根粒菌がたくさんついている。シロツメクサはマメ科だ。ふだんあ
たりまえすぎてあまり見ない世界をたっぷり見せてくれる。親しみやすい
本である。 2024年3月
1,400円
『さんすう』 扇野剛/文 花くまゆうさく/え 仮説社
「現役の小学校教師が描く、子どもたちへの「先生の想い」がつまった
絵本シリーズ・第三弾!」と帯にある。著者は兵庫県の小学校の先生。あと
がきに「子どもたちが元来持つ「学びたい」と意欲を信じている。この本は
さんすうの授業を通して、イッセー先生の〈ありたい姿=楽しい授業〉を描
いている。
ページをくると5年生の個性いろいろのクラス。算数の時間は、ふざけ
ぱなしの子どもや聞いたふりして聞いてない子など、いろいろいるクラス。
担任先生は困りっぱなし。今の学校現場は・・「いそがしすぎて 心に余裕
がない」とか「5年生の算数は むずかしいし・・」ベテラン先生たちのい
いぶんもたくさんある。若い先生も「どんどん笑顔が なくなっていく」と
なげく。いちど「イシ先生の話を きいてみたら・・」と先生たちは考える。
イシ先生といわれているのは安西一成先生「イッセー先生」だ。もう54才
の経験豊かな先生。なんとか「楽しい授業」を心がけている。「ぼくに
できることは なんやろう?」と考える。ついに、算数苦手な2人と、使っ
てない教室を使って算数の時間だけ授業することを考えた。「いつも笑顔で
元気です」の掲示が黒板の前にある。さて、イッセー先生の取り組んだの
は、、。まず、「うさぎの耳は 何本や」から。具体的なイメージが頭に浮かぶよ
うこころがける。「お弁当のたまごやきは弁当4つで何個」などと名数を付けて
計算させていく。「この紙をコピー機で2倍にすると、、」「北海道の地図を切り
取って舘野長さを2倍にすると面積は何倍?、、」など予想をたてて考えさせて
いく。結果は、実際に大小の紙を切り天秤で量っていく。〈実験数学〉だ。算数
嫌いの子どもたちにも笑顔いっぱい。この授業のプランを考えた人は出口陽正
さん。最後に出口さんの言葉も添えられている。 2024年08月15日 1,800円
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