私好みの新刊 2026年1月
『たねはいのちのおわりとはじまり』 鈴木純/著 ブロンズ新社
ふだんよく見ている「たね」のほんであるが、小さなこどもたちにもわ
かりやすく説いている。著者があとがきで言うように、一口に「たね」と
言っても「見た目が種子に見えるもの(果実)と種子そのもの」がある。こ
のことは、あまり気にしなくともいいがいちおう頭に入れて読むといい。
まず出てくるのはタンポポのわたげ、右ページにアップした写真が写さ
れている。タンポポの綿毛の先に種がついていて芽を出している。次は別
のたね、ひまわり。ページをくると一週間後の写真、根っこが大きく伸び
いる。さらに日が過ぎると・・。「たねの中には、いのちの一歩目をふみ
だすために・・」と記されている。たねは命のもとだとわかる。次は、カ
ラスノエンドウとアメリカフウロのタネがさやからはじけている写真。た
ねは風に飛ばされたり、水に流されたり、動物や人の服にくっついたり、
鳥やアリに食べられたりいろんな旅をする。次に旅をしたたねは、いろん
な所から発芽する写真が続く。ときにはコンクリートの隙間から。ページ
をくるといろんな植物の発芽の様子が見開きで18も並ぶ。広い葉っぱもあ
るし細い葉っぱ、トゲトゲ葉っぱもある。みんな「顔」が違う。植物はな
んと多様なんだろう。
次は成長したひまわりの姿。小さかった種が背丈を超えるような成長ぶり、
種に秘められていた生命力の大きさを感じさせられる。ページを繰ると大き
なひまわりの花(舌状花)が写し出される。花(舌状花)の中にはたくさんの本
当の花(筒状花)がみえる。筒状花にはたくさんのたねが・・。おなじみの写
真も美しく映える。数百はあろうかたくさんのタネの一覧。一粒のタネから
数百のタネができた。命の壮大さが伝わってくる。「たねはいのちのおわり
とはじまり」記したたくさんのタネの写真でしめくくる。
2025年10月 1,400円
『超深海への旅』 蒲生俊敬著 「たくさくのふしぎ」2025年8月 福音館書店
日本列島近海には「深海」と呼ばれる深さ6000mや1万mを超す深海が横た
わっている。
幸い日本には「しんかい6500」という有人潜水調査船があるが数人しか乗れ
ない。いくぶん研究は進んでいるものの、その深海にはどんな生き物が棲ん
でいるかほとんど謎につつまれている。 物語は203X年の話としてフィク
ションで進められていく。海について興味のあるミウさんと地球科学に興味
のあるタイヘイさん(いづれも小学4年生)が、海洋学者のラメール博士と一
緒に深海に潜っていく話から始まる。
203X年7月、いよいよ3人は超深海潜水船「ハデス12000」を乗せた母船
に乗り東京港を出発する。まずは日本海溝(深さ6000mほど)をめざす。船内
で「海底はどうしてできるか」とラメール博士。ミウさんがそれらしいことを
話す。ラメール博士が太平洋の沖に「東太平洋海膨」(大西洋の海嶺のよう
な働きをしている)があってプレートを作っていることを話している。ハワイ
諸島のホットスポットもはさんでプレートは動いていく。そのプレートが沈
み込むところが海溝(深海)である。プレートが合体するところでは、どうし
て一方のプレートが沈むのかも記事には書かれている。図も大きく描かれて
いてわかり良い。いよいよ深海へ、まず日本海溝から。「ハデス12000」に
乗り込んで速1mの速さで水面下100m、200mから6000mへともぐって行く。
まず出てくるのは、マリンスノーと呼ばれているミクロな小さい粒、小さな
生き物の死骸とか中には有機物質が分解されたものもまじっているとか。
くらげやイカなどの発光生物がきれいに光っている光景にも出くわす。深海
ではゆっくりと進んでいく。深さ6000m近くになると深海の貝シロウリガイ
も見える。深海に出る湧き水に含まれている硫化水素を吸収しているとか。
深海の旅はまだまだ続く。後半ではマリアナ海溝等へも潜っていく。どんな
物が見えるだろうか。 2025年8月 810円
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