私好みの新刊 2026年4月
『地球変動の犯人を追って、科学者、海にもぐる!』佐野貴司著 河出書房新社
著者の佐野さんは国立科学博物館に勤める地質学の専門家、海底に潜む地球
変動のなぞを解き明かしていく過程がわかりやすく書かれている。文体もやさ
しく小学生にも読める。まず、なぜ地球の大陸と海洋は分かれているのかなど
に疑問をなげかけている。太平洋沖など大洋の底も平らでなく凹凸のあること
は想像がつく。そこにかこつけて従来から「〇〇小陸」があったとか「ムー大陸」
があったとか怪しげな憶測がささやかれていた。それらの真偽を地学的にはっき
りさせたくて著者は地中に潜ったり海底のサンプルを取り出したりして海底の実
態を明らかにしていく。海底の岩石が、大陸性か海洋性かは岩石の種類で判別で
きる。大陸性は花崗岩質で海洋性は玄武岩いう違いがある。
著者がまず調査に行くのは2009年、アメリカの掘削船に乗り深さ2,000mから
3,000mの「シャッキー海台」といわれている場所。「ムー大陸」の伝説の地で、
かつて大きな大陸があったとか言われている所である。掘削船は地下の地層を直
接掘って岩石を採取できる。はたして大陸の痕跡はあったのでしょうか。ここで
採取されたのは岩石は玄武岩だけでした。シャッキー海台の場所では海洋底と同
じ岩石のみで「ムー大陸」は存在していなかったことが分かりる。著者は近年も
あちこち出ている。次に紹介されているのは2018年南太平洋のタヒチ付近や伊豆
大の海底調査。
海底火山についてもくわしく書かれている。海底には火山がたくさんあるが
「中央海嶺」はその最たるもの。「中央海嶺」の発見はかつてウェゲナーが唱え
た大陸移動説の証明にもなっている。続いてプレートテクトニクス論が生まれた
がその背景もくわしく書かれている。後半には、プレートを動かしているプルー
ム(マグマ吹き出し口)がどこにあるかの推定図も書かれている。まさに「地球変
動の犯人を追って」です。
2025年 8月 1,540円
『水の中のダンゴムシ』 富川光著 八坂書房
ダンゴムシと言えば子どもたちにはなじみの生き物だ。よく丸まったダンゴムシ
をたくさん持て遊んでいる。ダンゴムシは○○ムシと言われるが昆虫ではない。節
足動物・甲殻類・等脚類の仲間だ。またダンゴムシは陸の生き物と思われがちだが
仲間は海水・淡水中にもたくさん生息しているという。この本はその水の中のダン
ゴムシ(等脚類)についてくわしく語られている。文章は平易だが少々情報量が多い。
中学生ぐらいから読めるのではないか。
まず、ダンゴムシとはが語られている。ダンゴムシはワラジムシなどと同じ等脚
類というグループに属すという。写真も大きく写されている。次に節足動物の一つ
ダンゴムシも入る甲殻類・ダンゴムシの特徴についても述べられている。町中にい
るダンゴムシ・ワラジムシは外来種が多いという。さて、いよいよ「水の中のダン
ゴムシ」について。
地下環境にも強く洞窟などにも生息するらしい。等脚類はもともと海に起源を持つ
という。そう言えば磯などでよく見かける。
地球に酸素が多くなった約3億年前頃からダンゴムシの仲間が陸上に進出したら
しい。淡水にも適応し「腹肢」と呼ばれる鰓も獲得した。水際ではおなじみのフナ
ムシもも肺機能を獲得して陸上に進出した。「丸まる」というしぐさは乾燥から身
を守る手段のひとつという。以下、「水の中のダンゴムシ」にいてくわしく述べら
れている。
後半でおもしろいのは、島を消滅させるダンゴムシもいるという。山口県にあるホ
ボロ島等などでフナクイムシが岩石を穿孔している。私も見に行ったがだんだん島
が小さくなっている。キクイムシなどの甲殻類は木材も穿孔するようで宮島の厳島
神社の海上の大鳥居は被害を受けているとか。たかがダンゴムシ、されどダンゴム
シである。
2025年10月 2,400円
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