2026年5月
『じつは身近なホタルのはなし』 遊磨正秀著 緑書房あ
著者は動物生態学などの専門家。ホタルは日本人には最も親しまれている夜
の風物詩である。ホタルの生態から生息環境、文化史にいたるまで幅広く解説
している。文章は読みやすく小学生高学年なら十分に読める。
よく成虫で目にするホタルは、水辺にいるゲンジボタル、ヘイケボタル、陸
生のヒメボタルだ。この本ではゲンジボタルを中心にその生態などがくわしく
論じられている。
成虫が光を発しているのは人を楽しませるためではなくメスを呼ぶため、光
る間隔は西日本のホタルと東日本のホタルはかなり異なってくる。ホタルは水
のきれいないな上流に棲んでいそうだがむしろ少し生活廃水が混じっている人
里の川に多い。それは幼虫のえさとなるカワニナが多く棲んでいるため。ホタ
ルの幼虫は、川底のカワニナにぶつかった時その個体を食べるという。メスが
産卵場所を選ぶには苦労している話もおもしろい。成虫のメスは、川面の上に
せり出した場所をうまく見つけて卵を産むという。卵が孵化した時幼虫が自動
的に水面に落ちるようにしている。ゲンジボタルのメスは800程度もの卵を産む
という。
後半は、川の環境が主に論じられている。圃場整備などで年々変えられている
現実もある。特に田んぼとともに生育幅を広げてきたヘイケボタルにはダメー
ジが大きい。水際に棲むゲンジボタルも同じこと、水路環境の整備が悪影を及
ぼしている。川も平瀬―淵―早瀬が適当にあることが大切だという。後半は、
人とホタルの文化史なども述べている。ホタルは「象徴的環境剤」と著者は言
う。各地のホタル生息保護活動の実態とかも書かれていて、読み応えのあるホ
タル文化史である。
2025年4月 2200円
『あかい みと とり』 多田多恵子ぶん 江口あけみ え
かがくのとも 1月号 福音館書店
久しぶりの多田多恵子さんの児童書が出た。「ようこそ!葉っぱ科学館」
などの著書がある植物専門の多田さんだが鳥博士の上田恵介さんが監修に加
わっている。鳥は赤い実を好むことは知られているが、この本は子供向けな
がらいろいろ情報が多い。
まず初めのページは赤い実のなる木もある雑木林、「ほうせきみたいに
ひかっている。」と書くノイバラの絵。次ページはそこへヒヨドリがやって
来ている絵が出る。ヒヨドリたちは赤い実をぱくり、ぱくり、口の中にほり
込む。つぎの絵はヒヨドリのうんこ。なるほどノイバラの実はこうして広が
っていくのかがわかる。じつは実と思っていたのは果実、ヒヨドリが食べて
いたのは果肉の部分のみ。次にジョウビタキもやって来る絵も出る。ジョウ
ビタキも赤い実をパクリ、ふんをばらまいていく。次のえは、鳥によって蒔
かれた種から芽を出し大きく育っていくノイバラの絵。なるほどこういて植
物は広がっていくのかがよくわかる。次は赤い実をつけるいくつかの植物の
紹介。野にはこんなにもあるんだとわかる。次の絵は、それぞれの植物の実
とタネの紹介。実と言ってもタネはそれぞれ違っているようすがよくわかる。
次の絵は、実のまん丸なのは、実の形が鳥に食べられ易い形だとか。なるほど。
次の絵には、植物の実と言っても、赤いとはかぎらない。でも、実はみんな
まん丸。次の絵では意外なタネがてくる。タネには、にがかっり毒のある実
もあるらしい。さすが鳥たちはよく知ってる。少し実をついばんですぐに飛
んでいく絵が出る。なるほど鳥は味で実を区別しているのか。
ここで、考えてみようのページ。もし、鳥にとって、おいしい実かおいしく
ない実か、人間が見てどこでわかる? いろいろ考える本になっている。
2026年1月 460円
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