2026年6月
『いきものと熱』 きのしたちひろ文・絵
                   たくさんのふしぎ4月号 福音館書店
 「体温っておもしろい」と著者は言う。人間などは「生まれてから死ぬま
で休むことなく体温を調整し続けています。」ともある、なるほど。周りの
温度に左右される動物、周りの温度に左右されない動物がいることは知
られているが、「体温」と言っても奥が深い。子ども向きの本でこれだけ書
かれている本は珍しい。
 最初のページに、たくさんのスズメが出る。たっぷりの羽毛のおかげで
42度の体温を保つ。次ページに出てくるはカメ、よく見かけられるカメの甲
羅干し、太陽光に当たって体温を蓄えている。次べージは海のサメたち。
サメは種類によって体温は違うという。
 ここで、動物達の体温別イラストが描かれ、動物たちは「体という入れ物
の中にある熱をうまく出し入れして、ちょうど良い温度になるように体温を
調整している」とある。人も「脳をはじめとする器官が自動で体温をコントロ
ールしている」とか。次に「体の中で熱を生み出す仕組み」が出てくる。哺乳
類や鳥類は他の動物達より10倍以上の酸素を消費している。一方熱を逃
がさない工夫も各動物にはしている。動物にとっては熱を冷やすことも大切
なこと、各動物がいろいろ工夫している熱を冷やしている。何と言っても熱の
元は太陽。深海にいるマンボーはときどき浮かび上がっては温度と酸素をえ
ているという。ここで植物も体温調整していることが紹介される。ザゼンソウ
などまわりの雪を溶かしているのは熱のためか。
 その他、動物たちは長い環境の中で変化してきたことが書かれている。
ウミガメなど1~2度低い海水中では獲物を追いかけられないという。ずいぶ
んとシビアだ。地球の環境変化はゆっくりと変わっていくことが大切だと語っ
て終わっている。                      2026年4月 880円

『カモシカと進化をめぐる冒険』 高田隼人著  文一総合出版
 本書はカモシカの解説書というより、著者がカモシカ研究に取り組んできた
経緯をドキュメンタリー風に綴っている。しかし、その中にカモシカの生態が浮
かび上がってくる。文は読みやすく小学生でも高学年からは読めるのではない
か。
 カモシカは少し高山の森林地帯によく単独で生息している「ウシ科」の動物
である。人が近付いても襲う事はなく、じっとこちらの様子をうかがっている光
景は見たことがある。カモシカはおとなしい性格の動物である。
 最初は、著者が経験したアフリカサバンナ地帯のスイギューなどの有蹄類
観察記録からスタートする。カモシカは中でも偶蹄目に属する。なんと最古の
偶蹄目化石は5000万年前、古第三期の地層からみつかっているという。大学
3年生からからカモシカ研究に取り組む。山岳地帯の森林に生息し原始性を保
つカモシカは「生きた化石」と著者は言う。続いて各地のカモシカ研究の実態が
語られていく。秋田県や山形県等でも研究は進めるが、長野県の浅間山荘(事
件のあった山荘とは別)で川沿いの急峻な藪の中で多数のカモシカに出会う。角
の形や大きさ、顔の模様などから名前を付けていく。ここではカモシカの社会シ
ステムの研究に取り組む。野生動物に名前を付けていくのは並大抵ではない。
いくつかのカモシカは麻酔銃も使って首輪をつけていく。糞分析もする。カモシカ
は消化しやすい広葉樹の葉などを食べていた。次に少し高山にある「火山館」に
泊まり込んで研究を始める。ここのカモシカはオープンな環境に多くいることを利
用して群れ研究に取り組む。メス同士の結びつきが元になって群れを作る。オス
は単独で行動範囲を決めていることが多いとか。最後に研究成果は論文にまと
める大切さを語って終わっている。          2025年11月 2,200円

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