2026年9月
『ギンリョウソウ』たくさんのふしぎ 6月 福音館書店
著者は、「光合成をやめた菌従属栄養植物の生態を研究」(ふしぎ新聞)し
ているという植物生態学の専門家。そう言えば、2023年の9月にも『「植物」
をやめた植物たち』(たくさんのふしぎ)を出している。この本にはギンリョウ
ソウの話がくわしく出てくる。ギンリョウソウの元の植物はツバキと言う。
今回はギンリョウソウの新種を発見した経緯をもとに著者の研究歴や新
種発見の面白さ、命名する時の複雑さまで書いている。まず最初にギンリ
ョウソウとはどういう植物か。あまり見かけないが里山の陰地によく出てい
る10cmほどの白い筒状の植物である。光合成をやめているので色は白くて
目立たない。
この植物は栄養はどこから得ているのだろうか。地下の根っこの部分で
菌とつながっていて根から栄養を得ているという。ギンリョウソウといっても
種はいくつかある。やがてギンリョウソウの種の話に移る。ギンリョウソウに
は薄い青みがかった固体もある。著者は霧島でちょっとピンクぽいギンリョウ
ソウを見つけた。花を咲かせる時期も他のギンリョウソウとは異なる。はたし
て新種ではないかと著者は考えた。種とは何かから分類の仕方など述べたあと
、霧島のギンリョウソウの根の長さや形の違う事を発見、DNA鑑定で遺伝的に
も他のギンリョウソウと違うことを見つけ、世界中のギンリョウソウとも比べ新種
と断定した。霧島のギンリョウソウはやがて新種と認められた。合せていろんな
植物の新種発見のおもしろさも語っているがこれはちょっとハードルが高い。
最後に「何気なく見ている植物にの中にも、不思議な秘密がかくされているかも
しれません。」と植物観察のおもしろさを語って終わっている。
2025年6月 880円
『恐竜はすごい鳥はもっとすごい』 佐藤拓己著 光文社新書 公文社
一般書であるが文章は平易で恐竜好きの高校生ぐらいから読める。近年よく言
われているのが「恐竜から鳥類が生まれた。」あるいは「鳥は恐竜である。」「恐竜
は今も生きている。」などである。やがて、羽毛を持った恐竜化石が発見されるに
及んで、ますます「鳥は恐竜である。」の説が確実となった。鳥はどうして恐竜なのか。
この本の冒頭に、人間が高さ8000mを超すエベレスト山に登頂するのに酸素ボン
ベを担いで大変な装備でやっと登頂するのに、アネハズルの集団がこのエベレスト
頂上をゆうゆうと飛んでいくという。エベレスト頂上は気温マイナス30度、酸素濃度7%
である。鳥は酸素濃度7%の世界も平気で飛んでいく。また最近の新聞記事によると、
「トラツグミは鹿児島から1800kmある海上を飛び続けている」と報じている。いったい
鳥はいつごろそんな能力を獲得したのか。著者の見解を次々と述べている。
まず、鳥も含まれる獣脚類は約2億5000万年前ペルム紀末(p/t境界)の大絶滅期の
後に進化した種とのこと、ちょうどこの時は地球の酸素濃度は10%前後だった。鳥類は
この条件を獲得したまま進化してきたという。それだけに今の酸素濃度の世界ではらく
らく超能力を発揮できる。鳥はこの酸素能力以外にも多々、今の社会で生きていくの
にすぐれた能力を持っている。鳥の細胞は高度なミトコンドリアで満たされているので
活性酸素を作らすにフルパワーでエネルギーを出せること、ほ乳類とちがって気嚢シ
ステムが備わっているので必要な時は体内に酸素の量を増加させれるなど、いろいろ
優位な機能が備わっているという。
ほ乳類でもすいすいと飛行しているコウモリはどうか。人のゲノムサイズに比べて鳥
は1/3ぐらい、コウモリは人の60%程度と言う。空を飛行することと体のゲノムサイズと
関連あるみたい。鳥といのは不思議な生き物だと感心させられる。
2025年1月 1,060円