「はじめに」より 「 どういうわけか、子どもの本というと、文学ものに偏っているのが現状である。 学校図書館においてすら、文学ものへの偏重の度合いが大きい。これは、一つ には与える側の大人に、楽しく科学を学んだ経験のない人が多いからであろう 思われる。また、科学は冷たいもの、冷酷なものと誤って認識されていることが 多く、あまり子どもに積極的に科学の本を薦めようとされないこともあるようだ。 したがって、『子どもたちによい科学読み物を』と願う前にね多くの大人の人 たちに科学を楽しんでもらうことが必要である。 《科学と聞くと頭が痛くなる》と思われる人たちに、まずこの本の中から好き そうな科学の本を選んでほしいと思う。幸いにして、子ども向けに書かれた自然 の本、科学の本はたいていは分かりやすく書かれている。大人が読んでも楽しく 新しい世界が開かれるものが多い。 この本は、現在科学読み物と呼ばれている児童書を〈予想を楽しむ本〉〈知識 を楽しむ本〉〈科学を楽しむ本〉と大きく分けて紹介した。 〈予想を楽しむ本〉では、予想をもって問いかけながら知的ゲームが楽しく味わ える本、〈自然を楽しむ本〉では、個々の自然の姿を感動的に伝えている本、文章 の優れている本、著者の研究の楽しみがわかる本、総合的な視野で書かれた本 を選んだ。また、〈科学を楽しむ本〉では、読者もともに科学の楽しさが体験できる 本を選んだ。 これらの本からは、科学というのは楽しい夢のある人間的な世界であり、社会 を切り開いていく《道具》であることも知ってもらえると思う。 この本は、1960年ぐらすから出版された科学読み物の中から取り上げて紹介 した。これらの本は現在の書店で見られなくても、図書館で見ることができる。 本書が、科学の世界をのぞいてみたいと思われる大人の人たち、とりわけ子ど もとかかわりの深い仕事をしておられる人達、そして、科学の好きな子どもたちへ の道案内になれば幸いである。」 |
目 次 T 予想を楽しむ本 U 自然を楽しむ本 (知識の本) @植物の本 A虫の本 B野鳥の本 C野生動物の本 D古生物・生物の本 E地球・宇宙の本 Fもの・原子・電気・磁石の本 G野外観察の本 H自由研究・科学遊びの本 I図鑑 J科学随筆・伝記 K人と自然の本 V 科学を楽しむ本(科学の本) @自然と科学の本 Aくらしと科学の本 W 科学読み物リスト |