西村寿雄著

 新刊 『石は なにで できている?』 

                         岩崎書店    武田晋一写真 ボコヤマクリタ構成 


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                     さまざまな場所で見かける「石」。身近すぎてあまり気に留めることはありませんが、目のつけどころに注意すると、
                       おもしろいことがたくさんわかります。
                       なぜなら、石は「地球のかけら」、石を知ることは、地球の壮大な営みを知ることでもあるからです。 石には、どんな
                      種類があり、どんな成り立ちがあるのでしょうか。石に興味をもった子どもが、最初に開く一冊にふさわしい本をつくりました。

                  
◆月の石は灰色、地球の石はいろいろ なぜだと思う?
                        月の石を見たことがありますか? 月には灰色の石しかありません。

                           一方、地球の石は色とりどり。なぜだと思いますか?

 
          月の石
 
          地球の石

                     月の石と地球の石との対比から始まる本書。月にはなくて、地球にあるものってなんだろう。

                    質問を投げかけることで子どもの好奇心を刺激し、身近な石ころが、地球や宇宙と深くかかわっているという
                     視点に目を向けています。

                     白っぽい石、黒っぽい石。つぶつぶがある、光っている石、ざらざら、すべすべ……。
                   石の観察ポイントとなる、色合いや手触りなどを示しつつ、その石がなにからできているのか、どうしてそのような形状に
                  なるのかも説明しています。大きな拡大写真と、専門用語を使わない語り口調の平易な解説は、絵本の読み聞かせ
                  のよう。低年齢の子どもさんも、スムーズに読み終わって(見終わって)くれることでしょう

                      本書は、従来の石の図鑑によくある、火成岩、堆積岩、変成岩といった分け方から入るのではなく、「石の見た目」で大
                    まかなグループ分けする方法を紹介しています。また、安山岩、玄武岩といった名称も、あえて本編では書いていません
                      個別的な分類や名称を覚えるよりも先に、目の前の石をじっくり観察し、石の性質になじんでもらいたいという思いからです

                  石のつぶに注目! 子どもにもわかりやすい「石の見分けかた」
                      
本書で、石の種類を見分けるにあたって注目するのは「石のつぶ」です! 「石につぶが見えるか、見えないか」「つぶが
                     キラキラ光るか、光らないか」で、石のできかたの大まかな見当をつけています。 つぶがキラキラ光っている石は,石の結
                     晶が見えていることになり,マグマ生まれの石だと見当がつきます。

                   本書の巻末では、地球の石と「マグマ」「水」「生き物」との関係など、少し専門的な解説を入れています。
                 マグマから生まれた石も,地殻変動や火山活動など、地球に起こるさまざまな現象によって多くの種類に生まれている
                 ことを話しています。それには,地球上の「水」が大きくに関係していることを知ります。地球のさまざまな石は,水の
                 惑星地球ならではの石たちです。

                    さらに,より根源的な話として,石をつくっている原子に話を進めています。イラストを使ってイメージが持ちやすい
                ように工夫しています。

                   石をつくっている主な原子は何と何でしょう。わたしたちにも身近な原子です。さらに,それらの「原子」は宇宙で生
                   まれたことにもふれています。
石はもとをたどればはるか宇宙からの贈り物です。

                ◆著者からのメッセージ
                地球は、美しい石がたくさん生まれている惑星です。石は、長い長い地球の
歴史をゆっくりとつないできた「生き証人」
                です。あなたの見ている石は、ひょっ
として三葉虫が生きていたときの石かもしれません。恐竜が生きていたときの石か
                もしれません。身近な石をきっかに、石や地球に、より興味をもってもらえ
るといいなと思います。

                  川原や海岸で、好みの石を集めるのは楽しいですよ。皆さんも、石を探しにでかけませんか。

                                            
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