「寝屋川流域におけるホタル棲息の状況」 2011,5
寝屋川市自然を学ぶ会 西村寿雄
「三井団地でホタル見たで」,「高宮の田圃の畦でホタル見たよ」
1990年代当時寝屋川市に在職していた理科教員にこんな話が伝わっていた。
「川のきたない寝屋川市内にもホタルがいるのか」と,みんな半信半疑だった。
1997年に大阪府下一斉ホタル調査が行われた。その一環で,われわれ教員グ
ループもホタル調査委員を募集して,市内のホタル生息調査を開始した。ほぼ,
見聞きしてた場所を重点的に調査した。その結果, 打上川上流(寝屋川公園・太
秦),高宮用水路, 寝屋(寝屋神社下用水路), 寝屋(長者屋敷跡付近用水路),三井
団地遊水池でヘイケボタルの確認が出来た。特に,打上川上流の寝屋川公園敷
地内は 貝類(イボカワニナ,ヒメタニシ,マルタニシ,モノアラガイ,シジミ)も
棲息し成虫飛翔数もある程度確認できた。 ・
(1) 寝屋神社付近の環境
寝屋地区は第2京阪国道の建設に伴いあたりの自然環境は壊滅した。
(2) 打上川(寝屋川公園〜治水緑地)の改修
今後,市民の鑑賞にたえられるホタルの生育を図るには適切な河川工事が必要
である。蛇行流路と瀬,淵等を作り,飛び石,礫等の配置が望まれる。 ・
他府県では,たとえ市街地でも多自然型工法で河川にゲンジボタルを復活さ
せている所もある。 ・
特に打上川流域は寝屋川公園内を流れ,歩道も確保されているので,市民も安心
してホタル観察ができる。絶好のホタル観賞の場になる可能性がある。
その後も,市内のホタル調査は毎年継続しているが,この打上川流域も確実に
ホタルの成虫飛翔数は減少している。今年は,貝類の発見もできていない。
(3) 高宮神社横の新宮池湿地
最初に調査に入ったところ数十のヘイケボタルの飛翔が見られた。湿地周辺部
はススキなどの雑草が茂り数百以上のヘイケボタル生息は推定できた。
現在,この湿地周辺部に新たに住宅が建っているが,それでも去年の夏には
数十のヘイケボタルの飛翔が確認できている。 ・
今後,寝屋川市として,ホタルの見える町作りをめざすなら,以上の三カ所に可能性が
ある。貝類の生育環境を整え,水流の確保ができればこれらの場所でもヘイケ
ボタルの生息数を増やすこと は可能だ。ヘイケボタルの幼虫はゲンジボタル
と違って,タニシ,モノアラガイなども捕食し食性は広い。それに,いずれも公共の
用地なので,市の働きかけがあれば 実現の可能性は高い。 ・
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ゲンジボタルの生息については,市内では確認できていないが,寝屋川市野外セ
ンター(四條畷市)では見ることが出来る。
ヒメボタルの生息についても今のところ確 認できていない。こちらは陸生の
ホタルで竹林などに生息する。寝屋川市内の竹林 は近年特に開発されてい
るがヒメボタル生息の可能性は高い。 ・
大阪府立北かわち皐が丘高校(さつきがおかこうこう・旧東寝屋川高校)付近での
ホタル情報があるが未確認(2011,6) ・
「メダカやホタルの生きるまち,寝屋川市」の実現に一歩で
も歩み出せるよう多くの市民の要望が集まるといい。 ・
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