ヒスイとフォッサマグナ
・ヒスイとは
ヒスイはヒスイ輝石の一つで,化学組成は NaAlSi2O6
「ヒスイは曹長石が分解してできた
(NaAlSi3O8→ NaAlSi2O6+ SiO2)
と考えられていたが,
最近では,熱水からできた単独の鉱物」に変えられた」
(ミュージアム『ヒスイってなんだろう』)。
ヒスイの近くに石英が見られないことから,曹長石からヒスイと石英ができた
とする考えは退けられている。
そういえば,ヒスイは沈み込み帯から蛇紋岩につれられて地上に出てきた鉱物
であるという。沈み込み帯熱水の中でヒスイが単独で生まれたとしても不思議で
はない。
原子組成で鉱物を見ていくと,ヒスイや曹長石,石英もケイ酸塩鉱物の一つで
みんな仲良しの鉱物だと分かる。
・フォッサマグナについて
フォッサマグナの概念は近年大きく変わったのか。
手元にある本では図Aのように,フォッサマグナ西側は糸―静線ではっきりして
いるが東側は明確でない。南部には秩父帯や三波川帯がはっきりと記載されている。
丹沢山地の北側には,四万十帯,秩父帯がありその北部に関東山地が陣取っている。
さらに,昨年出版されている藤岡換太郎・平田大二編著『日本海の拡大と伊豆弧
の衝突』にも,ほぼ似た図が記されている(図B)。ただし,こちらは関東山地東面
から伊豆にかけてフォッサマグナ東側の断層線が記されている。ただ,この本でも,
関東山地北部に三波川帯や秩父帯,四万十帯が記載されている。フォッサマグナの
下に三波川帯や秩父帯が隠れているのだろうか。
ところが,今回見た巡検案内書やミュージアムの図では,フォッサマグナの東淵線
がずっと東寄りに書かれている(図C)。つまりフォッサマグナの東淵は房総半島
から柏崎に向かって伸び,関東山地もすっぽりとフォッサマグナの中に取り込まれて
いる。今の考えなのだろうか。 (2015,08,27)