☆つくって楽しい・やって楽しい☆

授業に生かせる
      パズルの本






 谷  賢 一
(寝屋川市立啓明小学校)


プレイパズル

 パズルと一口にいうが、クロスワードパズルなどのような言葉のパズル
から、工作する立体パズルまで、多種多様のものがある。

 ここでは、作って楽しめるパズルが掲載されている本を主に紹介してい
きたい。
 
授業で生かせるパズルで、一番多いのが、図工の時間に作れるパズルで
あろう。

 パズルが、学校現場で肩身の狭いおもいをしていたころ、授業に役立っ
てくれたパズルの本は、何といっても

「Play
Puzzle Part2(パズルの百科)」

(高木茂男、平凡社)である。

 ほとんどの本が千円までの時代に、二千二百円もしたのだから、買うの
に躊躇する本であった。
 しかも、各種のパズルを紹介しているだけの本だから尚更であった。

 今でこそ、パズルも脚光を浴びてきているが、当時は異端の部類だった。
 内容は、市販されているパズルの紹介なのだが、自作できるものもかな
りふくまれており、
けっこう役にたつ本である。
 小学校では、紙工作のひとつとして、ピラミッドやおりたためる箱など
が、どの学年でも好評である。
 展開図が載っているので、使いやすいとおもう。

 また、回転パズルというのも紹介されていて、こちらのほうは、八つの
立方体がつながっていて、図のようにひらいていくと、表のもようが中の
もようと全ていれかわる仕組みになっている。実物は市販されているそう
だが、デパートでもおめにかかったことがないので、本に載っている展開
図(正方形が48面も連なった展開図ですぞ…)を拡大して、実際に作っ
てみたが、小学生の手におえる代物ではなかった。

 とにかくできあがった作品をもとに、どこがつながっているのかを子細
に検討し、木のサイコロを使うことによって小学生でも作れるパズルにな
ってくれた。それでもはじめは、原作のイメージから抜けられず、木にマ
ジックで色をぬったり、アルミテープの色違いのものをさがしてはったり
していたのだが、どうもしっくりこず、結局、丸いカラーシールをはるこ
とで、うまくいくようになった。

作ってからが楽しいパズル

 さて、工作として作っても楽しいが、パズルは作ってからのほうが、や
はり楽しいようである。

「パズルをつくる」
(芦ケ原伸之、大月書店)が、その代表的な本である。
 この本は、木で作るパズルが多く紹介されている。本の名前からわかる
ように、パズルを自作して楽しむ本である。

 これは、工作の授業に、とても役にたった。そればかりは、木のサイコ
ロをはりあわせて作るパズルは、算数の立体の授業(展開図)にも役にた
ってくれた。

 図にある「ミナクチズキューブ」は、特に好評で、作るのが簡単なわり
に、立方体に完成させるのがなかなかということで、かなり楽しめるパズ
ルである。

 なお、先の二書に出てくる、サイコロの入手だが、はじめは、角材を切
ってやっていたのだが、小学生にはたいへんであった。

 東急ハンズにいくと、色々なサイズの木のサイコロが市販されていると
いうことも、かなりあとになってからわかったことである。

 いずれにしても、入手が困難なことにかわりはないので、いちばん簡単
なのが、学校出入りの教材社に、木のサイコロを注文することである。
 千個単位なら、なんとか引き受けてくれるとおもう。

 このサイコロのパズルとよくにているが、著者にいわせれば全く主旨の
ちがうパズル(パズルなんていうとしかられるかもしれないが)の本とし
て、「ニキーチンの知育遊び」(ニキーチン、暮しの手帖社)がある。

 こちらの方は、子育ての遊具として、発達を加味した取り扱いなので、
障害児学級などで取り組むと効果的だと思う。

 次に、同じ工作でも、科学工作の分野に入るパズルの本としては、
「不思議なものをつくろう」
(藤澤英昭、小峰書店)がある。

 内容は、ころがり円板・ぶらさがりモビール・おどるらせんなど、自作
できそうなものがわりあい多くふくまれている。

 金属板の代わりに紙を使ったりするなど、自分達で材料に対する工夫は
必要だが、低学年の動くおもちゃや理科の光の反射の学習などに利用でき
るのでないかと思う。

造形・変身を楽しむパズル

 算数の図形に対する感性を養う方法として、折り紙で図形を作るという
のが、一時期はやっていたが、単なる図形では、あきられてしまうので、
ここは、やはりパズルとしての要素の入った折り紙の図形がいいと思う。

「折り紙図形パノラマ」
(笠原邦彦、小学館)が、学年を問わずできるので、お勧めだと思う。
 長方形や正方形などの図形を折りながら、造形パズルや変身パズルが楽
しめるのだから、いうことはない。折り紙をする時間的な余裕がない場合
は、色つきの方眼ボール紙を使うと、それはそれなりに楽しく授業ができ
る。

 紙を切ったりする作業の習熟でいえば、特にカッターナイフの使用との
りづけにかかわって、
「折り紙建築」(茶谷正洋、彰国社)がいいと思う。

 折り紙とかいてあっても、いわゆる普通の折り紙ではない。
 白い厚紙を切ったり、カッターナイフで切りこんだりしながら、折りを
つけて立体的にしていく折り紙である。

 同著者の本としては、他に、「マジックハウス」(雄鶏社)「スーパー
折り紙」(講談社)など多数あるので、どれを使おうか迷うくらいである。

最後に、算数の文章題に役立つパズルの本を紹介したいと思う。

「ねん土板の国の算数パズル」(山崎尚美、さ・え・ら書房)がおもしろい。
姉妹編として「アリスの算数パズル」が二種類でている。
 いずれも、小数や分数などの基礎的な概念がしっかりしていないと、
まず解答できないので、本当に実力がついたかどうか確かめるのにはち
ょうどいい本だと思う。

 また、同著者による「小町算と布ぬすっと算」は、昔からの鶴亀算
や小町算など、算数の原点ともいうべき計算の仕方がパズルをしながら
学習できるとても楽しい本といえる。

 ただし、算数の教科書にない計算方法もかなりふくまれているので、
実際に授業にくみこむには、自主教材が公認されている現場でないとむ
つかしいかもしれない。