2 1993年11月号
ごみは燃やすから燃やさないへ 減量化と資源のリストラが急務
 東京都はこの10月から家庭ごみを半透明袋で出すように決めたことから大変な騒動になりました。
燃えると燃えないごみを分別し減量化を都民に徹底するためです。
確かにごみ減量化は市民の協力がなければできません。
 私の枚方市でも生ゴミ、荒ごみ、ビンの分別収集を行っていますが、独身者や共稼きの一部の人は
めんどうで一緒に出してしまうそうです。
なかには可燃と不可燃の区別がわからず出してしまうケースもあり、完全な分別は限界があります。
枚方市では、ごみの収集・焼却費用が年間で約37億円。
1トンあたり3万5千円かかっています。
他市でもほぼ同じコストです。
減量できれば燃やすコストが下がる発想は理解できますが、燃やすために分別するのは愚かな事に
思えます。
燃えるごみでも燃やさない発想の転換が必要です。
 ゴミを燃やし、容量を減らして埋める発想はイギリスから起因しています。
しかし、焼却場、廃棄物の埋め立て地の環境汚染問題から、その本家のイギリスが今ではゴミは燃やさず、
すべて資源化するシステムに数年前から変わってきています。
一般ごみの生ゴミは、コンポストし窒素等を混ぜ有機肥料。
紙、繊維、木くずは再生固形燃料。
プラスチックは再生プラスチック。
金属は非鉄、鉄のインゴット。
ガラス陶器は断熱材のミネラルウールに再利用できます。
海外では研究開発が進みごみの95%は再資源化が可能です。
本来、分別はごみをリサイクル、再資源化するために必要なのです。

ごみ分別は機械化で
どうしても一般ごみはいろんなものが交ざった状態なので、ごみの再資源化をおこなうには、家庭での
分別ではリサイクルの対応はできません。
そのためにはごみの分別、選別を機械で自動化する必要があります。
イギリスのニューキャッスル市では、@生ゴミ、A紙・繊維・木くず、Bプラスチック、C金属、Dガラス・陶器・
泥など5分別を、既に10年前から日産500トンの規模で自動機械選別が行われています。
驚異的なのは、家庭のプラボトルからPVC、PE、PETのポリマーに自動選別するプラ ントも稼働しています。
早い技術進歩で将来、ごみは燃やさないので地球上から焼却場をなくすことも可能です。
ごみ資源のリストラクチャリングが急がれます。

3 1993年12月号
ゴミの減量と再資源化のリストラ

ユニークな取組み続出 政府の積極的な支援策が必要

 長引く不況と円高・ドル安の影響で古新聞紙の需要が低迷、供給過剰が続いて います。
製紙の原料コストが古紙より輸入パルプが安くなり、回収業者の廃業や逆に手数料をとられる逆有償化
現象が出て来ました。
 枚方市内の自治会・子供会でも活動費の一部に当てるため実施してきた新聞紙・雑誌・段ボールの集団
回収が、行き詰まりを見せています。
 今年の1月、相談に来られたのがきっかけで、枚方市資源再利用推進会議(西内富男会長)を結成して
いただき、自治会・子供会などの地域団体に集団回収の量に応じた助成制度の創設を本年4月7日
大塩和男市長に217団体の署名で要望しました。

集団回収に助成
 回収団体に業者から売却金、枚方市から助成金を出すことで促進を図ります。
枚方市の家庭からの古紙の排出は推定で年間約1万トン。
ごみ処理費は現在1トンあたり35,147円。
回収されず焼却場に持ちこまれば約3億5千万円が灰に。
1〓3円の助成金とすれば約3000万円の負担ですみます。
どちらが得か明白です。
平成5年予算特別委員会でもとりあげた ことで、枚方市は積極的に実施すること を約束。
現在、平成6年度の実施に向け要綱をまとめてくれています。

生ゴミを発酵堆肥
 岐阜県可児市を中心に東海地方で「生ゴミのEM処理」が広まっています。
味噌や醤油ができるのは大豆などに発酵菌が付くからで、腐敗菌が付くと腐ります。
牛乳は腐ると腐敗分解して悪臭がしますが、乳酸菌を加えると発酵分解してヨーグルト等になる原理と
同じです。
各地で普及しているコンポストは生ゴミを腐敗分解方式なので、悪臭、設置場所など制約が多い。
反対に、EM処理は琉球大学農学部の嘉比照夫教授が開発したEM技術を応用したもので、生ゴミに
有効微生物群(EM)をくわえて発酵分解する方式です。
家庭で簡単に腐敗臭のない良質な発酵堆肥ができあがります。
他にも多くの企業や地方自治体がごみ の減量と再資源化の研究をおこない成果を上げていますが
事業化までは難しい。
今こそ政府の各プロジェクトへ積極的な支援策が必要です。


市民に優しい市役所へ

 枚方市役所の別館にエレベーターがありますが、本館にはありません。
別館にエレベーターがあることを知らずに、お年寄りが階段を上がっておられるのを見て、先程の決算特別
委員会で、本館ロビーに『別館にエレベーターがあります』という案内表示をつけるよう指摘したところ、
枚方市はすぐにつけました。
 今までになかったのが不思議なくらいです。
建築基準法で本館にはエレベーターが設置できませんが、少しでも市民に優しい役所にしたいと思います。



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