5 1994年2月号
2001年までに新農業経営の計画を

農家・農協・流通の改革が必要 コメ解放より農家の自由化を

 国内を二分したコメ市場開放論議は、昨年の12月に政府がコメの部分開放を決めたことにより終結
しました。
いままで、政治家は農村票を意識するあまりコメの自由化反対を叫び続け本質的な農業経営政策を
置き去りにしてきました。政治の大きな責任です。
枚方市でも多くの農地が宅地化され、駐車場やマンションが建ち並ぶ現状をみて農家の将来を展望
しました。

食糧管理制度と後継者不足が課題
 日本農業の課題は、全国の稲作農家290万戸のうち半数が高齢者農家です。
学校を卒業して農家を継ぐ若者は毎年約2000人未満で医大の卒業者より少く農業後継者不足は深刻化
しています。
それに農家がコメを作る量も売る相手も規制した食糧管理制度は、農家の生産意欲をなくしています。
 1995年から年間40万−80万トンの外国産コメが日本に入って来ます。
そうなると価格は下がり、コシヒカリ、ササニシキなどのブランドと二極分化が進むと予測できます。
品質も輸入米との競争原理で品種改良に拍車がかかるでしょう。
そのために、関税化が始まる7年目(2001年)までに新農業経営計画をまとめる事が必要です。
農家について、稲作農家でも農産品の加工販売(生販直結)ができるようにすべきです。
それに農業は工業製品と違い生産性が不安定なので、水田を大規模化するなど若者がやる気の出る
企業的経営体に脱皮しなければなりません。
 農協について、農協中心の農政は改革が急務です。
海外のコメ生産国を脅威に思わず、逆にかっての自動車産業のようにコメを農協が海外に委託生産する
発想も必要です。
そして海外産地から政府でなく農協が直接輸入することも考えられます。
利益は農家再建策の財源になります。
 流通について、国の一元管理では海外産地から直接交渉できません。
食糧管理制度はもともと1942年に第2時世界大戦のために配給統制した制度で、これほど形骸化した
法律はありません。
早く破棄すべきです。
保護しすぎるとどうしても足腰が弱くなります。
 コメの自由化でなく農家の自由化が先決です。
米の自由化を農業活性化の好機として政治家が主体的に取り組むことが大切ではないでしょうか。



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