13 1994年10月号
関西国際空港はハブ空港になり得るか

脅威のアジア各国の空港計画 全体構想の実現に外国資本も

 アジア地域のハブ空港めざして、わが国初の本格的24時間空港として大阪泉州沖に関西国際空港が
開港しました。
21の外国と国内24空港を結ぶネットワークは関西復権に期待がかけられていますが、滑走路は一本だけで
着陸料は世界一の高さ。
空港利用料も2,500円と世界一。
24時間空港といいながらアクセスの鉄道は深夜は運行していません。
はたして関西国際空港がアジアのハブ空港になり得るのでしょうか。
隣国のソウルはどの国よりも日本への航空路を多くもっています。

増大するソウル経由
 ソウルから日本へ定期便は、札幌、仙台、新潟、富山、小松、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、高松、福岡、
大分、熊本、長崎、鹿児島、沖縄の17都市に及び、来年には青森、松山にも乗り入れが決定しています。
昨年の韓国への空路旅行者は約120万人。
そのうち30万人が他国に行く通過客です。
17路線のうち日本の航空会社は6路線のみで、他の11路線は大韓航空の就航です。
 これは、韓国・大韓航空の航空券の格安販売と日本の地方都市の国際化を進めたい思惑が
一致したことが考えられますが、韓国のアジア地域航空網制覇の積極的な戦略に見えます。
  しかも、韓国は99年にソウル(仁川)に滑走路4本、4,600ヘクタールという巨大空港を計画しています。
香港では99年に完成予定で啓徳空港の6倍の広さの新空港を建設中、中国は上海(浦東)に
4,000メートル級の滑走路4本の新空港の建設が決定しています。
台湾、シンガポールのチャンギ空港も4,000メートル級、2本の滑走路を確保しており、アジア各国では
アジア航空網の拠点となるために従来のネットワーク空港網から大型ハブ空港網の整備に全力を
挙げています。
 それに比べ関西新空港は、滑走路3本1,200ヘクタールに拡張する全体構想は、財政難で建設のメドが
立たず先行き不透明な状態です。
整備が遅れるならば、その間のアジア各国の急追をうけて、関西国際空港は国際線のローカル空港に
なりさがるかも知れません。
そのため、早急にアジア太平洋地域の航空戦略として関西国際空港全体構想の整備をすすめ、ハブ空港の
地位を不動にしなければなりません。
3兆円の事業費が見込まれる財政負担は政府に頼るだけでなく、国際空港らしく外国資本や外債を
当てればよいのではないでしょうか。



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