17 1995年2月号
枚方市の防災計画に14緊急提言

人災は政治の力で止められる 大規模災害対策に不眠不体を

 阪神大震災は、大都市における地震災害に対する無防備さをさらけだしました。
現地に飛んで行政の防災対策のお粗末さを強く感じました。
我が枚方市も例外でなく防災計画は火災と台風対策が主体で震災対策は皆無に等しい状態です。
「関西には地震が起こらない」ことが前提になっていたことが原因です。
京都と大阪の下を通る花折・金剛断層があり例外とは言えません。
大規模震災を想定した対策を行政が講じなければ2次災害は人災になります。
 地震という天災は止めることができませんが人災は政治の力で止めることができます。
市の防災計画は平成4年と5年に全面改定をしましたが地震に対しては全くの無警戒で、いつ起こるとも
知れない震災に不眠不休で見直す必要があり緊急に14項目の提言をいたします。

@広域な救援休制
今度のような大規模災害は被害の受けた自治体では役所や職員も被害を受けており初期動員体制が
難しく、近隣市町村や府県など広域の救援体制を日頃から確立しなけれぱなりません。
A消防水源の確裸
断水によって消火活動ができなかったことから、地域消防氷源として淀川などの河川水や地下水の利用を
図るべきです。
B新しい通信システム
市民に的確な情報を提供するために、新しい通信手段のコミュニティFM放送の導入、パソコン通信・
電子メール有線テレビなどの活用が必要です。
特に郵政省が平成3年に市町村に一波あたえたコミュニティFM放送システムは各家庭のFMラジオで
簡単に聞けるもので、平成4年6月の本会議で提唱しましたが、市の態度は消極的でした。
この機会に積極的に検討して頂きたいものです。
C救急体制の情報網
災害時に電話が全くかからないのは致命的です。
特に救急医療体制の民間総合病院や警察・消防と直接連絡を取るために防災無線・同報無線システム
アマチュア無緑など無線通信綱の整備を図ることです。
D防災マップを全世帯に
ほとんどの市民の方は災害時に避難する場所はわかりません。
市内全域の避難場所や避難経路、非常持ち出し品や緊急連絡先などの情報を掲載した防災マップを
作成して全世帯に配布することです。
同時に防災意識啓発ビデオを作成、学校や地域で活用して日頃から災害に備える必要があります。
E防災学習センターの建設
市民の方が地震体験や心肺蘇生法など救急救護が体験学習できる仮称「防災学習センター」の建設を
すすめます。
F医療マンパワーの確保
災害に備えた緊急医療のために医師・看護婦・医療マンパワーの確保が平時から必要で、医帥会・
医療機関との救援体制を確立しなければなりません。
そのための緊急医療検討委員会を発足させるべきです。
Gヘリポート・船着き場の設置
鉄道、幹線道路の不通によって陸路の交通手段が確保できなけれぱ、空路・水路を活用した輸送体制を
検討すべきです。
へリコプターで重病者の搬送や物資輸送するために市内に10カ所程度のヘリポート。
淀川などの河川に緊急用船着き場を設置します。
H高齢者・障害者の掌握
昨年の北海道東方沖地震では高齢者・障害者の25%が逃げられなかったこと(北海道新聞社調査)
からみて災害弱者の一人暮らし老人や介護を要する高齢者・障害者家庭を消防本部で掌握し、災害時の
救出に役立てるべきです。
I備蓄倉庫は学校に
枚方市の災害用備蓄倉庫は市役所近くの一カ所(約90坪)のみです。
阪神大震災の教訓から災害用備蓄倉庫は都市公園や学校などの緊急避難地域すべてに設置すべきです。
運ぷ必要がないからです。
特に245教室ある学校の余裕教室を備蓄倉庫に活用すれぱコストがかかりません。
J救出器具も備蓄を
枚方市の備蓄食料は18,000食。
2,000人が3日間過ごせるという想定です。
40万市民からするとお粗末な量といえます。
適正な数量の食料・生活必需品の確保と共に、飲料水をつくる浄水器・掘削機・水中ポンプ・コンクリート
カッター等の救出機械器具も用意すべきてす。
K迅速な断水対策を
枚方市でも今回、断水の被害があったことから古い水道管の全交換や給排水管の図面整備を早急に
進めなけれぱなりません。
L防災都市づくり
長期的展望にたって高規格道路や大規模公園・緑地などオープンスペースを確保した防災都市づくりを
計画しなけれぱなりません。
M自衛隊も防災訓練に
毎年9月1日に大地震災害を想定して防災訓練を行っていますが、今後は消防・警察・大阪ガス・
関西電力のほかに自衛隊とも連携を取り合同で行うことが必要です。

18 1995年3月号
枚方市の防災計画緊急提言の回答

備蓄倉庫は学校空教室に設置 防災マップは全世帯に配布

 大規模震災を想定した対策を前号で提言いたしましたが、早速大塩枚方市長から回答がありましたので
ご紹介します。
満足できるものではありませんが、枚方市は2月27日に小椋助役を委員長とする「地域防災緊急対応計画
検討委員会」を設置し、今後の市防災計画の全面的な見直しをすすめることになりました。

@近隣市町村や府県と広域の救援体制を
・・・【回答】市長会や北河内広域行政推進協議会において実現に向け努力したい。
A消火栓以外の消防水源を確保せよ
・・・【回答】再調査のうえ耐震性の大型貯水槽の設置を検討したい。
B新しい通信システムの導入を図れ
・・・【回答】一つのメディアに限定せずさまざまな状況に対応できるようにミニFM放送をはじめ検討したい。
C救急体制の情報網を整備せよ
・・・【回答】地域防災無線(125局)・同報無線(屋外44カ所、戸別受信機100カ所)の拡充と関係機関への
導入を図りたい。
D防災マップを全世帯に配布せよ
・・・【回答】新年度に避難場所や避難経路、非常持ち出し品や緊急連絡先などの情報を掲載した
防災マップを作成する。
E防災学習センターを建設せよ
・・・【回答】今後の課題としたい。
F医療マンパワーの確保せよ
・・・【回答】医師会等関係機関と協議を行いながら救援体制の整備を図る。
Gへリポートや船着き場の設置すぺき
・・・【回答】緊急用ヘリポートの拡充を図り、淀川の活用は今後の課題としたい。
H高齢者・障害者の掌握をしておくこと
・・・【回答】安否確認など迅速な対応が最大の課題なので防災計画に併せてて検討し消防本部とも
協議する。
I備蓄倉庫は学校余裕教室に設置を
・・・【回答】4月に楠葉北・菅原東・中宮・蹉蛇小学校に備蓄倉庫を設置。以後随時設置。
J救出器具も備蓄すべき
・・・【回答】緊急に毛布16,000枚・断熱シート8,000枚・懐中電灯2,000個を3月補正予算で購入、
備蓄品目・資機材の見直しをする。
K迅速な断水対策をとれ
・・・【回答】耐震性の高いダクタイル鋳鉄管に布設替えをする。
今後コンピューター処理の管路網を検討する。
L防災都市づくりをめざせ
・・・【回答】オープンスペースを確保した防災都市づくりをすすめる。
M自衛隊も防災訓練に参加を
・・・【回答】陸上自衛隊第3師団と連携をとっている。
参加は防災会議等関係機関と今後協議する。



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