23 1995年12月号
宗教法人法改正問題

異常な参考人招致は政争の具 重要政策を後回しの選挙対策

 宗教法人法改正は実のある審議のないままに12月8日成立しましたが、参考人の意見聴取は意見を
聞くというより「釈明せよ」、「反省していない」など罪人扱いの質問をする委員を見て何のための参考人で
あったのか多くの人が疑問を持たれたのではないでしょうか。
 今回の宗教法人法改正の参考人招致の発想の根っこがおかしい。
どこの世界でもそうですが自分たちの都合で人を呼ぶというのは、それなりの礼儀が必要では
ないでしょうか。
参考人招致とは法案を審議するための見識者の意見を伺うことで、参考人が本当に必要かどうか、
必要ならば誰に来てもらうのが適当か等を慎重に検討してお願いすぺき性質のものです。
相手の意向も含めて人権に最大の配慮をすべきです。
 ところが、今回は初めから呼び付けるという態度。
そのうえ早い段階から「参考人招致がだめなら証人喚問もあり得る」(加藤自民幹事長)と公言して
はぱからない態度は誰が見ても異常てす。
 当初2、3年とした宗教法人審議会を5カ月で切り上げ、衆議院の審議がわずか5日半で採決し、衆議院の
法案成立が確実になった後に与党が「反対意見をお聞かせ願いたい」というのは民主主義の崩壊であり
墓本的人権はなくなります。
 改正問題を宗教団体の政治活動の制限に終始する追及はオウム真理教対策でなく、先の参議院選挙
比例区で自民党を凌いだ新進党の躍進を阻止するため、支持基盤の堅い創価学会攻撃にほかなりません。
政権党が特定教団を攻撃することは国家権力による宗教介入であり、憲法20条信教の自由に違反すると
考えます。
昨年の10月12日の衆議院予算委員会で大出内閣法制局長官が「政教分離の原則というのは、国及ぴ
その機関が国権行使の場面において宗教に介入し、あるいは関与することを排除する趣旨だ」と答弁して
いるからです。
 自民党は来年の国会でも政教分離基本法案を提出して対決姿勢を鮮明にしていますが、多くの国民は
それが来年にも予想される総選挙対策であることを見抜いています。
日米安保・沖縄問題、金融破綻対策など多くの重要政策を後回しにしてまで政権から転げ落ちるのでは
ないかという自民党の恐怖心によって宗教を政争の具にすることは政治家として愚かなことてす。


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