25 1996年2月号
津田サイエンスヒルズの事業手法

価格も決めないお役所経営 公共事業も原価意識が必要

 大阪府は平成8年度財政見通しで2600億円の不足が予想されるため新規事業を始め大幅な事業縮小を
予定しています。
「税収入が減ったので事業はしない」というのは当然のように聞こえますが果たしてそうなのでしょうか。
 京都・奈良・大阪にまたがる関西文化学術研究都市に府が昭和63年から建設にはいった津田サイエンス
ヒルズ(枚方市津田地区、敷地26.4ヘクタール)があります。
科学技術研究開発のイオン工学センター自由電子レーザ研究所が開所しており造成工事も完了、
この3月から研究施設用地17区画を民間会社に分譲します。
 開発事業費は、用地買収費112憶9900万円、造成費124億8400万円、金利・事務費104億100万円、
合計341億8400万円です。
分譲面積は11.8へクタールで、坪95万6000円となります。
ところが分譲価格は未定です。
価格も決めずに企業誘致ができるはずがなく、決算特別委員会(1月25日)で取り上げたところ、
坪60万円位を予定していると答弁がありましたが、完売したとしても約127億円の赤字なります。
府の用地分譲価格の設定はそのときの時価としており、開発費などの原価を回収する発想はありません。
道路や橋梁用地の買取であれぱ公共事業として原価意識が働かないのは理解できるが、今回のように
民間会社に分譲するのは原価意識は必要てす。
貴重な税金で事業を行う限り許されません。
 3億6000万円の工事費をかけて、百数十名の職員用のレストラン(共同利用施設)が昨年10月に開業
しましたが、1日平均40人程度の利用に過ぎず杜撰な計画です。
館内に募集ポスターやパンフレットもなく販売の最前線拠点にするぐらいの発想ができなかったのか
事業経営に対するコスト意識が見受けられません。
 こんな例もあります。
1月26日に北河内府税事務所で府税審議会議案に、100万円以上の、滞納が増加しているので
重点徴収するとあったので、件数をお尋ねると「わかりません」という答弁には鷲きました。
これでは府が経常収支比率106.2%で全国ワースト1も当然かも知れません。
府はバプルの崩壌や景気が悪いことを強調しますが、庁内で積極的な改革しようという墓本的なことが
欠落しています。
 府民の税を使わせて預くという姿勢が必要で、すべての公共事業にも原価意識を徹底しなけれぱ
なりません。
今後、泉佐野市、岸和田市でも同様の計画があるので府議会で厳しく糺していきます。
27 1996年4月号
続報 津田サイエンスヒルズのレストラン

縦割り行政が経営不振を招く 展望抜群の枚方の新名所に!

 地元の関西文化学術研究都市・津田サイエンスヒルズ(枚方市津田地区)に昨年10月に、建設費
3億6000万円をかけた共同利用施設の「レストランくにみ」がオープンしました。(96年2月号既報)
津田サイエンスヒルズの事業開発は大阪府商工部ですが、レストランは府労働部が経営するように
なりました。
商工部から労働部に経営委託した理由は、イオン工学センター(開業2年7月)、自由電子レーザ研究所
(同6年5月)の従業員や進出企業の福祉厚生施設の位置付けをしたからです。
労働部が所管する財団法人大阪府勤労者福祉協会が勤労者憩いの家(サンパレス枚方)を枚方市藤阪で
運営しており、一体的に経営できると判断したようです。

3億6000万円で1日の利用は40人
 ところが2社の従業員は百名程度。
オープン以来、一日の平均利用者は約40名。売上は1カ月、約140万円程度です。
レストランは62席、喫茶は16席、和室20名、会議室54名収容の施設ですが、営業は午前11時から
午後2時までの昼食が主力でメニューも少なく、夕食は予約でないと利用できません。
経営不振の理由は両部にありますが責任は明確でありません。
それで建設費3億6000万円は如何なものか。
8年度予算の財源不足で行財政改革を叫びながら一方で無駄な経営をする覚を疑います。
 勤労者のためだけの事業でなく、今後の事業経営のありかたを考える必要があります。
企業誘致が当初の計画通り進まず、経営環境は厳しく従業員の利用だけでは、採算見通しはたちません。
そこで、今回は細かい話になりますが、行政といえども原価意識をもたなければならない視点から地域の
市民に開放したレストラン経営を提言します。
 立地は国見山の中腹にあり淀川沿いに広がる枚方市の町並みを一望でき、天気のよい日は比叡山や
京都市街が望めます。
特に枚方市で夜景を楽しめる唯一の場所です。
当然、施設費は軽減されるのでやすい料金でフランス料理などが提供できるはずです。
展望抜群のレストランとして枚方の名所となるでしょう。
そのために、現行の土・日・祝日の休業は返上しなければならないし、積極的な宣伝も必要です。
1月の決算特別委員会で指摘したこともあって、3月15日の枚方市広報紙で取り上げて頂きましたが、
大阪府が最大限の営業努力をすべきです。



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