29 1996年6月号
府立大学の授業料値上げ

横並び国公立大授業料は疑問 受益者負担は学部別格差導入

 今年度から大阪府立大学と大阪女子大学の授業料が改定され、府立大、女子大共に一律441,600円の
授業料を、約10%値上げの447,600円になりました。
その理由は大学教育における@受益者負担の適正化、A私大との格差を縮めるということでした。
 関西地区では京都府大、京都市立芸大、京都府医科大が同額の値上げをしました。
既に昨年、大阪市大、神戸外大、神戸商科大、奈良県医大、和歌山県医大などが全く同額の447,600円に
改定しています。
これは他の都道府県のほとんどの大学も国立大学の授業料に合わせているためです。
それでは、大学の管理経費も同額かというとそうではありません。
 府大学の教職員費や管理費は、府立大で163億7900万円。
学生一人当たり284万円。
女子大で同16億円。
一人当たり178万円で1.6倍の格差があります。
府大では文科系と理科系の学部があり、多くの研究機器を必要とする工学部などは当然、管理経費が
高くつきます。
値上げ理由の益者負担の適正化というならば、管理経費に基づいて算定すべきです。
ところが、大阪府に学部別の管理経費を問い合わせましたが「わからない」という回答です。
 学部別の収支も認識していないことに「親方日の丸」を感じます。
ここでもコスト意識が忘れられている大阪府の体質が露呈しています。
国公立大学の授業料の横並びで改定を行うならば受益者負担を理由にするには無理があります。
今後、公立大学の性格から経済的な負担を軽減した授業料でなければなりませんが、授業料は同一
料金から学部間格差が必要です。
もうひとつの値上げ理由に、私大との格差を縮めるとありますが、
ほとんどの私大は学部別授業料制度(右表)にしており、どの授業料を
基準にするのかあいまいです。
私学と比較する限り、学部別授業料制度にならざるを得ません。
 今回の約10%値上げの算出基準はなくただ国立大学の改定料に
横並びしただけであり、二つの理由も疑問を感じます。
 このことは2月府議会の文化労働常任委員会で取り上げ大阪府の
姿勢を糾しましたが、授業料は2年ごとに引き上げられており引き続き
監視して参ります。
私立大学授業料
理工系 文科系
関西大学 920,000 610,000
近畿大学 690,000 600,000
甲南大学 1,021,000 695,000
同志社大 865,000 584,000
関学院大 857,000 617,000


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