36 1997年2月号 |
課題の多い監査制度 分権は自治体の自浄能力から 外部監査と情報公開がセット |
1947年に創設された地方自治法で都道府県と人口25万人以上の地方自治体に有識者2人と議員2人、 計4人の監査委員を置くように決められています。 任期は4年で首長が議会の同意を得て選任できます。 監査内容は予算執行の適否や効率性、決算書審査の他、一般行政事務の監査まで権限が与えられ いわば自治体のチェック機関ですが、大阪府の裏金問題では監査事務局でも発覚、監査制度の あり方が問われています。 91年の法改正で、退職後5年以上は選任されない制限が設けられたが「有識者委員」の大半は その自治体のOB。 身内で監査する馴れ合いが問題視されています。 それに、監査の事情聴取や書類審査・作成は自治体の事務局職員がおこない監査委員が判断する システムです。 当該自治体の執行機関の一つであるのでどこまで毅然と監査できるか限界があります。 このように現行の監査制度は内部監査機関と同じ印象をうけます。 「議会推薦委員」は、議長、副議長と並んで重要な「ポスト」になっており、慣例とされる1年の任期では 十分なことができません。 そのようなこともあり政府の地方制度調査会は、昨年12月の報告で外部監査制度導入を指摘しています。 自治体が公認会計士など外部監査人に委託契約する包括監査と特定の案件のみ委託する個別監査の 2案を提示。 包括監査は事務権限の範囲が広い都道府県などに義務づけ、一般市と町村は個別監査を原則に 条例制定すれば包括審査も可としています。 外部監査制度導入は不可欠ですが地方制度調査会の考え方に課題があります。 一般市と町村には現行制度を残しながら個別監査を提示しているが、どの自治体にあってもすべて 外部監査制度に切り替えるべきです。 二階建のような制度は屋上屋を架すことになりかねません。 民間の監査法人のような外部監査機関を都道府県に数カ所設置、事務局職員は自治体職員であっては ならないし、行政OBの天下りもできない組織機構が必要です。 もう一つ、住民の監査請求に対して行政が的確な情報を外部監査機構に情報公開することが明確に されていません。 いくら外部監査制度を導入しても行政が外部監査機関に情報公開をしなければ現行と何ら変わらない でしょう。 最も大切なことは、外部監査制度よりも権限と財源を市民から預かる自治体として、自ら責任ある チェック機能と自浄能力を身につける努力が必要です。 |
Copyright(C)2000 Kazuo Suzuki. All Rights Reserved. |