41 1997年7月号
神戸少年事件・写真掲載週刊誌問題

商業主義の報道姿勢に鉄槌を 健全な青少年育成に悪書追放

 新潮社が発行するフォーカス、週刊新潮の両誌が、神戸市須磨区の小6男子殺害事件で逮捕された
少年の顔写真を掲載したことで、書店や駅の売店、コンビニで一斉に販売の中止や神戸市を始め多くの
自治体等が抗議するなど大きな社会問題になっています。
法務省も「著しい人権侵害と法無視の態度が甚だしい」として新潮社に対して、自主回収と再発防止策の
公表を求める勧告をおこないました。
これに対し、フォーカス編集長は、「極めて特異な事件で少年法の枠を超えており掲載に踏み切った」。
週刊新潮編集長は「事件の異常さにみ、報道の自由、表現の自由の立場から独自の判断で報じた」と説明し
「両誌を回収する考えはない」と勧告に従わない態度をしめしています。
 法務省人権擁護局は「少年法に明白に抵触し、人権擁護上、看過できない」としており、日本弁護士
連合会も「少年法の精神を踏みにじるもので、絶対に許されない。
少年の人権を著しく侵害するもので出版社に猛暑を求める」と強く抗議。
 新潮社の少年法に問題があるからと現行の法律を無視して何を報道してもよいという理屈は通りません。
このような報道姿勢が広がると法秩序は成り立ちません。
国民の知る権利、報道の自由は尊重されなければなりませんが法を守る立場からの報道が原則です。
法務省の事情聴取などの調査から、新潮社側が「編集部のの判断」としていた顔写真掲載について、
「両誌とも担当役員が事前に了承しており会社ぐるみでおこなった」と断定しています。
また、フォーカス社は1985年にも両親を殺害した16歳の少年の顔写真を掲載し、 法務省から勧告を
受けています。
前回の勧告を無視し、同じような形で繰り返されている新潮社そのものの傲慢な体質に問題があります。
「売れればよい」という歪曲した金・女・ 子供の俗もの商業主義の新潮社の有様が今回の事件で明らかに
されたが、一連の態度を見て、両誌が売れなくなるまで同社の報道方針はは変わらないでしょう。
 書店や駅の売店、コンビニで一斉に両誌の販売を中止したのは賢明な判断であり、このような歪んだ
報道に歯止めをかけるのは、良識のある市民として同社の両誌を買わない、読まない。
銀行や美容院の待合室や喫茶店等にも置かない運動ではないでしょうか。
健全な青少年を育成するために悪書の追放は必要なことです。


Copyright(C)2000 Kazuo Suzuki. All Rights Reserved.