42 1997年8月号
不可解な泉佐野コスモ調査報告書

杜撰な買収で法的責任なし? 責任を明確にして破綻処理を

 経営が破綻した大阪府出資の第三セクター叶佐野コスモポリスが、二重買いや存在しない土地を
購入するなど、実際の面積より5ヘクタール(約20億円)を余分に買収した問題の調査報告が発表されました。
 報告書は、コ社の調査委員会がまとめたものですが、メンバーは府が2人、泉佐野市2人、コ社2人、
専門委員2人はコ社の公認会計士と市関係の弁護士の8人で構成され、いわば「身内」の調査委員会です。
「面積差異と約20億円の支出増加が生じたのは、地権者の権利主張を容認して早期の用地集約、事業化を
図るための妥協であり、その判断については既に詳述した経営判断法則に照らして善管注意義務忠実義務
違反はないと考える」また、「判断基準に照らして取締役が誠実かつ合理的に行動したのであれば、
その後の状況の変化により結果的に損害が発生し、或いは余分な出費が支払われたとしても、
善管注意義務・忠実義務違反にはならないと考えるべきであろう」とずさんな買収を正当化し、一切、会社や
取締役の責任がないとしています。
 コ社の誤りは、全体面積(85.6ha)を確定せずに買収にはいり、地権者に一斉個別面積提示をしたことです。
これで実測以上の土地を主張したり、里道や水路まで含むなど地権者の言いなりの買収につながりました。
買収契約をチェックもせず、稟議書も残していない実態です。
そのことを正当化する調査報告は根拠がありません。
 当時は90年4月総量規制、91年の地価税宅地並課税の導入で民間の土地投資撤退が始まり土地開発に
暗雲が立ち込めてきた時代で、事業存続の論議なく進められたコ社首脳部の経営判断の甘さが問題と
なります。
そのなかで府は92年6月に70億円を融資、バブル崩壊の93年8月に銀行団へ50億円の融資依頼しており、
主導的な立場をとってきた府の責任は重たい。
そのため今後の破綻処理に安易に184億円もの税金を投入しようとする姿勢は容認できません。
府民の皆さんも許されないでしょう。
 今後、府、市、コ社、銀行団、ゼネコンの責任を明確にしたうえで破綻処理にはいるべきです。
既に買取りを前提にした府の跡地利用検討会議は主客転倒です。
これらは、8月12日に開催される府商工農林常任委員会で、用地買収の責任、コ社の組織機構、府の責任、
破綻処理などの問題を糾す予定です。
(詳細は次号、 泉佐野コスモ問題は本誌97年3月号37に詳細 )


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