43 1997年9月号
府老人医療費助成制度の見直し

急激な改正はすべきでない 福祉見直しは真剣な論議を

 この9月1日に政府の健策保険法が改正され、大幅な負担増になりました。
今後も介護保険法の導入など、医療保険費がどれだけ増大するのか不安が立ち込めています。
そのなかで大阪府では老人医療費助成制度の緒小を予定しています。
同制度は国が70歳以上から医療費の一部助成しているのを府では65歳(年収380万円以下)から助成。
現在、28万2000人が対象で総額317億円を計上しています。
 府は今後の高齢化の進展で事業費が膨張するため見直す事を決め、昨年11月に府衛生対策審議会に
諮間しました。
その答申によれば、「高齢者の収入が増え、制度の意義は薄くなった」や福祉政策の転換(現物支給
制度の見直し)をあげ同制度の縮小を提案しています。
 具体的な縮小案はまだ府から提出されていないが、一部新聞報道によると対象者を非課税世帯
のみにし、170億円を削減するとしています。
そうなれぱ約8割の人が対象からはずれます。
確かに、高齢者は経済的な弱者ではないかもしれないが、健康面では社会的弱者です。
制度の変更は影響を考えて行うべきで、新聞報道のような急激な変更はすぺきではありません。
 府福祉部は、財政事情で見直すのではないを強調しているが、誰が見ても財源不足で見直すことは
明らかです。
「府が大変に厳しい財政事情なので、高齢者や障害者などの社会的弱者の方々に直接影響のある事業も
含めて見直しを検討したい」と正々堂々と議会に論議を挑むべきです。
それを福祉政策の転換等を大義名分にする態度は理解できません。
「福祉政策の転換」は、昨年の福祉見舞金の廃止時の意義づけで改めて今回だされても説得性は
ありません。
それでは削滅した予算をそのまま高齢者対策にシフトするのでしょうか?。
 所得制限の見直しなど府衛対審の方向性で理解できる面もあるが、高齢者対策は少子化間題と表裏
一体であり、少子化対策にはほとんど触れられていないことからも、初めから「老人医療助成制度の削減
ありき」の姿勢がみえます。
 府民の生活に直接関係する事業の見直しは、泉佐野コスモポリス破綻184億円投入問題、指導監督
下にある安田病院、徳風会等の医療法人、社会福祉法人の不正問題、府庁全課の裏金捻出間題など
府を取り巻く府民の不信感を払拭したうえで、公共事業を始めすべての事業を見直し、削減し尽くした後で
着手すべきです。


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