44 1997年10月号
法人2税・97年6月調定額

大阪府が愛知県に抜かれ3位 独自の産業構造の改革を創造

 97年6月末現在の都道府県別調定状況調べで、大阪府の法人2税調定額が2498億円(事業税2063億円、
府民税435億円)で、愛知県の同2730億円(同2315億円、同415億円)に抜かれ全国第3位に転落しました。
大阪が、前年同期を4.2%下回ったのに対し、愛知は同14.5%と大幅に増加。
これは、大阪が阪神淡路大震災の復旧需要も一段落し、建設業が悪化してきたことや製造業の空洞化が
一段と進んできたことが原因といえます。
これに対し愛知はトヨタなどを中心にした自動車関連企業やハイテク分野の製造業が予想を越える業績を
あげました。
 税額は企業決算を受け毎月決定しますが、全体の過半数を占める3月決算企業の調定額が決定する6月に
態勢を占めますが、9月決算企業の税額決定する11月調定も、大阪経済に好材料がなく愛知に抜かれる
ことは間違いないようです。
 愛知は自動車関連企業の比重が高く、税収の増減が激しい側面があるが、戦後始めて東京に次ぐ不動の
座を占めてきた大阪が、愛知に明渡す事態を招きました。
 大阪の産業空洞化の背景は、人件費、流通、法人税の高コストで、大阪を代表する家電産業が海外に
シフトし、全国のシェアを占めてきた卸部門も海外からの再輸入を許し、低下の一途を歩んでいます。
ハイテク部門は愛知に取って代わられ、情報産業は東京に集中、大阪は産業構造の変化に対応
できませんでした。
 そのために、先月17日、通商産業省産業政策局望月晴文総務課長を訪ね、5月16日に閣議決定された
「経済構造の変革と創造のための行動計画」についての見解を研鑽してきました。
しかし、同行動計画は2001年を目途に実効ある経済構造改革の推進を図る施策を網羅していますが、
あくまでも「中央」の対策であり、地方における中小企業対策ではないことを痛感しました。
やはり、大阪は大阪で産業構造の改革案を独自で創造しなければなりません。
主導的な立場にある府商工部は、信用組合の破綻や泉佐野コスモポリス事業を初めとする第三セクター
事業経営失敗の処理に追われ、それどころではありません。
 また、府が危機的な財政状況を強調するのは、今まで役所が犯してきた税収予測の見誤りや合理化の
努力を怠ってきた責任のすり替えに思います。
 今こそ、積極的に大阪の中小企業経営者のために知恵を絞り、汗をかき、再建策を捻り出すことが役所と
議会の責務ではないでしょうか。


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