45 1997年11月号
お役所商法の検証

府の開発事業破綻の3大原因企業と行政の相違は責任回避

 「入るを量(はか)りて、出(いずる)を為す」は、経済の原則。
企業だけでなく役所でも言えます。
財政再建中の大阪府では、「出を為す」の財政削減策が目立ち、後ろ向きの行政運営に職員の士気も
あがりません。
 府のここ10年の開発分譲事業は、泉佐野・岸和田・和泉コスモポリス、津田サイエンスヒルズ、
りんくうタウン等大半が破綻し、巨額の事業費の回収もメド立たない状態です。
府は「入るを量る」は苦手のようです。
今回は、その原因を検証。

@原価の足し算方式
 企業が土地分譲する場合、市場価格を調査し売れる価格を設定してから、土地買収価格、造成費、
経費等の原価を設定し利益を弾きだします。
ところが、府に限らず役所は全く逆の発想で事業を行います。
販売価格は設定せず、時価で土地買収し、造成費や経費を足したものが販売価格になります。
道路や河川等の社会的資本(インフラ)の整備手法をそのまま導入するからで、採算性や市場価格は眼中に
ありません。
したがって、民間と同じ事業をしても競争力はありません。
バブル経済の買えば値上がりする時代ではうまくゆくでしょうが、そのような時代は二度と来ないでしょう。

A時は金なり 原価意識の欠落
 我が枚方市で行われている府公社の住宅分譲事業は昭和42年から買収を開始し今年で30年、
金利だけで100億円以上、企業では考えられないスローモーです。
工事が遅れても借入金の利子が増えるという観念がありません。
時間に対する感覚が鈍く、タイム・イズ・マネーの精神が欠落しています。

B先送りの無責任体制
 いたずらに問題解決を先延ばししてきたツケも原因です。
お役人の退任挨拶を聞いているとほとんどの人は「大過なく職務を全うし…」と言われます。
この意味は、担当が2、3年で代わり、その間は、問題を起こさず、無難に勤めること全力を挙げ、問題があると
先送りします。
自分の時代では責任を取らないシステムです。
それに、担当者個人の責任か、組織の責任かを明確にしません。

急激な景気回復が望めない状況で、放置するのでなく現時点でケリをつける必要があります。
津田サイエンスヒルズ事業は、私の議会での度重なる指摘でようやく見直しを決めました。
役所を支えているのは府民の資金です。
貴重な財源を疎かにさせないために、他事業についても議会で糾していきます。



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