48 1998年2月号
検証 北川正恭三重知事の改革

大胆な行財政改革の旗振り役 画期的な事務事業評価制導入

 三重県の北川正恭知事は知事就任以来、さわやか運動を提唱、その後、官民の役割分担、マトリックス
予算の導入、事務事業評価システムの徹底、補助金の徹底削減など庁内や各種団体から猛烈な抵抗を
受けながらも果敢に大胆な行財政改革の旗を振り続けておられ、直接に知事に会談すべく2月3日、県庁を
訪ねました。
 「すべての公共サービスの費用が住民の税金で賄われている」を原点に、機構改革では部局を企画立案・
実施・評価に分類し、縦軸の行政サービスと横軸の機能をマトリックス(格子状)し縦割り行政の弊害を
少なくしています。
特に画期的なのは1996年に導入した目的評価表に基づき予算査定する事務事業評価システムです。
97年には3200の県事業から268事業を廃止し約59億円を削減。
当初は275事業を廃止する予定が7事業は存続。
廃止すべきかどうかは県議会で論議するという全国でも初の手法を考案。
今までは「密室」といわれ住民の分からないところで決定してきたものが、議会という
アンダー・テーブルでなく、オン・ザ・テーブルで行われることで透明性が 計られ住民も参加できます。
ガラス張りにより関係団体の「圧力」が減少した効果が既に現れています。
 98年度からは各種団体への補助金や委託金も、特定の団体に偏らないよう一般競争入札で決める
システムを導入し、公平性とコストダウンを図ります。

北川知事の印象記
 応接室で、「時間がもったいないので、失礼」と知事はトランプのカード配りのように名刺を配るのには唖然。
それでも当初予算編成の知事裁定の超多忙な最中予定時間の二倍も裂いて行革の思いを熱ぽく
語られたのが印象的。
三重県の公債費負担比率(借金返済率)は約13%で府の約10%より厳しい状態で、前途は多難。
しかし、行革への積極的な姿勢は庁内の職員にも徐々に浸透し、意識が確実に変わりつつあるように
見えます。
いち早く行政のビックバンを取り入れ実践する北川知事に批判めいた声もあるがめげないリーダーシップに
軍配あり。



Copyright(C)2000 Kazuo Suzuki. All Rights Reserved.