49 1998年3月号
大阪府の新年度予算編成に思う

行革は役人自身の意識改革 勇気ある節約と増収と撤退

 大阪府の財政は、本誌12月号でお知らせしたように98年度は2000億円以上の財源不足で民間でいえば
会社更生法適用寸前の状態です。
固定資産税収のある市町村と違い道府県は法人2税(法人事業税、法人住民税)が主力で景気の影響を
受けやすく不況が続く状況では悪化の一途。
4400億円あった基金は500億円に減り、起債残高(借金)は、3兆5000億円を突破、府民一人あたり
約40万円にのぼります。
収入が減れば、支出を抑えるのは当然のことですが、府を始め行政では民間のように支出を収入の範囲に
押さえる発想をしません。
前年度の予算を消化しなければ有能でない考え方で、前年度よりも多くの予算を取ることに凌ぎを
けずります。
だから、支出は前年を下回ることはありません。
収入より超過したものは起債(借金)を発行して穴埋め、先送りします。
右肩上がりの経済成長での"上積み方式"も行き詰まりが見えているのに変えようとしない姿勢に問題が
あります。
 今年度の500億円を越える借金返済は子孫末代まで財政負担をかけることになります。
これ以上の借金をして後世に負担をかけてはなりません。
このような中で、府の出資比率16%にすぎない泉佐野コスモポリス事業の破綻処理で200億円以上の
税金投入や、人事院勧告に従い、職員給与のアップ(123億円)は府民の理解は得られません。
一方で65歳以上の老人医療費助成制度(180億円)の廃止は府民福祉の切り捨てであり、誰のための
府政か分かりません。
まず、徹底した節約と増収の努力をしてそれでも財源不足なら府民にも痛みを求めても仕方が
有りませんが、まだまだその余地はあります。
行財政改革はお役人自身の意識改革です節約して予算を残すお役人。
費用対効果のない事業から撤退できるお役人。
増収を図るお役人を評価すべきです。
逆に政策判断の誤りや無駄遣いをしたお役人の責任を明確にしなければなりません。
今こそお役人の倫理観を改革し再建しなければ親方日の丸の神話は確実に数年先に崩れ去ることは
間違いありません。


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