53 1998年7月号
参議院選挙の後始末

与野党を越えた経済政策を恒久減税策で経済危機脱却

 先の参議院選挙は予想を覆す自民党の大敗で終わりました。
長引く不況に不安を抱いた多くの国民が政府・自民党の政治では「日本が変わらない」とイエローカードを
突き付けた結果です。
いくつかの橋本政権の誤りを指摘すれば、落ち込む景気に逆行した財政構造改革法の制定。
不況下にあべこべの緊縮予算を組み誤りにきずき16兆円もの大型補正予算を提出。
否定していた恒久減税を投票直前に容認。
そして、昨年春の消費税アップ、特別減税の打ち切り、医療費のアップなど景気を後退させた橋本首相の
経済失政の鬱積した不満の爆発といえます。
経済企画庁は98年度の経済白書で、バブルの清算が峠を越えたとする97年度の経済白書の誤りを
認めましたが、昨年4月の消費税率アップが不況の引き金でないと強調しているところに今も政府の
景気判断の甘さがあります。
これでは庶民の実感から遊離した政府の経済対策に不安を抱きます。
官僚に依存して政策判断をしてきた自民党政治から健全な政治主導の果断な政策展開が必要です。
 政府は消費税引き上げの影響を検証すべきです。
上昇の一途であった個人消費が戦後初めて1.2%下落しました。
ますます不況、高齢化、リストラなど先行き不安による心理不況が続くなかで景気が上昇する要素は
ありません。
選挙中に消費税を3%にもどす意見がありましたが、消費税を含む間接税と直接税の見直しを考える時期に
有効策でなく、景気回復に即効力のある10兆円規模の大型恒久減税、戻し税(商品券方式)、法人減税の
実施を打ち出すべきです。
年金生活者に犠牲をしき銀行の救済策と言われる超低金利政策は「大蔵省感覚」の象徴で、低金利
脱却のため日銀や大蔵省、金融機関の経営責任を明確化したうえで公的債権回収機関(RTC)を
設置し不良債権処理を迅速にすべきです。
心理不況の払拭も課題だし、財政構造改革法の改正、選挙中に打出した不透明なブリッジバンク構想も
見直しが必要であり、解散総選挙などで政治空白をつくるより与野党を越えて経済危機脱却のために
打つべ手はすべて打つことが大事です。


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