71 2000年2月号
大阪府知事選の検証

女性でもやってみなはれ! 大阪が選んだ初の女性知事

 横山ノック前知事の辞職を受けた大阪府知事選は、自自公と民主などが推薦する太田房江氏が、
共産推薦の鯵坂真氏、自民府連推薦の平岡龍人氏らを破り初当選し、全国初の女性知事が誕生しました。
鯵坂陣営は「前回の知事選より10万票上積みできた」。
平岡陣営では「獲得した57万票は過去2回の参院選大阪選挙区の自民党候補票を上回った」とコメントし、
両陣営が敗北を認めない選挙戦でした。
 今回の知事選は、@自民党本部と府連が分裂、A対立している自自公に相乗りした民主党と大阪府連の
ねじれ、B自自公政権の批判、C国会の混乱から共産党候補に強い追い風が吹きました。
読売新間の出日調査で無党派層のうち46%の人は鯵坂氏に投票、太田氏は34%であったことからも
わかります。
共産党府政が誕生しなかったことに安堵しましたが無党派層の政治不信の批判が共産党候補に
流れたことは事実であり、真剣に信頼を取り戻す努力が大切です。
 府議会では、最大会派の自民党(43名)が野党に回り、太田知事を支援した与党のうち民主党(23名)は、
4会派(躍進11人、新政会7人、連合さつき会6人、府民の会3人)に分裂しており混乱が予測されます。
そのなかでの写党第1党の公明党(22名)の課題も大きいことを感じます。
 太田知事は、全国最悪の経常収支比率や平成12年度だけで約6500億円の財源不足の大阪府の財政を
どう立て直すのか、知事の「府民は株主。職員は社員」と企業経営感覚を府政運営に導入する主張は
評価したいが、推薦をうけた連合などのしがらみから思い切ったリストラができるのか、という厳しい課題が
あります。
 通産省での中小企業対策や近畿通産局総務企画部長や岡山県副知事として地方行政を経験したことを
中小企業の多い大阪の景気回復の即戦カとしてリーダーシップを発揮していただきたい。
 全国で初の女牲知事誕生は、大阪が女性でも「いっぺんやってみなはれ」と言う新しいものを生み出す
風土があり、府民の新知事への期待は大きいものがあります。
いずれにしても3月7日からの3月定例府議会が大きな焦点です。


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