86 2001年5月号/87 2001年6月号
大阪再生のための緊急提言

都市基盤の新活用で経済復興

 東京との格差がますますひろがる大阪。
景気回復が見込めないなかで、大阪経済の立て直しをかけた取り組みは、関西経済の浮上にもつながる
重要かつ緊急な課題です。
今まで十分に活かされて大阪の都市基盤を新たな視点で活用することで、大阪の再生を図ることが
できないのか、2回に分けて紹介します。

関西国際空港とりんくうタウンを関西の総合集積都市に
我が国の玄関口である関西国際空港と大阪湾ベイエリア地域の中核拠点でありながら土地利用の
行き詰まったりんくうタウンに、経済・都市機能を集積させることで、相乗的発展が見込めると考えます。
@阪神淡路大震災規模の災害が発生した場合、航路を利用して関西・西日本全体から「都市災害難民」を
収容できる大規模な防災避難公園の整備ができます。
Aすべての廃棄物を新たな分野の原料に活用することを目指した資源循環型社会の一環として、
りんくうタウンに廃棄物の減量化、再利用化を図る環境産業や研究機関を集中的に誘致するエコタウン
構想で、新しい環境産業や雇用の創出が見込めます。
B企業誘致の失敗したりんくうタウンに、対内投資重点地区(国際エンタープライズゾーン)に設定し、
法人税、法人事業

大阪にも東京級の情報拠点の整備を
日本の通信トラフィック(インターネット上を流れるデータ量)の90%が東京で交換されており、情報の
東京一極集中が進んでいます。
首都圏で災害があった場合や、関西の復権を思えば、大阪にも東京に匹敵するIT利用環境を整備
しなければなりません。
たとえば、三重県阿児町への海底ケーブルを大阪へ誘致(ブロードバンド網)やインターネット相互
接続点整備などです。

バイオ研究の情報ネットワーク整備を
大阪大学や関西文化学術研究都市や播磨科学公園都市など世界でもトップクラスのバイオ関連の
研究機関が関西に集積していることから、これらの大学・研究機関を高速大容量の
ネットワーク(ギガビット)で結び、連携体制を構築すれば、バイオ関連企業の育成につながります。

大阪の工業再配置政策の再構築。
 昭和47年に制定された「工業再配置促進法」は、大阪市、堺市、東大阪市、守口市を移転促進地域に
指定し、工場を誘導地域(府内に無し)に移転させることを目的にしたもので、大阪再生の妨げになって
います。
早急に移転促進地域の指定を解除すること。
そして、りんくうタウンや津田サイエンスヒルズ、テクノステージ和泉などを誘導地域に指定することで
府の遊休地の活用が図れます。
 同移転促進地域の大規模な工場の新設増設を制限した「工場等制限法」(昭和39年制定)は、廃止
すべきです。
両法を抜本的に見直すことで、大阪に製造業の集積が期待できます。
 また、全国一工場密度が高い製造業の町・東大阪市地域は、オンリーワン企業が集積している特性から、
市や商工会議所と協力し、再開発が進む長田・荒本地区にITを核とした製造業の技術の開発や伝承を
支援する拠点構想の支援が必要です。

中小企業庁の誘致。
 インスタントラーメンやスーパーマーケットなど大阪では、これまでも中小企業が数多くのニュービジネスを
発祥してきました。
全国でも最多の中小企業を抱える大阪にとって中小企業の活性化とべンチャービシネスの有成は大阪の
再生にかかせません。
そのため、中小企業の施策を所管する中小企業庁や中小企業総合事業団などの中小企業支援機関を
大阪に誘致しなければなりません。

大阪市再生緊急雇用対策特別交付金創設
 大阪、京都、兵庫などの大都市の有効求人倍率が、全国平均を大きく下回っており、大都市圏域における
雇用状況の活性化を図るため、大都市再生緊急雇用対策特別交付金(仮称)を創設し、雇用の堆進を
図ります。

大阪府にIT関連人材育成センターを設置
 求職者・離職予定者を対象に、ITに係る基礎的な技能から中級程度の知識・技能講座を実施する
大阪府IT関連人材育成センター(仮称)を設置します。

西日本版アビリティガーデンの誘致
 倒産、リストラ等による中高年離職者の雇用を促進するため、ホワイトカラー労働者を中心とした人材育成
支援機能施設・アビリティガーデンを大阪に誘致を図ります。



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