110 2003年6月号
注目のマニフェスト

有権者と契約・新たな選挙手法 目標数値、財源、達成期限を明示

 今回の統一選・知事選で45人の知事候補のうち11人が「マニフェスト」を提示したことからマニフェストが
注目されています。
マニフェストとは政党・政治家が選挙で有権者に対し、公約に具体的な@数値目標、A財源、B達成期限を
明示することです。
 マニフェストは、宣言、声明などの意味ですが、ルーツは2大政党制の英国で1980年代に政党が選挙前に
作る数値目標付き政策綱領として普及。
97年総選挙で労働党が18年ぶりに保守党から政権を奪還した原因は、ブレア現首相の掲げた
マニフェストだと言われています。
その当時は、「30人以下の学級規模」「今後5年間、所得税の基本・最高税率は引上げない」「25万人の
若年失業者に就職機会」「今後2年間、政府の歳出総額を増やさない」こと等が明示されました。
 選挙の時に候補者が「あれもやります。これもやります」と主張し、選挙が終われば実現したのかどうかも
分からない従来の公約と違い、マニフェストは、「いつまでに何をどうやって実現するか」という有権者との
いわば「契約」です。
今まで政党や政治家の公約破りが繰り返されてきたため、公約の軽さ、裏付けの乏しさが有権者の
信頼度が薄れ、政治への不信感が深まったと思います。
 有権者が大切な一票を投じる上で、その判断材料となるマニフェストを政党がつくることは、これからの
政党政治への信頼を取り戻す可能性があります。
さらにマニフェストの結果が、次の選挙で厳しく問われることになり、政党が体質を変えていく契機にも
なります。
今秋にも予定される衆議選が本格的な導入に向け大きな注目が集まります。
今後は、数値目標、財源、達成期限だけでなく実現までの手順・方法、政策の優先順位まで明確にする
必要があります。
 本来、マニフェストは国政レベルの政権を争うものですが、地方分権が叫ばれるなか地方自治体の首長や
議員も今後どう具体化していくか、積極的に検討すべきです。

京阪電鉄中之島新線20年度完成

 京阪電鉄・中之島新線の起工式が平成20年度の完成めざし5月28日に行われました。
新線は天満橋駅から新北浜駅(難波橋詰)、大江橋駅(日銀前)、渡辺橋駅(朝日新聞社前)、玉江橋駅
(国際会議場前)間の2.9km。
 総事業費は約1500億円で、平成13年に京阪電鉄、大阪府、大阪市の出資で設立した中之島
高速鉄道鰍ェ鉄道施設を建設、保有。
京阪電鉄に使用させる償還型上下分離方式を新しく導入しました。
これにより地下高速鉄道整備事業費補助が受けられ大幅な建設費の負担が軽減されました。


三位一体改革という言葉を聞きますが、どういう意味なのでしょう? 枚方市O・Yさん

 政府の地方分権改革推進会議で検討されている地方税財政の見直しのことです。
見直しの対象が地方交付税と国からの補助金を削減する代わりに、税源移譲を並行して進める
ことからの三位一体と言われています。
 地方交付税や補助金の削減を先行し税源移譲の具体策がないのでは、地方自治体にとって大きな
問題です。
それでなくても、人口規模の小さい自治体にまで手厚く配分されている地方交付税(約18兆円)の不公平。
国の関与が強く地方の裁量がない補助金(約17.5兆円)のあり方。
国と地方との仕事の割合が2:3に対し、税源配分は3:2と逆転している問題点を論議すべきです。
 6月6日に太田知事と共に国家要望を行いましたが、国から地方へ権限を委譲し地方分権を進めるならば、
増える仕事に見合う財源が必要なのは当然のことです。
6月18日には「基本方針2003」原案として公表される予定です。



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